日本に女性リーダーが少ない理由とは?求められるスキルや育成のポイントを解説

日本でも女性の社会進出が一般的になった今、目指す未来として「女性リーダーが多く存在する環境を確保すること」が挙げられています。しかしながら、女性リーダーの数は、徐々に増えてはいるものの、男女比率が五分五分というまでには程遠い状況です。当記事では、日本における女性リーダーの状況や日本に女性リーダーが少ない理由、女性リーダーを育成する際のポイントについて解説しています。
- 01.日本における女性リーダーの状況とは
- 02.日本の女性リーダーが少ない理由とは
- 03.女性リーダーに必要なスキル
- 04.女性リーダーを育成するメリット
- 05.女性リーダーを育成する際のポイント
- 06.まとめ
01日本における女性リーダーの状況とは
海外企業と比較すると、日本は女性リーダーが少ないことが懸念されています。実際に、厚生労働省が発表した「令和3年度雇用均等基本調査」によると、管理職を含む女性リーダーの割合は、課長職以上で10.7%と、全体の2割にも満たない数値です。 この状況を打破するために、政府では女性リーダーの登用を積極的に進める動きが取られています。その1つが、「女性活躍推進法」です。女性活躍推進法とは、働きたい女性が活躍できる社会の実現を目的に作られた法律で、女性の活躍状況に関する定量データの把握と公表を一定規模の企業に対し義務付けています。女性活躍推進法の義務化や認知により、少しずつ女性リーダーの登用に力を入れる企業は増えています。
▶︎参照:「令和3年度雇用均等基本調査|厚生労働省」
▶︎参照:「女性活躍推進法|厚生労働省」
日本のジェンダーギャップは国際的に見ても格差が大きい
世界経済フォーラムが発表した2022年の日本のジェンダーギャップ 指数は、146カ国中116位と非常に残念な結果となっています。その中でも、「政治」「経済」分野のスコアが著しく低く、女性のリーダーの少なさが顕著に現れています。 日本のジェンダーギャップ指数が低い原因は、「昭和的な価値観」にあるとの見方があります。実際に、「男性は外へ、女性は家に」という古いイメージは、未だにはびこっています。今なお続くこの風潮が、ジェンダー平等を阻む大きな原因になっていることは確かでしょう。
02日本の女性リーダーが少ない理由とは
日本に女性リーダーが少ない背景には、以下の理由が挙げられます。
- 1:リーダーや管理職の候補となる総合職希望が少ない
- 2:女性リーダーや管理職のロールモデルが少ない
- 3:仕事と家庭とバランスを取ることが困難
1.リーダーや管理職の候補となる総合職希望が少ない
女性の場合、リーダーや管理職の候補となる総合職を希望する人材が少ない傾向にあります。特に日系企業の場合はこの現象が顕著で、この要因にはコース別採用などと紐づき、ビジネス上男女を別で扱う風潮が長く続いてきたことや、総合職は転勤が前提となっているなどによりワークライフバランスを取ることが難しいケースがあることが考えられます。 また、家庭における負担は女性に偏りがちであり、仕事でより大きな責任を負うことに躊躇してしまう女性が多いことも管理職を目指す女性が増えない原因です。
2.女性リーダーや管理職のロールモデルが少ない
女性リーダーの前例が少ないことから、企業内にロールモデルとなる人材が不在であることも女性リーダーが増えない要因です。手本となるべきロールモデルがいないと、自分自身がリーダーになるビジョンを持ちづらいものです。実際に、将来のキャリアプランとして女性リーダーや管理職に興味はあるものの、いまいち想像がつかないという人は少なくありません。
3.仕事と家庭とバランスを取ることが困難
ワークライフバランスの実現が難しいことも、女性リーダーが少ない理由の1つです。女性は、結婚や出産を機に一時的に仕事を休職する選択を取る人が多いものです。しかし、現在の企業体制では一度休業すると、キャリアを再構築することが難しい傾向にあります。このように、人材市場の変動性も女性リーダーが少ない理由に関係しているのです。
03女性リーダーに必要なスキル
社員を牽引していく存在であるリーダーには、以下のようなスキルが求められます。
- 1.主体性
- 2.目標設定と計画立案・遂行する能力
- 3.信頼関係構築力
- 4.セルフマネジメント能力
1.主体性
「主体性」とは、何をすべきか決められていない状況であっても、自分自身の判断で重要な決断を下して、業務を遂行する能力を指します。有能なリーダーは、自分が今すべきことを察知し、それを満たすために必要なステップを実行する力があります。 また、重要な企画に着手するためには、全力を注ぐでしょう。例えば、市場調査やチーム編成、実行計画の策定などが例として挙げられます。事前に打ち合わせをしないまま業務を遂行するのは精神的に疲れるものですが、強いリーダーは必要な仕事をやり遂げる自信が備わっています。
2.目標設定と計画立案・遂行する能力
目標と計画を立て、それを遂行していく力もリーダーに必要なスキルです。リーダーの遂行力とは、プレーヤーとして自らの業務を成し遂げる力ではなく、メンバー全員の行動ややる気を引き出す力のことを意味します。チームの一体感を維持しながら、複数のメンバーをまとめあげて、さらなる行動を促す能力が強く求められているのです。
3.信頼関係構築力
リーダーには、メンバーや関係者と信頼関係を構築する力が不可欠です。信頼関係が無いと、周囲の人々からの協力を引き出すことができず、その結果、チームの成果創出に影響を及ぼす可能性があります。 信頼関係構築には、コミュニケーションに関するスキルが必要です。メンバーに対して関心を持ち、オープンで積極的なコミュニケーションを取り、メンバーの意見に耳を傾けることによって、チーム内での信頼関係が築かれます。
4.セルフマネジメント能力
「セルフマネジメント能力」とは、自分の行動や思考、感情を生産的な方法でコントロールする能力のことです。自分の行動や思考を生産的に管理することは、セルフマネジメント能力を高めて、女性リーダーとしての力を養うことにつながります。また、自分自身と組織の利益のために、個人的な責任と仕事上の責任の両方を上手く果たすことができるでしょう。
04女性リーダーを育成するメリット
企業が女性リーダーを育成するメリットにはどのような内容があるのでしょうか。女性リーダーが増えるメリットには、以下の2つが挙げられます。
- 1.女性管理職比率が高い企業としてのイメージ向上
- 2.女性社員がキャリアをイメージしやすくなる
1.女性管理職比率が高い企業としてのイメージ向上
組織が働き方の多様性を認めることは、従業員一人ひとりを大切にする企業体制が整っていると捉えることができます。女性リーダーが多く登用されている会社は、女性管理職比率が高い企業としてのイメージ向上を狙えます。また。企業に対する社会的評価が向上すれば、売上アップやより良い人材を確保しやすくなるなどのメリットも得られます。
2.女性社員がキャリアをイメージしやすくなる
女性リーダーのロールモデルが存在することで、女性社員がキャリアをイメージしやすくなることも、女性リーダーを育成するメリットです。女性リーダーを自分の将来目指すべき姿、ロールモデルとして捉えるようになるため、企業の成長スピードが加速することが期待できます。
05女性リーダーを育成する際のポイント
女性リーダーを育成する際には、いくつかのポイントに注意することが重要です。 下記では、それぞれのポイントについて詳しく説明します。
- 1.ロールモデルを醸成するまでに長期期間が必要になる
- 2.女性が働き続けやすい社内風土と人事制度を整備する
- 3.女性リーダー同士のコミュニティを形成する
- 4.女性リーダー育成に特化した研修を開催する
1.ロールモデルを醸成するまでに長期期間が必要になる
女性リーダーの育成には長い時間を要することを認識し、長期的な視野で取り組むことがポイントです。前述した通り、女性リーダーのロールモデルはさほど多くなく、見習うべき手本が少ない状態です。そのため、試行錯誤を繰り返し、長い時間をかけて理想の女性リーダー像を練り上げていくことが求められます。
2.女性が働き続けやすい社内風土と人事制度を整備する
女性リーダーを育成するためには、女性従業員が働き続けやすい社内風土と人事制度を整備することも肝要です。まずは、女性リーダー育成の障壁となっている業務内容や、勤務時間の見直しからスタートしましょう。 具体的には、女性従業員が育児や介護のために有給・早退がしやすい体制作りや、産休・育休を取得しやすい雰囲気作りに注力します。さまざまな従業員が、長く働きたいと思える職場環境を構築することは、女性がリーダーとして活躍できる企業作りにもつながるでしょう。
3.女性リーダー同士のコミュニティを形成する
女性リーダー同士のコミュニティを形成することも、有効な手法です。女性リーダーは、女性ならではの心理的な障害や、出産・子育てなどのライフワークバランスの関する悩み、少数派であるという意識など、男性リーダーとは共有しにくい要因が少なくありません。そうしたことを同じ立場にある仲間同士で本音で語り合い、励まし合うことで、切磋琢磨し合える良好な関係を築けます。
4.女性リーダー育成に特化した研修を開催する
自社で女性リーダーを育成する場合は、まずは育成担当者の人選をする必要があります。育成担当者は、女性リーダーとして適している人材や、女性リーダーを育成するために具体的にどのような研修が必要なのかを、しっかり把握しておくことがポイントです。 育成担当者が決定したら、具体的な研修内容を考案し、受講者である女性との面談を経て実際に研修を開始します。研修後は、受講者と将来のキャリアビジョンを作成し、共有します。また、日常業務の責任範囲を広げたり、新しいプロジェクトメンバーとして選定したりといった、継続的なフォローアップも欠かせません。
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06まとめ
日本において、女性リーダーはまだまだ少ない状況ですが、現在仕事をしている女性従業員は増えつつあります。女性リーダーを育成することで、企業イメージの向上や、女性社員がキャリアをイメージしやすくなるなどのメリットを享受できます。ぜひ、本記事を参考に女性リーダーの育成に力を入れてみてはいかがでしょうか。