リーダーに求められる巻き込み力とは?周囲を巻き込むために必要なスキルや育成方法について解説

チームのリーダーには巻き込み力が必要だと言われますが、各部署のリーダーにそれを身に着けさせるためにはどのようなことをすればよいのでしょうか。 この記事ではリーダーに求められる巻き込み力の定義から、それを身に着けさせるための育成方法まで詳しく解説します。
01リーダーに求められる巻き込み力とは?
リーダーに求められる巻き込み力とは、目標を達成するために周囲のチームメンバーと信頼関係を築き、協力してもらうスキルのことです。 どのような仕事においても1人でできる仕事には限界があるため、メンバーそれぞれの専門分野や経験を活かして適材適所で仕事を割り振り、限られた人数や時間の中で最大限の成果を挙げることのできるリーダーの巻き込み力は、企業にとって重要なスキルだと言えるでしょう。
02社内の人材を巻き込むために必要な能力とは
リーダーに求められる巻き込み力とは、具体的にどのような能力を指すのでしょうか。
- ・1.社内への発言・発信力
- ・2.課題を発見・解決するスキル
- ・3.EQ(人間関係構築)スキル
- ・4.目的を設定し確実に行動する力
上記で挙げた主な4つについて、詳細を解説していきます。
1.社内への発言・発信力
ビジネスの場において周囲を巻き込むためには、言葉や振る舞い、行動で仕事への強い思いを発信し続けることが大切です。 リーダーの発言と行動で仕事に対する本気さが周囲の人に伝われば、チームの中にみんなで協力しようという気運が少しずつ芽生え、寄り添って仕事に取り組んでくれるチームメンバーも増えるでしょう。
2.課題を発見・解決するスキル
人を巻き込む力のある人には、業務における課題を素早く発見し解決するスキルが身についています。 課題を発見し解決するスキルがあると、顧客に満足してもらえる商品やサービスを提供できるのはもちろんですが、社内ではそのための業務に取り組む時の問題点を解消できるため、仕事がスムーズに進み、成果も挙がるのです。
3.EQ(人間関係構築)スキル
EQとはemotional intelligence quotientの頭文字を取った言葉で、心の知能(EI=emotional intelligence)を測定するための指標として用いられ、心の知能指数と訳されます。 心の知能指数とは自分や他人の感情を知り、自分の感情をコントロールできる能力を指しますが、次の4つの要素で構成されます。
EQの要素 | 概要 |
識別(Identify) | ・感情を察知する能力 |
利用(Use) | ・課題に対する感情をコントロールし必要な感情を生み出す能力 |
理解(Understand) | ・自分や相手の抱く感情の理由を推察する能力 |
調整(Manage) | ・識別、利用、理解の段階を踏んだ上で目的を達成するにはどのような行動をするかを決断する能力 |
4つの要素は人間関係の上で識別、利用、理解、調整の順番で使われますがEQを発揮するためにはこれらが揃っていることが重要です。 周囲の人を巻き込むためには相手の感情に寄り添う力が求められるため、ビジネスにおいてはEQスキルの高いリーダーが必要とされるのです。
4.目標を設定し確実に行動する力
周囲の協力を得られる人には、目標を設定し確実に行動する力が身についています。 言い換えれば仕事に対して誠実に向き合う力が身についているため、チームメンバーの信頼を得やすいと言えるでしょう。
03巻き込み力がリーダーに求められる理由
リーダーにはなぜ巻き込み力が求められるのでしょうか。
- ・1.メンバーやチームの生産性向上
- ・2.VUCAの時代において都度変化に対応するため
上述した2つの理由について、それぞれご紹介します。
1.メンバーやチームの生産性向上
組織のリーダーには限られた人数や時間の中で最大限の成果を挙げることが求められますが、高い目標であるほど誰をどのように仕事に巻き込むのかを考えることができなければ、達成は難しくなるでしょう。 チームメンバーの知識や経験を活かし、適切な仕事を割り振った上で高いモチベーションを維持しながら全員でそれに取り組むためには、巻き込み力が必須なのです。
2.VUCAの時代において都度変化に対応するため
VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、もともとは軍事用語でしたが、ビジネスでは将来の予測が困難な時代や世の中を指します。 VUCAの時代においてはビジネスでも想定外のことがたくさん起こりますが、巻き込み力を持ったリーダーは課題を素早く発見し、それを解決するスキルを身に着けているため、チームメンバーはそれに動揺せず、安心して仕事に取り組むことができます。
04巻き込み力をリーダーが身に付けるメリット
リーダーが巻き込み力を身に着けると、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ・1.メンバーやチームとの良好な関係性を築ける
- ・2.仕事における課題解決がスムーズになる
- ・3.リーダーが注力すべき仕事に集中できる
それぞれの詳細を解説します。
メンバーやチームとの良好な関係性を築ける
リーダーが巻き込み力を身に着けることで、チームメンバーと信頼関係に基づいた良好な関係性を築くことができます。 仕事に対し前向きに取り組むチームは組織を活性化させるため、仕事がうまくいくだけではなく、会社に風通しが良く前向きな雰囲気をもたらすでしょう。
仕事における課題解決がスムーズになる
巻き込み力のあるリーダーがいるチームではメンバーとのコミュニケーションがしっかりと取れているため、課題を早期に発見し解決につながる施策も行いやすくなるでしょう。 課題が発見されるたびに仕事が止まるといったことも防げるため、業務のスピードが上がり効率化も図れます。
リーダーが注力すべき仕事に集中できる
リーダーに巻き込み力があると、チームメンバーを信頼してそれぞれに合った仕事を割り振るため、リーダーが本来注力する必要のある仕事に集中して取り組むことができます。 現場の仕事とマネジメント職を兼務している人の場合、どちらも中途半端になってしまうことがありますが、巻き込み力のあるリーダーはこのようなことにはなりにくいでしょう。
05リーダーの巻き込み力を育成する方法とは
企業としてリーダーの巻き込み力を育成するには、どのような方法で取り組めばよいのでしょうか。主な方法として、以下の4つが挙げられます。
- ・1.周囲との継続的なコミュニケーションの機会を支援する
- ・2.周囲が行動したくなるような目標やビジョンを示す
- ・3.社内のロールモデルによる勉強会の実施
- ・4.社内・外部による研修を実施する
それぞれの詳細についてご紹介します。
周囲との継続的なコミュニケーションの機会を支援する
リーダーの巻き込み力を育成するには、業務外での継続的なコミュニケーションを図る機会を作りましょう。 社内イベントとして、あまりコミュニケーションを取ったことのない人同士がランチをするシャッフルランチや、オンライン飲み会などを企画して開催するのもおすすめです。 イベントで交流したことをきっかけに、新たな部署同士での連携が行われることも期待できるので、話が盛り上がりそうかどうかをあまり気にかけず、いろいろな部署のリーダーを対象にさまざまな組み合わせで行ってみましょう。
社内のロールモデルによる勉強会の実施
社内ですでに巻き込み力を発揮しているリーダーがいるのなら、ロールモデルとして勉強会を実施してもらうのもおすすめです。 ロールモデルを設定することで、まだ巻き込み力を身に着けていないリーダーの成長が早まったり、組織全体が活性化したりなどメリットが大きいでしょう。 注意したい点としてロールモデルとは「なりたい人」であるため、勉強会の内容が対象者にとって再現するのが難しい場合、学んでも自分にはできないと巻き込み力を身に着けるのを投げ出してしまいかねません。 このことから身近な存在であると対象者に認識してもらえるようなロールモデルを選び、勉強会の前に内容が再現性の高いものであるかどうかをあらかじめ確認しておくことが重要です。
社内・外部による研修を実施する
リーダーの巻き込み力を高めたいなら、社内や外部による巻き込み力アップのための研修を行うのもよいでしょう。 研修を行う前に事前準備として、次のようなことを決めておくとスムーズです。
- ・研修にかけられる時間
- ・研修の形式
- ・研修にかけられる予算
- ・研修の対象者
- ・巻き込み力アップのための研修で到達したい目標
研修の形式は、e-ラーニングよりは直接講師から話を聴くことのできる会場での研修や、オンライン研修が望ましいでしょう。 目標は対象者に応じて柔軟に変える必要がありますが、達成が難しすぎる目標は設定しないのがポイントです。 また外部研修の場合、自社のニーズに応じてカリキュラムなどを柔軟にアレンジしてもらえるかどうかなどもあらかじめ確認しておくと、より自社の現状に即した研修が行いやすくなるでしょう。
06巻き込み力を向上させるSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級7,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級7,000本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実
巻き込み力に関するSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、7,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、巻き込み力に関する授業を紹介いたします。
各界のリーダーに学ぶ「リーダーシップのカタチ」
世に溢れる「リーダーとして成功する秘訣」は一見すると有益そうですが、なかなか実践に活かしづらいのが現状です。そこで本授業は、教科書的に載っていない、生々しいリーダー経験からリーダーシップを学びます。
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立教大学大学院 ビジネススクール教授
EQパートナーズ株式会社 代表取締役社長。立教大学大学院 ビジネススクール教授。聖心女子大学 非常勤講師。 中央大学法学部卒業、Bond大学大学院 MBA修了。パナソニック(当時松下電器)にて、SE・営業・マーケティング・海外(香港)駐在員などを経験。EQパートナーズ株式会社を設立、代表取締役社長。立教大学大学院ビジネススクール教授として、リーダーシップ論、アントレプレナーシップ論等を担当。著書に『ワールドクラスリーダーシップ―自分・チーム・世界・社会をリードする』(同友館)、『課長の心得』(総合法令出版)がある。
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Will-CoachLabo株式会社代表取締役
Will-CoachLabo株式会社代表取締役 GCS青山校・渋谷校・岡山校・広島校代表 元全日本バレーボールプレーヤー 現在は経営者であり、スポーツ選手や経営者をサポートするプロコーチバレーボールプレーヤーとしてはとても小柄な173cmながらワールドカップ、ワールドグランプリへ出場。 戦略的に行動する事を得意とし、Vリーグにてエースアタッカーとして活躍また、第1回Vリーグではサーブ部門日本人ランキング1位スパイク猛打賞部門日本人2位を獲得(のちのポジショニング戦略に繋がる) そして、オリンピックの前年に心臓の病気で急遽引退挫折の中から自らの人生をコーチングで立て直す経験を持つ「結果を出さなければ意味がない」と結果にこだわるコーチングが、スポーツ界からもビジネス界からも支持を受ける。
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東芝総合人財開発株式会社 グローバル人財研修部 プランナー
2000年より東芝のシンボル・スポーツであるラグビー部に所属(東芝ブレイブ・ルーパス) 2002-2007 5シーズン主将を務め、任期中9タイトルを獲得。 2006-07 Japan Rugby Top LeagueシーズンMVPを獲得 代表暦:日本代表、日本代表選抜、関東代表、九州代表、九州学生代表 2011年 プレーヤーを引退、同年より指導者へ 指導暦: 2011ー2013 中国電力レッド・レグリオンズ 監督 2013ー2014 東芝ブレイブ・ルーパス アシスタントコーチ 2014ー2017 東芝ブレイブ・ルーパス 監督 2016 トップリーグ・オールスターズ 監督 2017-現在 国内外の高校、大学、社会人チームのディレクター、アドバイザー、コーチを行う。 また、社業である講師の傍ら、社内外での講演活動も行っている。
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(株)リーダーシップコンサルティング 元スターバックスCEO
株式会社 リーダーシップ コンサルティング代表。 元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者。 1982年に日産自動車入社。製造現場、セールスマンから財務に至るまで幅広く経験し、社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学ぶ。帰国後は、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ ビバレッジサービス常務執行役員を経て、2000年(株)アトラスの代表取締役に就任。3期連続赤字企業を見事に再生させる。 2005年には「THE BODY SHOP 」を運営する(株)イオンフォレストの代表取締役社長に就任。店舗数を107店から175店舗に拡大しながら、売上げを約2倍にする。伝説の創業者、アニータ・ロディックからの信頼も厚かった。 2009年、スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOに就任。「100年後も輝くブランド」に向けて、安定成長へ方向修正。ANAとの提携、新商品VIA(スティックコーヒー)の発売、店舗内wifi化、価格改定の実行など次々に改革を実行し、業績を向上。日本に数少ない“専門経営者”として確固たる実績を上げてきた。 2012年より約1年間産業革新機構に参画。 2013年にリーダー育成のための(株)リーダーシップコンサルティング設立。 2010年UCLAよりAlumni 100 Points of Impactに選出される(歴代全卒業生37000人から100人選出。92年卒業生では唯一人) 著 書: 「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方(サンマーク)
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株式会社あつまる代表取締役社長
株式会社あつまる代表取締役社長/EO福岡会長/盛和塾福岡 世話人 1979年生まれ。福岡県久留米市出身。 2010年、集客プラットフォーム事業の株式会社あつまるを設立。 「正しいデータを元に世界の広告をイノベーションする」という事業理念の元、集客プラットフォームを軸に、顧客の営業利益向上に貢献している。 8年間平均売上成長率約130%。 また、2016年にはJALを再建された稲盛和夫氏が主宰する盛和塾世界大会に最年少で出場。 「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに出逢った人たちに無限の可能性を伝え続ける集団である」という企業理念を軸に、リーダーを育成する教育カンパニーとしても展開している。 EO福岡会長、東京大学訪問勉強会顧問、福岡大学経済学部非常勤講師も務める。
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米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。1979年生まれ三重県出身。富士通グループ主力販売会社を経て、株式会社アタックスへ入社。その後、営業コンサルタント,マネジメントコンサルタントとして企業のコンサルティングに従事する。現在はNTTドコモ、パナソニックグループ、朝日新聞社、などの大企業から、中小企業まで、多くの企業に「行動分析学」をもとにした行動改革指導を実施している。専門の営業とマーケティング以外にも、製造、技術、管理、企画、クリエイト、物流など広範囲の組織変改を実現するコンサルティング『壁マネジメント』を展開。机上の空論ではなく、現場の中で作り出した指導ノウハウは参加者の9割が設定した問題を解決するという圧倒的な成果を出している。とことん結果にこだわった指導スタイルは多くの経営者、マネジャーから絶大な評価を得ている。著書には『結果を出すリーダー程動かない』:https://amzn.to/2sU7AVD、『結果を出すリーダーほどこだわらない』https://amzn.to/2NbU1rb(ともに、フォレスト出版)がある。
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07まとめ
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