更新日:2026/09/09

リーダーとは?求められる条件や役割、種類・手法について解説

リーダーとは?求められる条件や役割、種類・手法について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

リーダーの育成を進めるうえでは、まず「リーダーとは何か」「どのような役割・要素が求められるのか」を体系的に理解しておくことが欠かせません。本記事では、リーダーの定義やマネージャーとの違い、リーダーが担う役割、代表的なリーダーシップ理論、そして自社で次世代リーダーを育成する方法までを解説します。

 

01リーダーとは

リーダーとは

リーダーとは、チームや組織の目標達成に向けて、メンバーに影響を与え、行動を促す存在のことです。ポイントは、リーダーが「役職」ではなく「影響力」によって定義される点にあります。

Schoo for Businessの授業『リーダーシップ研究の流れ/代表的な理論を活用する』に登壇する石川淳先生(立教大学副総長)は、リーダーシップの定義が時代とともに変遷してきた経緯を解説しています。1920年以前は、支配者が非支配者をコントロールする権力が強調され、その後はリーダーの特性や資質、1940年代から1950年代には集団活動を方向づける行動、1980年代から1990年代にはカリスマに代表される「貢献意欲を引き出す行動」へと、研究の焦点が移ってきました。そして2000年代以降のリーダーシップの代表的な定義として、「職場やチームの目標を達成するために及ぼす他のメンバーへの影響力」が紹介されています。

この定義に立てば、組織内のポジションは必ずしもリーダーシップ発揮の必須条件とならないことになります。役職を持たない社員であっても、目標達成に向けて周囲に働きかけ、行動を促すことは可能です。そのため、リーダーシップは管理職だけでなく、組織のさまざまな立場の人に求められるものだと考えられます。

▼参考:Northouse, P. G.(2021)Introduction to Leadership: Concepts and Practice(5th ed.). SAGE Publications. Chapter 1 “Understanding Leadership”.

リーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーは混同されがちですが、両者は役割の性質が異なります。前述のSchoo for Businessの授業『リーダーシップ研究の流れ/代表的な理論を活用する』において、石川先生は両者の違いを次のように整理しています。

マネジメントとは、予算配分、戦略・計画策定、人員配置、部下育成、人事評価などを通じて、組織を安定的に運営するための業務を指します。一方、リーダーシップは、目標達成に向けて周囲に及ぼす影響力です。この定義に沿えば、マネージャーでありながらリーダーシップを十分に発揮できていない、または役職を持たなくてもリーダーシップを発揮しているという状態がありえます。

そのため、企業の人材育成では、「管理業務ができること」と「チームに影響力を発揮できること」を分けて捉えることが重要です。マネージャーへの登用や管理職研修とあわせて、周囲に前向きな影響を与える力を育てるリーダーシップ開発に取り組むことが求められます。

 

02リーダーが担う役割と行動

リーダーシップは、目標達成に向けて周囲に与える影響力です。では具体的に、組織でリーダーシップを発揮する際にはどのような行動が重要となるのでしょうか。

本記事では、この行動を(1)目標に対する納得感と意欲を引き出すこと、(2)日々の関わりを通じて互いの成長を支援すること、(3)信頼関係を土台に協働しやすいチームをつくること、の3点に整理して紹介します。いずれも、目標を設定したり育成の責任を負ったりする立場に限らず、チームで働く一人ひとりが実践できるものです。

目標に対する納得感と意欲を引き出し、チームの成果につなげる

リーダーシップとしての方向づけの中心にあるのは、ゴールを掲げること自体ではなく、目標に対する周囲の納得感と意欲を引き出すことです。数値目標や期限が示されたとしても、その意味への納得が伴わなければ、業務は受け身になりやすく、主体的な行動にはつながりにくくなります。

納得感と意欲は、一方的に「伝える」だけでは生まれにくいものです。組織のビジョンや戦略を自分たちの具体的な業務に引きつけて捉え直すことや、「なぜこの仕事をするのか」の意義づけを通じて、目標は少しずつ「自分ごと化」されていきます。

一方で、こうした働きかけは、管理職などの目標を設定できる立場の人だけに関係することではありません。役職のない人でも、会議で「この施策は何のために行うのか」と目的に立ち返る問いを投げかけたり、自分の言葉で業務と目標のつながりを語ったりと、チームの目線を同じ方向に揃えることに貢献できるためです。

目標と方向性をめぐる働きかけは、ゴールを掲げることそのものではなく、それを周囲の納得感と意欲につなげることで、チームの成果を支える役割を果たします。

日々の関わりを通じて、互いの成長を支援する

日々の関わりを通じて、互いの成長を支援する

成長を支援するというと、「部下育成」や「後輩指導」のように、上下関係をイメージしやすいですが、必ずしも一方向のものではありません。同僚同士や、部下から上司への働きかけとしても成り立ちます。

その代表的な関わり方の一つが、日々のフィードバックです。自分を客観視することは決して簡単ではなく、他者から言われて初めて、自身の強みや弱みに気がつくことも珍しくありません。共に働く仲間だからこそ見える気づきを伝え合うことで、互いの自己理解が深まり、行動改善やパフォーマンス向上につながります。

Schoo for Businessの授業『伝え方で関係が変わる。成長を支えるフィードバック』に登壇する大坂谷勇輝(株式会社LEBEN CAREER CEO)先生は、フィードバックを「相手の成長のために、気づきを伝えること」と定義しています。指摘や修正を目的とする一方的な「ダメ出し」とは異なり、フィードバックは成長支援を目的とした双方向のキャッチボールである点が重要です。

同授業では、フィードバックを伝える際の実践しやすい型として、「FACT・FEEL・FUTURE」の3ステップが紹介されています。評価を交えず事実を伝え(FACT)、「私は心配になった」のように主語を「私」にして感じたことを伝えたうえで相手の考えも聞き(FEEL)、これからどうするかを一緒に考える(FUTURE)という流れです。評価ではなく事実と自分の感じたことを起点にするため、相手を評価する立場にあるかどうかを問わず使えます。

また、フィードバックは、伝える側の行動だけで成り立つものではありません。「率直に教えてほしい」と自分から求めることも、気づきを伝え合える関係をつくる働きかけの一つです。こうしたやり取りが日常にあるチームは、役職に関係なく互いの成長を支え合うことができます。

信頼関係を築き、協働しやすいチームをつくる

信頼関係を築き、協働しやすいチームをつくる

リーダーシップを「周囲に及ぼす影響力」と捉えると、重要になるのは周囲との信頼関係です。どれほど適切な提案や的確なフィードバックであっても、「この人の意見なら受け止めてみよう」と思ってもらえなければ、行動の変化にはつながりにくいためです。

ただし、この信頼関係は一対一の関係だけで完結するものではありません。前節までに述べた目標をめぐる対話やフィードバックのやり取りは、いずれも「分からないことを質問する」「異論を述べる」「失敗を共有する」といった、対人関係上のリスクを伴う発言の上に成り立っています。こうした言いにくいことも、率直に伝え合える環境づくりが求められます。

そこで重要になるのが、「心理的安全性」の概念です。Schoo for Businessの授業『心理的安全性を高めるチームの「仕組み」』に登壇する曽和利光先生は、心理的安全性とは「質問・異論・失敗の共有・助けの要請などの対人リスクをとっても不利益が起きにくいという認知」であると解説しています。心理的安全性が高いチームでは、不明点の解消や懸念点の議論がしやすく、業務上の問題に早く気づいて改善策を検討しやすくなります。

注目すべきは、同授業が心理的安全性を「リーダーの優しさやキャラクター」ではなく「仕組み」で作ることを提案している点です。例えば、会議の冒頭で全員が順番に意見を述べる時間を設ける、意見を付箋に書いてから共有する、会議や取り組みの後に短時間の振り返りを行うといった方法が挙げられます。

日々の関わりのなかでも、「この論点は◯◯さんの現場視点を聞きたい」と意見を求めたり、出された意見に「その視点は重要ですね」と価値づけを返したりすることは、会議の参加者の誰が行っても機能します。こうした行動が積み重なることで、「発言しても否定されない」「意見がチームにとって意味のあるものとして扱われる」という認知が、チームのなかで共有されていくでしょう。

このように、心理的安全性は特定の個人の性格や地位に依存するものではなく、会議の設計や日々の声かけ、振り返りの習慣を通じて、チームの一人ひとりが作り手になれるものです。信頼関係を仕組みとして支えることは、協働しやすいチームづくりにつながります。

▼リーダーの役割に関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】リーダーシップ研修の目的とリーダーシップを取るために必要な5つの能力

 

03リーダーに求められる要素

リーダーに求められる要素

リーダーシップとは人に影響を与えること、と言うとシンプルですが、これを実際に行うのは決して容易ではありません。影響力を高めるための必要な要素とは何でしょうか。

ここでは、Schoo for Businessの授業『リーダーシップは「見えないところ」が9割』で、リーダーシップデザイナー・人材育成コンサルタントの吉田幸弘先生が挙げる以下3つの要素を紹介します。

  • ・スキル、知識
  • ・決断力
  • ・平常心

いずれも専門性の高さそのものではなく、周囲と信頼関係を築く上での土台となる要素です。

スキル・知識

1つ目は、スキル・知識です。ただし、ここで求められるのは、すべての業務に精通した知識量そのものではありません。同授業で強調されているのは、周囲の仕事を知ろうとし、スキルや知識を学び続けようとする姿勢です。

異動や転職をしてきたばかりで、担当領域の知識や経験がまだ十分でない状態であっても、周囲の業務を理解しようとする姿勢を示すことで、信頼を築きやすくなります。分からないことをそのままにせず、質問し、学び、必要な知識を身につけようとする姿勢が、周囲からの信頼を獲得し、影響力を高める土台になります。

決断力

2つ目は、決断力です。例えば誰かから相談を受けたときや、自分が問題に気づいたとき、「上に掛け合ってみよう」「まずはこれをやってみよう」と判断して動ける人は、周囲に安心感を与えます。反対に、判断を先送りしたり、「考えておく」と言ったまま行動に移さなかったりすると、「この人に相談しても前に進まない」と受け止められる可能性があります。

こうした判断は、決裁権を持つ人だけに求められるものではありません。懸念に気づいたときに口に出す、宙に浮いている問題を自分が引き取る、進みかけた流れに必要な異論を唱える。権限がないなかで判断して動くことは、ときにそれ以上に難しく、周囲に与える影響も大きい行動です。

決断には責任が伴います。すべてを一人で決めるという意味ではありませんが、必要な場面で自分の責任において判断し、次の行動につなげられることは、リーダーに求められる重要な要素です。

平常心

3つ目は、平常心です。問題が起きたときに感情的に反応せず、落ち着いて状況を受け止め、冷静に判断できる状態を保つことを指します。同授業では、怒りの感情を持つこと自体は自然なことである一方、感情をそのまま外に出すことは問題だと解説されています。不安や苛立ちがそのまま表に出ると、場の空気は張りつめ、周囲は率直に話したり相談したりしづらくなります。これは職場内の立場に限らず、誰の感情でも起こることです。だからこそ、周囲に影響を与えようとする人ほど、自分の感情の状態に自覚的である必要があります。

そのため、日頃から自分の感情の揺れに気づき、必要に応じて一呼吸置く、相談できる相手を持つ、気持ちを切り替える習慣をつくるなど、感情を整える工夫が求められます。こうした日々の実践が、非常事態でも落ち着いて対応できる土台になります。

決断力と平常心を備えて非常事態に対応できることは、周囲からの信頼を高める要因になるでしょう。

 

04リーダーシップ・スタイルに関する代表的な理論

リーダーシップ研究には約100年の歴史があり、時代とともにさまざまな理論が生まれてきました。ここでは、リーダー育成を考えるうえで押さえておきたい代表的な理論を、研究の流れに沿って紹介します。

特性理論

特性理論は、1900年代前半を中心に研究された、初期の代表的なリーダーシップ理論です。「優れたリーダーは共通の特性(誠実さ、知性、社交性など)を持っている」という前提のもと、リーダーに固有の資質を特定しようとしました。

しかし、米国の心理学者ラルフ・ストッグディルが1948年に発表した先行研究のレビューでは、あらゆる状況で一貫して有効な単一の特性群を特定することは難しいと示され、資質だけでリーダーを説明するアプローチには限界があると考えられるようになりました。この反省から、研究の焦点は「リーダーが何を持っているか」から「リーダーが何をするか」へと移っていきました。

▼参考:Stogdill, R. M. (1948). Personal Factors Associated with Leadership: A Survey of the Literature. The Journal of Psychology, 25(1), 35–71.

行動理論

行動理論は、1940年代から1960年代に発展した、優れたリーダーに共通する「行動」に着目する理論群です。行動であれば観察・学習が可能であるため、リーダー育成の理論的基盤となりました。以下では、代表的なものとしてレヴィンの3類型とPM理論を紹介します。

レヴィンの3類型

社会心理学者クルト・レヴィンらは、アイオワ大学で行った実験をもとに、リーダーシップのスタイルを「専制型」「民主型」「放任型」の3つに分類しました。

専制型は、リーダーが意思決定を主導し、メンバーに指示を出すスタイルです。短期的には成果につながる場合がある一方、メンバーの主体性や納得感が下がりやすいとされます。放任型は、意思決定をメンバーに委ね、リーダーが積極的に関与しないスタイルです。自由度は高いものの、目標や役割が不明確になりやすく、成果につながりにくい場合があります。

民主型は、リーダーが方向性を示しつつ、メンバーと話し合いながら決めるスタイルです。決定に時間がかかることはありますが、メンバーの納得度や参加意識を高めやすいとされます。3類型の比較では、民主型が望ましいスタイルとして示されることが多い一方、実際の有効性は状況や課題の性質によっても変わります。

▼参考:Lewin, K., Lippitt, R., & White, R. K. (1939). Patterns of Aggressive Behavior in Experimentally Created "Social Climates." The Journal of Social Psychology, 10(2), 269–299.

PM理論

PM理論は、日本の社会心理学者・三隅二不二(九州大学)が1960年代に提唱した理論です。リーダーの行動を、目標達成や業績に関わる「P機能(Performance:目標達成機能)」と、人間関係や信頼関係の維持に関わる「M機能(Maintenance:集団維持機能)」の2軸で捉え、その強弱の組み合わせで4類型に分類します。

P機能とM機能の両方が高い「PM型」が理想のリーダーとされます。つまり、目標設定や進捗管理を通じて成果を追求する力と、メンバーへの配慮や信頼関係づくりを通じてチームのまとまりを維持する力の両方を発揮できるリーダーです。

目標設定やスケジュール管理に意識が向きがちなP型のリーダーは人間関係への配慮を、メンバーへの共感が得意なM型のリーダーは業績への意識を、それぞれ補強することで理想型に近づけるという実践的な示唆を持つ理論です。

▼参考:三隅二不二(1984)『リーダーシップ行動の科学(改訂版)』有斐閣

条件適合理論

条件適合理論は、1960年代から1970年代に登場した理論群です。「どのような状況でも有効な唯一のリーダーシップスタイルは存在しない」という前提に立ち、状況とリーダーシップスタイルの適合関係を明らかにしようとしました。

心理学者フレッド・フィードラーが1967年に提唱したコンティンジェンシー・モデルを代表的な初期理論として、リーダー個人の資質や行動だけでなく、メンバーとリーダーの関係などの状況要因まで視野に入れた点が、それまでの理論からの大きな転換点です。

SL理論

SL理論(Situational Leadership理論)は、ポール・ハーシィとケン・ブランチャードが提唱した、状況に応じたリーダーシップを考える理論です。部下の成熟度、すなわち特定の業務を遂行する能力と、意欲・自信などの状態によって、有効なリーダーシップスタイルは変わると考えます。

SL理論では、リーダーの行動を、業務のやり方や手順を具体的に示す「指示的行動」と、対話や励ましを通じて部下を支える「協労的行動」の2軸で捉えます。その組み合わせから、「教示的」「説得的」「参加的」「委任的」の4つのスタイルが導かれます。

例えば、特定の業務に対する能力や自信がまだ十分でないメンバーには、具体的な指示や説明を増やすことが考えられます。一方、その業務を自律的に進められるメンバーには、裁量と責任を委ねる関わり方が適する場合があります。このように、相手や業務の状態に応じて、指示と支援の程度を調整する点がSL理論の特徴です。

SL理論は、新しい業務に取り組むメンバーには具体的な指示を行い、自走できるメンバーには委任するという、直感的に理解しやすい枠組みです。リーダーシップ開発や部下育成の実務でも参照されてきました。

▼SL理論について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】SL理論とは?定義から育成や指導への活かし方まで詳しく解説

▼参考:本田亜樹「上司のリーダーシップ・スタイルによる部下の学習目標志向性への影響 ― SL 理論の視座からの分析―」|立教ビジネスデザイン研究 第20号 2023

▼参考:Center for Leadership Studies「Situational Leadership®: Research-Based Positioning Compared to Position-Based Research」(2013)

新しいリーダーシップ理論

新しいリーダーシップ理論

1980年代以降は、リーダーがメンバーの価値観や意欲に働きかける、新しいタイプのリーダーシップ理論が注目されるようになりました。変革型リーダーシップやサーバントリーダーシップなどがその代表です。

なお、日本の実務系文献では、こうした1980年代以降の理論群を「コンセプト理論」と総称することがあります。Schooの授業『リーダーシップの全体像 -リーダーシップとは何か?-』でも、カリスマ型・変革型・サーバント型など多様な現代的リーダーシップのスタイルが紹介されていますが、「コンセプト理論」自体は学術的に定義された用語ではありません。そのため、本記事では個別の理論の原典に沿って解説します。

変革型リーダーシップ

変革型リーダーシップは、政治学者バーンズが1978年に示した考え方を、経営学者バーナード・バスが発展させたものです。バーンズは、リーダーシップを「交換型リーダーシップ」と「変革型リーダーシップ」に区分しました。交換型リーダーシップは、報酬や役割の明確化を通じてフォロワーに影響を与える考え方です。一方、変革型リーダーシップは、フォロワーの価値観や態度に働きかけ、より高い意欲や行動を引き出すリーダーシップとして整理されています。

バスは、交換型リーダーシップと変革型リーダーシップを対立するものではなく、フォロワーの努力を引き出すうえで並存しうるものと捉えました。また、多因子リーダーシップ質問表(MLQ)と呼ばれる測定尺度を作成し、変革型リーダーシップの要因として、ビジョンや使命の意味を提供し誇りや敬意を高める「カリスマ」、高い期待を伝え努力を方向づける「鼓舞」、新たな視点での問題解決を促す「知的な刺激」、一人ひとりに目を配り助言する「個別的な配慮」を挙げました。

変革型リーダーシップは、不確実な環境の中で組織を導き、変革を進めるリーダーのあり方を考えるうえで重要な視点を提供してきました。特に、ビジョンを示し、メンバーの価値観や意欲に働きかける点は、変化の大きい組織におけるリーダーシップを考える際の参考になります。

一方で、変革型リーダーシップ論には課題もあります。組織変革を、あたかもリーダー個人の能力に依存するものとして捉えやすく、優れたリーダーの登場を待望する議論につながりやすい点です。

変革型リーダーシップを万能視するのではなく、リーダーとフォロワーの相互関係や、チーム・組織全体としての能力とあわせて捉える視点が重要だと言えます。

▼参考:東俊之(2005)「変革型リーダーシップ論の問題点ー新たな組織変革行動論へ向けてー」京都マネジメント・レビュー 第8号

サーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップは、元AT&T幹部のロバート・K・グリーンリーフが1970年のエッセイ『The Servant as Leader』で提唱した概念で、2000年代以降に注目を集めました。

変革型リーダーシップがビジョンや変革への動機づけを重視するのに対し、サーバントリーダーシップは、メンバーへの奉仕や支援を起点にチームを導く点に特徴があります。実務上は、組織のピラミッドを逆さまにするように、顧客と向き合う現場のメンバーを支え、リーダーはその成長や成果を後押しする支援役に回るイメージで理解されます。

▼参考:What is Servant Leadership? - Robert K. Greenleaf

ダニエル・ゴールマンの6つのスタイル

心理学者ダニエル・ゴールマンは、EQ(Emotional Intelligence:心の知能指数)――自分と他者の感情を認識し、適切に扱う能力――をリーダーシップの土台と位置づけたうえで、2000年にハーバード・ビジネス・レビュー誌に発表した論文「Leadership That Gets Results」で、EQに根ざした6つのリーダーシップ・スタイルを提示しました。

  • ・ビジョン型/権威型
  • ・コーチ型
  • ・関係重視型
  • ・民主型
  • ・ペースセッター型
  • ・強制型

この分類のポイントは、リーダーシップを一つの理想形に固定せず、状況に応じて複数のスタイルを使い分ける視点にあります。各スタイルには適した場面や注意点があるため、リーダーには、自分が取りやすいスタイルを理解するとともに、チームの状況に応じて関わり方を調整することが求められます。

▼EQの定義や構成要素、高め方については、以下の関連記事で解説しています▼
【関連記事】EQ(心の知能指数)とは?高い人の特徴や高め方、人材の育成方法を解説

▼参考:ダニエル・ゴールマン「EQリーダーシップ 状況に応じて6つのスタイルを使い分ける」『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』

 

05リーダーの育成方法

リーダーシップは生まれつきの才能だけで決まるものではなく、学習と経験によって開発できるものです。ここでは、企業が次世代リーダーを育成するための代表的な3つの方法を紹介します。

メンタリングやコーチングを実施する

メンタリングは、経験豊富な先輩社員が、メンターとして対話を通じて若手の成長を中長期的に支援する手法です。一方、コーチングは、問いかけを通じて本人の気づきや選択肢を引き出し、行動につなげる手法です。

いずれも一方的に「教える」のではなく、対話を通じて本人の考えや気づきを引き出し、成長に伴走するアプローチです。継続的な対話によって、リーダー候補者は日々の経験を振り返り、自身の強みや課題を客観的に認識しやすくなります。その積み重ねが、自分なりのリーダーシップスタイルを確立する土台になります。

リーダーシップ研修を行う

リーダーシップの理論や型を体系的に学ぶには、研修の実施が効果的です。本記事で紹介したようなリーダーシップ理論、フィードバックや心理的安全性の高め方といったスキルは、自己流で身につけるには時間がかかるため、研修で体系的な知識を先に提供することで、現場での実践と学習のサイクルを加速できます。

階層別に「新任リーダー研修」「管理職研修」などを設計し、各階層で求められる役割を明確に伝えることも重要です。以下の関連記事では、リーダー研修の具体的な目的や内容、実施のポイントを詳しく解説しています。

▼以下の記事では、リーダー研修の具体的な目的や内容、実施のポイントを解説しています▼
【関連記事】リーダー研修の3つの目的と内容とは?必要スキルと実施のポイントも解説

実践的な役割や挑戦の機会を提供する

リーダーシップを身につけるには、実際に他者と協働し、意思決定や問題解決を行う経験が欠かせません。そのため、リーダー候補には、一定の責任と裁量を伴う役割を段階的に任せます。具体的には、プロジェクトの責任者、業務改善活動の推進役、部門横断チームのリーダー、後輩指導の担当者などが挙げられます。

正式な管理職へ昇進する前でも、現在の役職のままリーダーシップを発揮する機会を設けることは可能です。役割を任せる際は、目的、期待する成果、本人の責任、意思決定できる範囲を明確にしましょう。また、必要な情報や人員、時間を確保し、上司やメンターが定期的に状況を確認することも重要です。


 

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06リーダーシップ研修ならSchoo for Business

Schoo for Businessは、国内最大級の9,000本以上の講座を保有しており、実践的なカリキュラムを通じて、現場経験から得たインプットをスキルや知識として定着させることができます。

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リーダーシップ研修のプログラム例

ここでは、リーダーシップ研修で利用できる「次世代リーダー研修パッケージ」の研修プログラムについて紹介します。

リーダーシップは誰もが発揮していい

リーダーシップは誰もが発揮していい

リーダーシップは誰もが発揮していいは全1回(61分)で構成され、株式会社NEWONE取締役の葛西健一郎先生を講師に招き、状況に応じたリーダーシップスタイルやDESC法による相手も自分も尊重した主張方法を学べる授業です。周囲を動かすリーダーシップの入門として、リーダー候補の方におすすめです。

  • 株式会社NEWONE 取締役

    大学卒業後、大手印刷会社にて営業としてキャリアをスタート。全国トップセールスを5年間継続。最年少でマネジャー職に昇格。2008年、株式会社シェイクへ入社。営業マネージャー、ファシリテーターとして、組織開発、人材育成、経営コンサルティングに従事。多様な業界の企業に対し、組織課題の解決と成長戦略の実現を支援。2018年、「エンゲージメント向上による組織変革」を掲げ、株式会社NEWONEを設立。大手企業を中心に、年間200社以上の組織変革プロジェクトや研修を推進。研修事業を基盤に、コンサルティング事業を拡大。ファシリテーターとしてもコンサルタントとしても、多くの企業の管理職と密に連携し、組織変革を成功に導くことを評価いただいている。現在IPOに向け、組織拡大と事業成長を牽引。HRカンファレンス2022年春、満足度上位講演に選出されている。

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変化を生み出すリーダーの思考

変化を生み出すリーダーの思考

変化を生み出すリーダーの思考は全1回(42分)で構成され、株式会社チーム・ゼロイチ代表取締役CEOの赤木優理先生を講師に招き、AI時代におけるリーダーの役割や多くの人が共感するクリティカル課題の提案方法を学べる授業です。複雑な背景を捉える思考力を身につけたい方におすすめです。

  • 株式会社チーム・ゼロイチ/代表取締役CEO

    1978年生。京都大学工学部建築学科 卒。2011年から起業家に特化したコワーキングオフィス:『StartUp44田(よしだ)寮』を運営。起業家を公私にわたりサポートしながら起業家特有の思考プロセスや新ビジネス創造手法を研究。それと並行して数々の大手企業の新規ビジネスをサポート&コンサルティング。起業家と大手企業の両軸にわたり、現場にもとづいた新ビジネス創造ナレッジを集積し独自ナレッジとして体系化。 2015年、会社員が起業家ナレッジを学びつつ事業創造に挑戦する「株式会社チーム・ゼロイチ」を設立。代表取締役CEOに就任。

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リーダーシップは「見えないところ」が9割

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リーダーシップは「見えないところ」が9割は全1回(60分)で構成され、リーダーシップデザイナー・人材育成コンサルタントの吉田幸弘先生を講師に招き、指示命令型リーダーの限界や部下が成長する見えないところでの実践を学べる授業です。クイズ形式で状況別のリーダーシップを理解できます。

  • リーダーシップデザイナー・人材育成コンサルタント

    大学卒業後、大手旅行会社、外資系企業などを経て2011年1月に独立。現在は全国の企業、官公庁などで講演・研修に登壇しており、わかりやすく実践的ですぐに行動に移せる内容と評判を得ており、累計の受講者数は3万人を超えている。 著書は「伝え方でいつも得するリーダー なぜか損するリーダー」(PHP研究所)、「どう伝えればわかってもらえるのか? 部下に届く 言葉がけの正解」(ダイヤモンド社)「リーダーの一流、二流、三流」(明日香出版社)、など16冊。世界累計35万部。 NHKおはよう日本、abemaプライム、日経ビジネス、プレジデント、J-wave、東洋経済オンラインなどメディア掲載・出演も多数あり。

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チームの成果を引き上げる 熱狂の火種

チームの成果を引き上げる 熱狂の火種

チームの成果を引き上げる 熱狂の火種は全3回(計187分)で構成され、Axia Strategic Partners代表取締役の岸昌史先生を講師に招き、楽しく結果を出すチーム作りや周囲を熱狂に巻き込む心得、チームに火をともす問いかけを学べる授業です。メンバーの行動を生み出すコミュニケーション手法を習得したい方におすすめです。

  • Axia Strategic Partners代表取締役

    変革デザイナー。三井物産株式会社(人事や経理の他、営業ではインドネシアでの新会社4社立ち上げをリード)、ボストン コンサルティング グループ(年間MVP受賞)、クリエイティブ系スタートアップの事業統括責任者を経て、「人の持つ可能性を爆発させ、未来の憧れとなる人や組織を生み出す」ことを目的に、組織づくりのコンサルティングやエグゼクティブ向けコーチングサービスを提供するAxia Strategic Partnersを起業。 学生時代はアメリカンフットボール部で日本代表や日本一を経験。関西学院大学商学部、北京大学Executive MBA、桑沢デザイン研究所戦略経営デザインコース卒。著書「熱狂のデザイン 楽しく結果を出すチームのつくり方」は、Amazon7部門でNo.1のベストセラーに。 最近、2人の子供とブレイクダンスやキックボクシングを習い始めたが、既に子供に抜かれ、焦って影練中。

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07まとめ

リーダーとは、役職の有無にかかわらず、チームの目標達成に向けてメンバーに働きかける存在です。目標と方向性を示し、メンバーの強みを生かして成長を支援しながら、協働しやすいチームづくりを担います。

リーダーシップに必要な知識やスキル、行動は、学習や経験を通じて伸ばすことができます。メンタリングやコーチング、体系的な研修、実践機会の提供を組み合わせながら、自社に必要な次世代リーダーを計画的に育成していきましょう。

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