公開日:2020/12/10
更新日:2023/07/07

人材開発とは?人材育成との違いやその課題、手法について解説

人材開発とは?人材育成との違いやその課題、手法について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業に貢献してくれる従業員はかけがえのない「人材」であり、企業が高い成果をあげるためにはその人材が存分に能力を発揮できる環境づくりが重要です。そのためには教育や訓練によって、従業員の知識やスキルを高め、パフォーマンスを向上させる人材開発が必要不可欠になってきます。今回はそんな人材開発の定義と方法について解説していきます。

 

01人材開発と人材育成の違い

人材開発によく似た言葉に人材育成がありますが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、この2つの違いについて説明します。

人材開発とは今ある課題の解決に向けて知識や技能を訓練すること

人材開発とは、教育や訓練によって従業員の知識、スキル、態度を高めてパフォーマンスを向上させることです。社内研修や外部講座の受講などのツールを駆使して、現在かかえている課題やその解決策などのために、知識やスキルを磨きます。 人材育成が新しい知識・技術を身につけることに対し、人材開発はその人が持っている能力を伸ばすことを狙いとしています。とはいっても、課題解決をするためには新しい知識も必要になってくるでしょう。人材育成が比較的長いスパンをかけて行っていくのに対して、人材開発は短いスパンでの取り組みとなります。

人材育成とは必要なスキルを従業員に新しく身に着けさせること

新入社員に社会人としての自覚や心構え、ビジネスマナーや業務上必要なスキルなどを習得することは人材育成のひとつといえます。新入社員だけではなく、部署などの配置換えや昇進、昇格によって必要な業務のため、新しいスキルを身につける場面が出てくるはずです。 社員の健康増進や自己啓発・メンタルヘルスケアなど、将来を見据えて比較的長い時間をかけて人材育成を行っていくので、短期間で結果を可視化するのは難しいと言えます。

 

02人材開発の必要性とその背景とは?

人材開発の目的のひとつに企業の経営戦略を実現し、達成することがあげられます。従業員1人1人にとっても、自身のビジネススキルを上げることにより、仕事に対する自信やモチベーションもあがり、仕事の質もレベルアップします。従業員が成長し、ひいては企業そのものも大きく成長する、これこそが人材開発の最大の目的のひとつといえるのです。

終身雇用制度崩壊による若手社員のキャリア観の変化

第二次世界大戦後の高度経済成長期に企業は優秀な人材を囲い込むため、新卒採用や年功序列を前提とした終身雇用を定着させてきました。しかし、現在は当時と比べて、常に右肩上がりの業績を前提とした雇用制度は難しくなってきています。また、働き方改革などにより、働き方にも在宅勤務(テレワーク)など変革が起きています。 終身雇用は年齢が上がるとともに賃金も上がっていくというシステムであるため、仕事の成果で評価されたいと考える優秀な若手社員の価値観とは異なっています。会社への帰属意識も昔と比べて希薄になってきています。若手の人材確保のため、成果主義を取り入れる企業も増えてきました。この成果主義は、終身雇用の崩壊に大きな影響を与えているといえるでしょう。

長期的な育成よりもパフォーマンスを重視した人材開発がトレンド

終身雇用制度の時代は、長い時間をかけて人材育成を行っていく余裕がありました。しかし、雇用制度が多様化し、技術革新など変化の激しい現在においては、短期間で社員のパフォーマンスを引き出す必要があります。また、そのために人材育成や人材開発に使うことのできる時間は限られており、そのことを前提にした手法が必要になってきているといえます。

デジタル化やIoTの導入に対応できる人材開発は必要不可欠

2040年頃には、IoT化とAI化が進むことにより、現在ある仕事の8割が消滅するのではといわれています。しかし、世界的にみて日本はIoT人材の不足や、IoTの理解不足など遅れを取っています。基本的な知識としてインターネット回線などネットワークの知識はもちろんのこと、デバイスを操作するためのWebアプリケーション知識、データ解析などITスキルの他にもコミュニケーション能力やマネジメント能力も求められることになってきます。 世界にはこうした最新技術に積極的に取り組んでいる企業が数多く存在します。IoTによる第4次産業革命に乗り遅れないためにも、最先端のテクノロジーの知識を用い、自社あるいは顧客に価値を提供できるデジタル人材を育てていくことが、今後必要不可欠になってくるはずです。

 

03人材開発の主な研修手法3つとは?

人材開発の具体的な手法について、主要な3つの方法について具体的にみていきましょう。

期限とゴールを決め、それに向かって進めるOJT

新入社員の人材育成にも取り入れられることの多いOJTは、現場で上司や先輩が実際の業務をしながら、必要な知識・技能を指導していくトレーニングです。何をいつまでに習得するのかを事前に明確にしておくことで、OJTの効果がでるでしょう。 そのためには習得期間やOJT担当者を選出しましょう。講習内容によっては、複数の社員に担当させることを視野に入れておく必要があります。

▼OJTに関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】成功するOJT研修とは?

職場を離れて研修やセミナーを開催するOFF-JT

OFF-JTとは、職場外訓練と呼ばれることもあるもので、外部のセミナーなど仕事から一旦離れて受ける研修のことです。管理職に対するマネジメント研修や中堅社員向けのリーダーシップ研修など、階層別、職能別、目的別に実施されるケースが一般的です。

業界の最新動向など専門性の高いものを学習できる場でもあります。厚生労働省の平成29年度「能力開発基本調査」によると、正社員を対象にOFF-JTを実施した企業は75.4%と増加傾向にあります。

参照:平成29年度「能力開発基本調査」の結果概要|厚生労働省

職務や目的、専門的な内容を深く学べ、管理職にステップアップする際など、実施タイミングを逃さず、実務に関連のあるものを見極めて研修内容を決める必要があります。

これらのメリットは、一旦業務から離れて研修や訓練に集中できることです。研修で学んだことを実務に反映させるためにも、どのような内容の研修を受け何を学んだのか、社内向けに報告会を開くのもいいでしょう。

▼OFF-JTに関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】OFF JTとは?OJTとの違いやメリット・デメリット、OFF JTで教育効果を高める方法を解説

SD(自己啓発)奨励制度を使って人材開発を進めることも可能

SD(Self Developmentの略)とは自己啓発のことで、自ら課題を見つけて自ら学習することを意味します。自己啓発の方法は読書をする、社内外の研修やセミナーに参加する、コーチングやコンサルタントの力を借りるなど、実にさまざまです。その費用の負担や、セミナーや通信教育の情報提供などを行っている企業もあります。こうしたものを利用して、人材開発を進めていけます。隙間時間でも学べるeラーニングや、耳から学習するオーディオブックなど、時間を有効に使える方法もあります。

自己啓発は選択肢が多くあり、自由度が高いので、途中で挫折しないよう、目標達成や実現に向けたテーマを決めて、目標の形を整えておくといいでしょう。

 

04人材開発を推進するうえでのポイントとは?

これから人材開発を進めていく上で、どのような点に留意する必要があるのでしょうか。ここでは3つのポイントについて詳しく解説します。

経営課題にリンクさせる

人材開発は組織の成長に欠かせないため、経営課題や事業戦略になるべく沿った形で計画を立てることが大切です。経営課題などに沿わない計画だと、スキルを身に着けたとしても活かす場面がないといった状況に陥る可能性があるためです。そのため、計画を立てる前に経営層とコミュニケーションを取りながら、目線を合わせることが重要です。

従業員のスキルを把握し適切な挑戦をさせる

人材開発を行う時に大事なのは求める人材像を定義し、それに対して現在はどのような状況なのかを把握することです。この現状を把握していく段階で、従業員の隠れたスキルに気づいたりすることもあるでしょう。また、どのような人材かを正確に捉えたあとで、チャレンジさせる内容が適切であるかを検討しましょう。むやみに新しいことにチャレンジさせることだけが人材開発ではありません。適材適所で行うことが大事です。

 

05自己開発制度を活用した企業のユニークな事例を紹介

厚生労働省では、平成24年度から従業員の自律的なキャリア形成の支援に取り組む企業を公募し、優れた事例を表彰する「キャリア支援企業表彰」を実施しています。

事務機器、光学機器などを製造するメーカーの株式会社リコーでは、人材タイプを7つに分け(事業トップのビジネスリーダー、新規事業創造リーダー、スペシャリスト、マネージャー、機能トップのビジネスリーダー、プロフェッショナル、プロジェクトリーダー)、タイプ別育成とキャリア開発支援施策を行っています。

また、社員のキャリアや育成を重視した「目標統合プログラム」をつくり、PDCAを実現しているほか、世代別の「キャリアデザイン研修」、個々の社員の「キャリア相談」も行っています。

三大メガバンクのひとつである三菱東京UFJ銀行では、学びの場の提供として、平成27年にグローバルラーニングセンターを作り、次世代リーダーやグローバル人材の育成に活用しています。そのほか、自己啓発講座や、資格取得支援、語学学習、オンライン学習サービスなど主体的な社員の成長をサポートしています。

 

06人材開発支援助成金を利用して研修を外注してみると可能性が広がる

雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識及び技能を修得させるための職業訓練等を受講させる事業主等に対して助成する制度が、人材開発支援助成金です

この助成金には、特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース、障害者職業能力開発コースなどさまざまなものがあります。

特定訓練コースには、訓練時間10時間以上のOFF-JT、OFF-JT+OJT、一般訓練コースには20時間以上のOFF-JTのコースがあり、コースに応じて助成金を受けとることができます。助成を受けるには、雇用保険適用事業主であること、訓練期間中の訓練受講者に賃金を適正に支払っている事業主であることなどの要件があります。

この助成金を利用して、研修を外注してみてはいかがでしょうか?

企業にとって研修講師を招く費用、交通費、社員の時間調整などの負担が気になるところですが、自発的に動ける人材開発を目的としたOFF-JTは低予算で実施可能です。


 

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07効率的な人材開発にはSchooのオンライン学習サービスがおすすめ

Schooビジネスプランでは5800本以上の授業を揃えており、動画配信でさまざまなニーズに応えられる授業を提供しています。どの研修内容も、各業界における第一人者や専門家が多数登壇し教えてくれるのでわかりやすく、受講者はチャットなどを通じて講師に直接質問できます。オンライン学習サービスとはいっても、オフラインと限りなく近い状態での学習が可能です。

受け身型の学習にならないようなコンテンツが多いのも、スクーのオンライン学習サービスの特徴。デバイスや時間、場所に制限されず、受講者に合わせた学習スタイルが提供されます。さらにスクーでは、階層別・職種別・テーマ別の研修パッケージを用意しています。必要なコンテンツがわかりやすいため、コンテンツ選びに迷うことなく、効率的に学習できます。

人材開発にオススメの階層別研修パッケージ

新入社員研修

実施している企業は大変多いですが、新入社員にはやはりビジネスマナーの基礎を習得することが必須となってきます。 身だしなみや挨拶、敬語といった第一印象を磨くノウハウ、また、ホウレンソウや名刺交換、電話対応などビジネスパーソンとしての常識などもこのビジネスマナー研修で学ぶことができます。 さらに、ビジネスマナー研修では新入社員の意識をスムーズに切り替える効果もあります。 これまで学生だった新入社員の中には、学生気分が中々抜けきれない人も多く、そのままクライアントや社外に出してしまうと会社全体の印象ダウンに繋がりかねません。 学生と社会人の意識の違いについても丁寧に研修が行われますので、ビジネスマナー研修は新入社員に間違いなく必須の研修となるでしょう。 また、企業によってはビジネスマナー研修のほか、 ・コンプライアンス研修 ・ビジネス文書作成研修 などの研修を行っている企業も多いので、合わせてこの2つの研修もオススメです。

新入社員研修ラインアップ

若手社員研修

入社~5年目程度の若手社員には業務効率改善研修がおすすめです。 基礎スキル向上研修では、現代のビジネスパーソンとして必須となっているwordやExcel, powerPointなどのツールスキルを身につけることができます。 これらのツールは意外と基礎を学ぶことなく、何となく使い続けている人が非常に多くなっています。 しかし、数ある有用なツール機能を使いこなせないままでいると、同じ業務でもスピードや効率に大きな差が生まれてしまいます。 また、既存業務の改善でもこういったツールの知識は必ず必要となるものです。 このようなツールの基礎知識は、階層が上がるごとに研修をし直すのが困難となりますし、独学で学ぶのにも多大な時間と労力が必要となってしまいます。 そのため、若手階層のうちに研修を通して素早く習得しておくことがおすすめです。 また新しく部下を持つことになる若手層社員には ・OJT研修 ・メンター制度研修 といった研修もおすすめです。

若手社員研修ラインアップ

中堅社員研修

中堅社員には「課題解決研修」や「セルフマネジメント研修」がおすすめです。 中堅社員は価値の創出だけではなく、現状の課題の発見・改善にも注力せねばなりません。「課題解決研修」では、課題の発見、設定、そして解決という流れを意識した課題解決のプロセスを身につけることができます。 また管理職層やリーダーへ昇進を控える中堅社員は、自己の目標や成果を管理する能力が必須となります。 「セルフマネジメント研修」ではPDCAサイクルの回し方や将来リーダーとして組織を率いるために必須の目標管理スキルを習得することができます。 またこの他に ・リーダーシップ研修 ・コンプライアンス研修 といった研修も併せて人気となっています。

中堅社員研修ラインアップ
  • 中堅社員に向けた課題解決に関するカリキュラムです。 ケーススタディを交えて課題解決思考を鍛えることができるパッケージになっています。
  • 中堅社員を対象とした、セルフマネジメントのカリキュラムです。 仕事の効率化に活かせるセルフマネジメント方法について学べる内容になっています。
  • 中堅社員を対象とした、OJT研修に関するカリキュラムです。 中堅社員がOJTを通じてどのように部下を育成していけばいいかを学べる内容になっています。
  • 中堅社員を対象とした、モチベーションアップを目的としたカリキュラムです。 一通り業務を実践してきた中堅社員がモチベーションを保つコツを学べる内容となっています。
  • 中堅社員を対象とした、業務効率化について学べるカリキュラムです。
  • 中堅社員を対象とした組織運営について学ぶカリキュラムです。 経営学の基本や具体的なチームビルディングのポイントなどを学べる研修となっています。
  • 中堅社員のコミュニケーションスキル向上を目的としたカリキュラムです。
  • 中堅社員を対象とした、リーダーシップを学ぶカリキュラムです。
  • 組織で働く全ての人のための情報セキュリティやハラスメントなどのコンプライアンスを学ぶカリキュラムです。

管理職研修

管理職社員はその立場上、全社的な職場課題の解決や、人材育成、重要な意思決定の判断など多用なマネジメントスキルを求められます。 組織マネジメント研修では、全社を総括するマネージャーとしてどのような点を意識して組織をリードすればいいのか、マネージャーとしての役割とはどういったものなのか?といった「管理職のための組織運営力」を養うことができます。 一方リスクマネジメント研修は、現代のインターネットやSNS文化が成熟した世の中で、小さなトラブル拡散による企業ブランドの失墜や、インターネット上での炎上リスクなど、現代社会特有の不測の事態に対する予防、収束ノウハウを学ぶことできます。 こういった管理職社員に求められる組織マネジメント能力は、実地で体系的に習得することが困難なため、研修やセミナーを通して効率的に習得していくことがおすすめです。

管理職研修ラインアップ

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08まとめ

これからの日本は超高齢社会を迎え、労働力不足が予想されています。優秀な人材の獲得競争は激化し、獲得した人材をいかに定着させるかが重要なミッションになってきます。人材開発の必要性や手法を社内でもぜひ共有するようにしてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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