12/6(Tue)

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自己理解とは?必要性や深め方について解説

<目次>
1:自己理解とは
2:自己理解に似た言葉と違い
3:自己理解を深めるメリット
4:自己理解が浅いデメリット
5:自己理解を深めるのはなぜ難しいのか
6:自己理解の深め方
7:自己理解を深めたい人におすすめの授業
8:まとめ

就職や転職、スキルアップを成功に導く要素の1つが自己理解だと言われています。自己理解ができていれば自分の適性に合った決断ができるようになるので、ビジネスパーソンとしての可能性も広がるからです。

ここでは自分を客観視して最適な選択をするために役立つ、自己理解の方法をSchooオリジナル授業『自己認識力 〜キャリア開発のための自分の本質』の内容を交えて解説します。

 

自己理解とは

ここからは自己理解ができている状態をイメージしやすいよう、まずは自己理解の定義と自己理解を深めることによって得られる効果を見ていきましょう。

 

自己理解(self awareness)の定義

若者の自立支援を目的に実施されている、内閣府のユースアドバイザー養成プログラム(※)では自己理解について「いくつかの手段により自分の気質,性格,ある種のタイプ,価値観,考え方,態度・行動などを深く知り,それを自分自身が納得して受け止めている状態のこと」と定義しています。また自己理解には2つの状態があると言われています。

  • ・公共の自己理解

社会生活を営む中で他者からどのように見られているか理解すること。社会規範を守りながら行動するために必要な状態。

  • ・私的自己理解

外部からの刺激による心身の変化を理解すること。感情を調整したり、ストレスを解消するきっかけを作るために必要な状態。

つまり自己理解とは、過去の経験から培ってきた価値観や言動のクセ、長所短所といった自分のパーソナリティに対する理解に加えて、出来事に対する心情の変化に気付いたり、自分の状態を客観視できる状態だと言えます。

※引用:内閣府「ユースアドバイザー養成プログラム」

 

自己理解を深めるとは

私たちは他者との関係が広がるにつれて、多様な社会関係の中での自己を認識するようになります。この時、自己を特徴づけていくのが「優しい」「引っ込み思案」などのパーソナリティ(発達によって変化する特徴)です。現在パーソナリティは遺伝と環境の2つの要素が影響を及ぼしながら形成されていると考えられています。

人はパーソナリティをはじめとした自分の特徴を用いて「自分は○○な人間である」イメージを作り上げていきます。自分のイメージは他者との比較や確立した自己を一歩引いた視点で客観視する力(セルフモニタリング)を通してより確かなものになります。このようにパーソナリティを理解した上で、客観視することで自分を確立させるのが「自己理解を深める」です。

また自己理解を深めるためには、自分を確立させるライフスキル(日常生活の中での問題に対して、建設的かつ効果的に対処する能力)も必要になると言われています。つまりライフスキルを獲得すると、パーソナリティや自分の価値観が確かなものになり、自己理解がさらに深まるのです。

※参照:『生涯発達心理学 認知・対人関係・自己から読み解く』(2016)

 

自己理解に似た言葉と違い

自己理解 自己意識 自己評価

自己理解の定義や構造をより理解できるよう、自己理解と似ている言葉の意味と違いも理解しておきましょう。

 

自己意識

 

自己意識とは、外界ではなく自分自身に向けられる意識のことであり、向けられる自己の側面によって次の2つに分けられます。

  • ・公的自己意識

他者が観察できる自己の外面(容姿や振る舞いなど)に向けられる意識

  • ・私的自己意識

他者から観察できない自己の内面(感覚、感情、思考など)に向けられる意識

自己理解が自分の価値観や考え方を受け止められている状態を指すのに対し、自己意識は自分に向けられる意識のことを意味します。つまり自己意識とは、自己理解を構成する一つの要素だと言えるでしょう。

 

自己評価

人事評価などのビジネスシーンで用いられる場合での自己評価とは、自分の価値を見出すために自分の変化や優れている点・改善すべき点に自ら気付くことです。一方社会心理学では、自己評価を「自分がどのような特徴を有しているか認知した内容に対して(他者と比較しながら)自分を評価すること」と定義しています。

つまり自己評価とは自分の状態と特徴を把握した上でそれを評価し、改善する一連の流れだと言い換えられるでしょう。自己理解があくまで自分の状態と特徴を把握する行為であるのに対して、自己評価は自己理解した結果を他者と比較することで評価・改善に繋げる点で異なります。

※参照:科学事典「自己評価」

 

自己肯定

自己肯定とは臨床心理学者の間でも定義が分かれる用語ではありますが、一般的に自分の長所・短所、気質などありのままの自分の状態に対する肯定を意味します。自己を肯定していると感じられる状態を意味する「自己肯定感」は臨床心理学者・高垣忠一郎氏によって提唱された言葉であり、不登校や無気力(没個性)状態にある子どものカウンセリング結果から彼らの心理状態を説明するために自己肯定感の用語が初めて用いられたと言われています。

また「自己肯定・自己肯定感」は国立青少年教育振興機関の調査(※)によって「アメリカや韓国などの諸外国と比較して日本の子どもの自己肯定感の低さが顕著である」と述べられたことから、教育や臨床心理の分野で注目されている用語です。

つまり自己肯定とは自分の価値観や考え方を理解する自己理解に留まらず、自分を構成する要素を肯定まで昇華させる点や、用いられる分野が教育現場に端を発している点で自己理解と異なると言えます。

※参照:高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-(2015)

 

自己理解を深めるメリット

自己理解 メリット

自己理解を深めることは自分の価値観や考え方(パーソナリティ)の確立に繋がることが分かりました。ここからは自己理解を深め、自己を確立することで得られる主なメリットを3つ解説します。

 

自己制御が上手くなる

自己理解を深めれば内省の機会が増えるため、自分の感情が変化しやすいきっかけや環境が把握できるようになります。

例えばトラブルがあり、極度の落ち込みや緊張、怒りを感じたとしても、自己理解が深まっている状態であれば、自分がどのような感情であるか瞬時に把握しやすくなり、冷静さが保てます。また自己理解は自分を客観視すること(セルフモニタリング)によって深まるため、沸き起こった感情から起こりうる行動が、他者にとって好ましいか否かを判断しやすくなるので、結果的に自己制御が上手くなるのです。

 

よりよい意思決定ができるようになる

キャリアを含む人生において「よりよい意思決定」とは、優しい・心配性などの気質(パーソナリティ)に合った環境で自分の長所を活かせる状況など「自分の特性・理想に合った選択」だと言えるでしょう。

自己理解が深まっていれば、パーソナリティや自分の長所・短所の理解度が高いので、自分の気質を尊重しながら働ける環境や長所を強みに活躍できる職種を絞り込みやすくなります。また自己理解を深める過程で他者からのフィードバックも得ている場合が多いので、絞り込んだ選択肢の中から客観的に自分に合った選択ができる傾向があります。

また環境に応じて柔軟に自分を変化させながらキャリアを構築するプロティアン・キャリアに必要な要素の1つ「アイデンティティ(自分が認識する自分)の確立」は自己理解が深く関わっています。自己理解を深めると、変化する環境に合わせながら自分の適性・才能や価値観に合ったキャリア選択もしやすくなるのです。

 

他者への影響力を高められる

自己理解 リーダーシップ

ここまで解説してきたように、自己理解は自分の気質や長所・短所を否定せずに働ける環境を見つけたい場合や、人生をより良くするために役立ちます。

さらに自己理解によって得られた知識や自己管理力は自分のためだけではなく、他者のためにも役立つと言われています。自己理解を深める中で他者から自分がどのように見えているか考えるようになるため、意識が自分の内面だけではなく他者にも向くように変化するからです。

この結果、他者への共感力や他者の考えを傾聴するヒアリング力も向上するため、ビジネスシーンにおいて関係者との繋がりや影響力も深められるのです。

 

自己理解が浅いデメリット

自己理解 デメリット

自己理解を深めることで、活躍しやすい環境で働きやすくなるだけではなく、他者との関係向上も期待できることが分かりました。ここからは、自己理解を深める意義を知るために、自己理解が浅い状態のデメリットを3つ解説していきます。

 

成長速度が鈍化する

自己理解が浅い状態では、他者から見た自分のイメージと自分が認識しているイメージに乖離が生まれやすくなります。そのため、他者から自分の言動や仕事の質についてフィードバックをもらっても素直に受け止められず、欠点を補って成長する機会を逃してしまう傾向があるのです。

また自己理解が浅い場合は内省の習慣が根付いていないため、自分の感情や言動を客観的に把握できていない可能性も高まります。そのため、第三者との関係を良好に保ち、刺激を受けながら成長する機会も得にくいと言えるでしょう。

 

自分に合う・合わないの判断精度が下がる

自己理解が浅い人は内省だけではなく、自分と他者の比較が十分にできていない傾向があります。そのため、自分の短所・長所が正確に把握できていない可能性があり、現実と認識の乖離が発生しやすくなります。

このような状態で起きてしまう代表例が「理想ではあるが、不得意な仕事に就いて短期離職してしまう」をはじめとした理想と現実の乖離による失敗です。また自己理解が浅いと自分が分析する自分のイメージだけで適性を判断してしまうため、他者のアドバイスを参考にして、より良い選択に軌道修正することも難しいでしょう。

 

自分らしさが実現しにくくなる

自分らしさは以下3つの要素が重なっている部分で構成されています。また、これらのうちどれか1つが欠けてしまうだけでも自分らしさが実現しにくくなると言われています。

  • ・好きなこと(情熱)
  • ・大事にしていること(価値観)
  • ・得意なこと(才能)

上記3つの要素のうち、まずは自己理解によって自分の価値観(パーソナリティ)が確立されていることで自分らしさが見つけやすくなる傾向があります。そのため、自己理解が浅い場合は自分らしさを見つけるのに時間がかかってしまうでしょう。

また「得意なこと(才能)」は自分が認識している自分のイメージだけではなく、他者から見た自分のイメージを統合することで理解できる要素です。自己理解が深まった上で、他者からのフィードバックを受け入れる傾聴が欠かせません。自己理解が内省だけで終わっている場合は、自分らしさの実現が難しくなるでしょう。

 

自己理解を深めるのはなぜ難しいのか

自己理解 難しい

ここまで解説してきたように、よりよい人生やキャリアのために、自己理解は必須スキルだと言えます。一方、自己理解に難しさを感じる方も少なくありません。このように自己理解を深めるのが難しいと言われるのは自己理解を深める上で、自分のポジティブな面だけではなく、ネガティブな面に向き合う必要があるからです。

自己理解 アイデンティティ

実際に社会心理学者エリクソンが「アイデンティティ(自分が認識する自分)」を基準に提唱した、人間心理の8つの発達段階(上図参照)では、心理状態にポジティブな影響を与える要素とネガティブな影響を与える要素、それぞれに向き合うことで、各年齢期で獲得できることがあるとしています。

上図にまとめられているように、自己理解によって確立されるアイデンティティの項目を参照すると、アイデンティティの確立(自己理解)に対するネガティブな面は「同一性拡散」とされています。つまり、自己理解を深める上で「自分が何者か分からなくなってしまう状態」に陥るリスクがあるのです。

また自己理解に必要な他者からのフィードバックは、必ずしも肯定的な内容ではないため、落ち込んでしまう場合もあります。このように、自己理解を達成するまでの過程ではネガティブな面を受け止める精神的な強さと柔軟性が求められるため、自己理解は難しいのです。

 

自己理解の深め方

自己理解の構造が分かったら、次は「内省」と「他者からのフィードバック」から、実際に自己理解を深めていきましょう。次で具体的な自己理解の深め方を3つご紹介します。

 

内省や自己分析をする

内省や自己分析には以下のようなフレームワークを用いるのがおすすめです。

< ジョハリの窓 >

自己理解 ジョハリの窓

ジョハリの窓とは自己分析をしながら、他者との関係や他者から見える自分のイメージを知ることで、自己分析をする思考ツールです。対人関係に関する研修に参加した経験がある方はグループワークで実施した経験があるかもしれませんね。他者から見た自分の気質・特徴を知りたい方や自分がイメージする自分と他者から見た自分の齟齬を減らしたい方におすすめです。

< モチベーショングラフ(人生曲線) >

モチベーショングラフとは、自分の過去を横軸に並べ、当時のモチベーションの高さを縦軸に点で記載し、それらを繋いで曲線でモチベーションの変化を可視化するためのツールです。モチベーションがアップした出来事は前述した「自分らしさ」を表すと言えるでしょう。自己理解を深め、私生活や仕事でのやりがいを把握したい方におすすめの方法です。

< SWOT分析 >

自己理解 SWOT分析

SWOT分析とは自社の強み・弱み・好機・自社にとっての脅威の4つを可視化して、経営戦略や自社の状況を把握するマーケティング手法の1つです。このフレームワークは就活・転職の際、自分の長所・短所を理解するのにも役立ちます。

< Will,Can,Mustの3つの輪 >

Will,Can,Mustの3つの輪とは以下の3つの項目に分けて物事を考えるフレームワークです。

  • ・Will:やりたいこと(働く目的)
  • ・Can:できること(強み)
  • ・Must:やらなければならないこと(相手からの要求)

「Will,Can,Mustの3つの輪」は、やりがいを持って働くために必要な条件を自己理解をとおして整理・分析する際に役立ちます。

 

周りの人からフィードバックを受ける

自己理解 フィードバック

フレームワークを用いて自己理解を進めるだけではなく、他者から見た自分のイメージを知ることで、自己理解の精度が高まります。周りの人にフィードバックを求めるのは勇気が必要ですが、例えば1on1や評価面談など上司とコミュニケーションが取れる機会は、比較的自分の仕事ぶりや言動について聞きやすいです。また自分の気質については幼少期から自分を知っている親族に聞いてみると詳しいフィードバックが得られるでしょう。

 

コーチングを受ける

コーチングとは親や管理職の人間などが子や部下を目標達成のために導く手法です。コーチングでは答えを与えるのではなく、答えをつくり出すサポートをします。そのため、コーチングを受ければ自分の中にある答えを見出したことで納得感を得やすいと言われています。

コーチングはあくまで自分に向き合い、納得できる答えを見つけるための方法なので、自己分析やフィードバックから自己理解が深められないと感じた場合に役立つでしょう。

 

自己理解を深めたい人におすすめの授業

この記事を通して自己理解の構造や方法を理解したところで、最後にSchooオリジナル授業でさらに自己理解を深めていきましょう。

 

自己認識力 〜キャリア開発のための自分の本質

自己認識力 〜キャリア開発のための自分の本質

< コース概要 >

本コースでは、自分の価値観や願望を明確に持ち、自分のことをよく理解できている「内面的自己認識力」と、他者が自分のことをどのように見ているかを正確に掴んでいる「外面的自己認識力」の両方を高めることがいかに大切かを学びます。

先生プロフィール

白崎 雄吾

白崎 雄吾(しらさき・ゆうご)
ブラックラムズ東京 クラブビジョナリーオフィサー。2002年明治大学政治経済学部卒。リクルートグループ2社を経て、2012年㈱ビジネス・ブレークスルー入社。大前研一と共に次世代リーダー育成プログラムの立ち上げに従事。2017年ビジネス・ブレークスルー大学事務局長としてカリキュラム開発、教員採用、学生募集等大学経営全般の業務と並行して、企業やスポーツチームの研修講師として活動。2022年より㈱En人を設立。

 

まとめ

キャリア構築において自己理解は有効な手段です。自己理解は現在だけではなく、過去をふり返り、未来を考えることで深められます。また内省と他者からのフィードバックを組み合わせることで、自己理解の質を高められるでしょう。Schooでは自己理解をはじめとしたマネジメント・リーダーシップに関する授業が月額980円で受け放題です。ぜひ活用してくださいね。

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