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2022年12月23日 10:28 更新
インターネットを用いた情報収集が当たり前となった昨今、企業や個人を問わずホームページの運用をすることも一般的となっています。また、その中で自社メディアとしてオウンドメディアの運営をしている会社を見かけることも多くなりました。
ここではオウンドメディアの運営時に抱えがちな「参考になる事例が見つからない」「成果を測定する指標がわからない」などの悩みが解決できるよう、オウンドメディアの運営目的や事例、目標の設計や効果測定などに役立つ情報をまとめて解説します。
まず初めにオウンドメディアの運営目的を理解するために、オウンドメディアとそれに関連するメディア形態について解説します。
トリプルメディアとは企業と消費者をつなぐオウンドメディア(発信)・ペイドメディア(仲介)・アーンドメディア(拡散)の3つのメディアです。
トリプルメディアはコンテンツを配信するオウンドメディアを中心に、コンテンツに流入させる仲介・拡散の役割を担う、ペイドメディアとアーンドメディアとの相互関係で成り立っています。アーンドメディアを構成する各メディアの概要は次の通りです。
オウンドメディアの「オウンド」とは英語で「所有」を意味し、その名の通り自社が所有するメディア群です。トリプルメディアにおいて、コンテンツの発信元の役割を果たします。そして「オウンドメディア」に当たる、自社が所有するメディアの幅は次のように広義と狭義で異なるため、理解しておくと良いでしょう。
▼広義
企業のパンフレットや広報誌、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークサービスを含む、企業が所有するメディア全般
▼狭義
ウェブマガジンやブログなどの自社情報を発信するWEBサイトのみ
このように広義と狭義でオウンドメディアの範囲に含まれるメディアの幅に違いはあります。一方、運用目的が事業課題や採用課題を解決するための手段である点は共通しています。
ペイドメディアとは、企業が発信するコンテンツを費用を支払うことで広告として出稿できる形式のメディアです。代表的なペイドメディアの例には、次のようなものが挙げられます。
オウンドメディアがコンテンツの発信元であるのに対して、ペイドメディアは検索エンジンの検索結果やテレビや、新聞をはじめとしたマスメディアに掲載される広告を介してオウンドメディアにユーザーを流入させる役割を担います。
アーンドメディアとは「アーンド=信用や情報を獲得する」という意味の通り、広告でもなく、自社所有でもなく、信用を元に情報が拡散されるメディアを指します。代表例には次のようなプラットフォームが挙げられます。
商品やサービスの品質に満足してもらうことで、消費者からの発信で複数の消費者からの信用を獲得するための役割を担います。
ユーザー同士が共感することで情報が共有され、ポジティブな情報は企業とユーザーの関係値の構築や売上に繋がる特徴があります。
一方でネガティブな情報が拡散されてしまった場合は、ブランド価値や売上に悪影響を及ぼしてしまうため、企業が情報をコントロールできない点には注意が必要です。
前述したように広義の意味のオウンドメディアは「企業が所有するメディア全般」を指すため、企業の公式サイト(コーポレートサイト)とオウンドメディアのすみ分けが理解しにくいと感じる場合もあるでしょう。
オウンドメディアと企業の公式サイト(コーポレートサイト)の違いは運用の目的にあります。それぞれの運用目的は以下のとおりです。
▼運用目的
公式サイトと同じように、広義の意味でのオウンドメディアは自社のSNSアカウントも含まれますが、狭義の意味では自社が保有しコントロールできるメディアのみが該当するため、自社SNSアカウントは含まれません。
また狭義のオウンドメディアがコンテンツの発信元となっているのに対し、自社SNSアカウントは作成したコンテンツの拡散の役割を担える点で異なります。
ここまでトリプルメディアの1つとしてのオウンドメディアについて、ペイドメディア・アーンドメディアとの違いや、公式サイトとの違いからオウンドメディアの概要や役割を解説してきました。
実はオウンドメディアが注目される背景には、SNSの普及やユーザーのITリテラシーの向上が関係していると言われています。
2010年以降スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスが普及し、GoogleやFacebook等の大手プラットフォームが急成長しました。それに伴い、消費者は企業側から発信される情報を受け取るだけではなく、自ら積極的に情報を収集し、購入の意思決定をする傾向が強まったのです。
そして広告を中心に消費者に情報を届けていた企業側は、情報収集手段の多様化により、「広告発信だけでは消費者の心に響くコミュニケーションを取ることが難しい」課題を抱えるようになりました。
そのため、一過性の広告だけではなく、自社ユニークでユーザーに価値のある情報をWEBメディアやブログ、公式SNS等を通じて発信していくオウンドメディアの運営が重要視されるようになったのです。
オウンドメディアの運営目的は企業の課題によって異なるのが実情です。そのため、オウンドメディアの主な運営目的は次のように複数存在します。
自社の商品やサービスを知らない非認知層(潜在顧客)に対してアプローチしたい場合は認知獲得を目的にオウンドメディアが運営されます。
認知獲得を目的としたオウンドメディア運営の場合は、自社商品やサービスの利用者になり得るターゲットが抱えている課題を解決するために役立つコンテンツの継続発信が必要です。
また非認知層(潜在顧客)に対してオウンドメディア内のコンテンツを提供する場合は、情報提供によってただ単に課題を解決するのではなく「自社の商品・サービスが役立つこと」を訴求できるようにコンテンツを制作すると良いでしょう。
既に成熟した市場や業界でビジネスを展開する企業でオウンドメディアを運営する場合は、他社の商品・サービスと自社の商品・サービスを差別化するため、ブランディングやファン作りが目的になります。
ブランディングやファン作りを目的としたオウンドメディアは企業名やサイト名、商品名での指名検索による流入が多くなる傾向にあります。またブランディングやファン作りを目的にオウンドメディアを運営する場合は、既にブランドコンセプトが確立されている状態が好ましいでしょう。
中長期的な施策として取り組むオウンドメディア運営では問い合わせ・リード(見込み顧客)獲得も目的の1つになり得ます。特に複雑な承認プロセスや、商品やサービスの単価比較が欠かせないBtoBビジネスでは、商品やサービスの認知が獲得出来たとしても直後に購入に移行する顧客は多くありません。
そのため、商品やサービスの購入に繋がる可能性が高い顧客とオウンドメディアで接点を持った後に検索エンジンやメルマガを経由して定期的にコンテンツを提供することで、問い合わせやリードを獲得し、商品やサービスの購入へと繋げるのです。
トリプルメディアにおけるオウンドメディアは中長期的に見込み顧客や既存顧客と接点を持てるメディアであり、さまざまな目的に合わせて運営できることが分かりました。次ではオウンドメディアのメリット・強みを改めて解説していきます。
トリプルメディアの中でもオウンドメディアの優れている点は、コンテンツを中長期的な資産としてストックし、活用できることです。
例えば広告の場合、露出しているコンテンツにユーザーが触れるのは主に出稿中のタイミングに限られます。そのため、見込み顧客や既存顧客が企業のコンテンツを認知し、接触するのは瞬間的だと言えるでしょう。
一方、オウンドメディアは作成したコンテンツをストックしていくことが可能です。ニュース性の高いものは別として、時間の経過によって価値が劣化しにくい情報(例えばレシピ等)は過去に作られたものであってもユーザーにメリットを提供できます。
これらはWEBサイトが閉鎖されるなどがない限り蓄積され、ユーザーがそのコンテンツを気に入れば繰り返しの訪問につながります。
このようにコンテンツを資産としてストックできるオウンドメディアの特徴は、検索エンジンからの流入を目指すSEO施策と相性が良いと言えるでしょう。
オウンドメディアを活用すればインターネット広告以外の流入経路でユーザーを獲得することが可能です。具体的には検索エンジンやSNSを使って情報を収集したり、課題を解決したいと考えているユーザーにアプローチができます。
もちろんオウンドメディアでの集客にもコンテンツ制作に時間と人件費がかかりますが、長期的に見ればインターネット広告を利用するよりも費用対効果が良くなる可能性があります。
オウンドメディアは前述のように中長期的な視点で見ると、集客力や費用対効果の面でメリットがあります。
これらは商品を認知し、関心を持ち、検討して購入する見込み顧客の行動ファネル(商品・サービスを認知してから購入するまでの様子)の中でも、初期段階のユーザーに対するアプローチにおける強みだと言えるでしょう。
さらに比較検討・行動フェーズでもオウンドメディアを運営するメリットがあります。自社のオウンドメディアに触れるのは必ずしも新規顧客とは限りません。そのため、既存顧客のニーズの把握にも役立てることができるのです。
広義のオウンドメディアとして自社SNS運用で言えば、SNS上で直接既存ユーザーとコミュニケーションを取ることもできます。また、WEBメディアの運用についても既存ユーザーが特定カテゴリの記事をよく読んでいるなどのデータがあれば関心のある領域を知ることが可能です。
一方、オウンドメディアの運営には他のメディア形態と比較した際にデメリットや弱みもあります。オウンドメディアの運営を始める場合は前述のメリットとのバランスやデメリットへの対策を考慮しておきましょう。
オウンドメディアはコンテンツを蓄積することで顧客の流入を増やし、商品やサービスの認知や購入に繋げる手段です。そのため、コンテンツを充実させるにはライターや編集者、カメラマン、WEBディレクターなどの人員を確保するための人件費や制作費用が必要になります。
オウンドメディアに掲載するコンテンツは大まかに企画・制作・品質チェック・効果分析・改善に分けられ、複数人で運用することになります。そのため、メディアを立ち上げて間もない頃にはレギュレーションや制作フローの策定などコンテンツ運用に関する共通認識を定める必要があります。
さらにコンテンツの情報を最新かつ高品質の状態に保つには定期的なリライトやメンテナンスが必要になるため、ペイドメディアやアーンドメディアと比較すると運営に手間がかかる点も、運営体制が整っていない組織の場合はデメリットになるでしょう。
例えば自社でWEBメディアを運用して検索エンジンからの集客を強化しようとした場合、検索エンジン上で上位表示されることが必要になります。
一方、オウンドメディアに掲載したコンテンツが検索エンジン上で評価され、流入やコンバージョンに繋がるまで約半年~1年がかかることもあるとされており、短期的に効果を出したい場合にはオウンドメディアの運営は向いていないと言えます。
また、自社のSNS運用においてもフォロワーは徐々に増えるものであり、初めから多くの人に情報を拡散することは難しいでしょう。
オウンドメディアは企業の事業課題や運営目的によって、運用の仕方や効果を測定するための指標が異なるため、参考になる事例を見つけにくいのも課題です。ここではオウンドメディアの運用事例を事業形態やメディアの運営形態に分けてご紹介します。
「経営ハッカー」は『free会計』や『free人事労務』をはじめとした、事務管理を効率化するためのSaaS型クラウドサービスを開発、運営するフィンテック企業freee株式会社が運営するBtoBオウンドメディアです。
「会社設立」「経理・財務」「経営・戦略」「人事・労務」「上場準備」「働き方改革」のカテゴリが用意されており、それぞれのカテゴリに合ったインタビュー記事や基礎知識を学べるコンテンツが公開されています。
※参照情報:freee株式会社「経営ハッカー」
「PEnCIL by Schoo」は弊社が運用するオウンドメディアです。Schooでは参加型の生放送授業と、7,500本以上の動画教材で「仕事に生きる」知識・スキル・考え方を学べるサービスを開発しています。
制作しているオリジナル授業を元に「OAスキル」や「ビジネススキル」などのカテゴリから、通常の動画とは違った角度での学びを提供するメディアとして運営しています。
※参照情報:株式会社Schoo「PEnCIL by Schoo」
「北欧暮らしの道具店」はオーダーメイドなライフスタイルを求める生活者のためにさまざまなWEBサービスを提供する株式会社クラシコムが運用するEC共存のオウンドメディアです。
2007年にビンテージの北欧食器専門ECサイトとして開設された後、インテリアやキッチン用品、食器・カトラリーなどさまざまなカテゴリを増設。今ではWEB記事やオリジナルドラマまで幅広いコンテンツを提供しています。
※参照情報:株式会社クラシコム「北欧暮らしの道具店」
オウンドメディアは企業の事業課題や採用課題に応じて運営目的が変わるため、前述のような事例をそのまま踏襲しにくい問題があります。
この問題を解決するためには、オウンドメディア運用に必要なことを抑えた上で、自社の事業課題・採用課題に合った成果目標の設計や、ペルソナ・ターゲット設計などが欠かせません。次では、オウンドメディア運営を始めるのに必要な準備をまとめて見ていきましょう。
オウンドメディア運営での目標設計とは、運営目的が果たされているかを数値で測定できる指標を決めることです。目的別の目標設計の事例には以下のような指標が考えられます。
また最終目標となる指標を決めたら、サイトへの流入から問い合わせや売上に至る経路(ファネル)を段階的に評価するために以下のような中間目標を設計します。中間目標は、最終目標の構成要素で定めることが一般的です。
例)最重要指標が資料請求数の場合
目標設計のポイントは事業課題・採用課題を解決する手段として、オウンドメディアの運営目的を決めることと、運営目的が果たされていることを測定できる値を定めることです。
最終目標と中間目標は社内で共有する指標になるため、オウンドメディアの有用性を数値の裏付けとともに説明できるように準備しておきましょう。
Schooではサイトの目標設計が体系的に学べる授業を公開しています。オウンドメディア運用に際して、マーケティングの基礎知識やオウンドメディアの目標設計の仕方をインプットしたい方はぜひ覗いてみてくださいね。
「デジタルマーケティング基礎」第3回:WEBサイトの理想形とゴール設計
< 授業概要 >
コース授業『デジタルマーケティング基礎』の第3回目の授業です。オウンドメディア運営を含めたデジタルマーケティング初学者のために、成果を出すWEBサイトを作る上で押さえておきたいゴール設計の方法を受講生の質問や意見を介して学べます。
先生プロフィール
垣内 勇威(かきうち・ゆうい)
株式会社WACUL(ワカル)代表取締役。東京大学経済学部卒業後、株式会社ビービット入社。大手クライアントのWEB改善コンサルティングに携わる。2013年、株式会社WACUL入社。 データ分析から改善提案や成果の測定といった「Webマーケティングの売上拡大のPDCA」をAIが支援するSaaSツール『AIアナリスト』を生み出す。
ペルソナ・ターゲット設計とは、見込み顧客や顕在顧客の人物像を決めることです。ペルソナ・ターゲット設計はオウンドメディアをとおして顧客に価値ある情報を継続提供するために欠かせない準備だと言えるでしょう。
そのため、ペルソナ・ターゲット設計を介して、顧客の年齢や性別、商品やサービスに求める価値について社内の共通認識を固めることで、制作するコンテンツや発信する情報に一貫性と有用性を持たせることができます。
マーケティングの基本をゼロから学べるコース授業『マーケティング基礎』の第6回目では顧客分析の仕方やペルソナ設計の仕方をわかりやすく解説しています。
マーケティング初学者向けの内容になっているため、これからオウンドメディアの運営を始める方やペルソナを改めて設計したい担当者さんはぜひ覗いてみてくださいね。
「マーケティング基礎」第6回:ペルソナ分析で顧客理解を深めよう
< 授業概要 >
コース授業『マーケティング基礎』6回目の授業です。ターゲットをより詳細に分析・設計した人物像であるペルソナを設定する方法を受講生の皆さんからの質問を踏まえて学んでいくことができます。オウンドメディアの運営だけではなく、事業開発やブランディングに興味がある方にもオススメの内容です。
先生プロフィール
中川功一(なかがわ・こういち)
株式会社やさしいビジネスラボ 代表取締役。経営学者/YouTuber。経済学博士(東京大学)。大阪大学経済学研究科准教授を経て独立。「アカデミーの力を社会に」をモットーに、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。専門は、イノベーション・マネジメント、経営戦略論。 主な著書に『ど素人でもわかる経営学の本』(翔泳社)『感染症時代の経営学』(千倉書房)『戦略硬直化のスパイラル』(有斐閣)など。
カスタマージャーニー設計とは、ペルソナの動き(自社商品やサービスとの接点・行動・思考・感情)を時系列で見える化して、適切なタイミングで情報やコンテンツを伝える方法を設計することです。
現代の顧客はさまざまなツールや流入経路を活用できるため、オウンドメディア運営においてカスタマージャーニーを設計しておくことは運営目的の達成に効果的なコンテンツ制作・発信に欠かせないと言えます。
Schooでは顧客と中長期的な関係を築き、売上に繋げたいと考えているBtoCマーケター向けにカスタマージャーニー設計の作り方の基礎に関する授業を公開しています。カスタマージャーニー設計の工程を段階ごとにしっかり理解したい方はぜひ、覗いてみてくださいね。
< コース概要 >
BtoCマーケターが顧客と良好な関係を築きつつ、適切なタイミングでアプローチするために欠かせないカスタマージャーニーマップ。このコース授業では第1回目の「カスタマージャーニーマップの作り方」に続いて、第2回「作成方法の説明」第3回「作成事例紹介」を介してカスタマージャーニーマップの目的や作成方法まで実践につながる内容を学べます。
先生プロフィール
小川共和(おがわ・ともかず)
マーケティングコンサルタント。マーケティングコンサルティング専門 小川事務所代表。株式会社マルケト 特別顧問。青山学院大学ビジネススクールABS非常勤講師。 電通 東京本社でマーケティング部門、営業部門に在籍。2015年11月末電通を定年退職し、マーケティングコンサルティング専門の小川事務所を設立。
オウンドメディア運営におけるコンセプト設計とは、ターゲットやペルソナ(コンテンツや情報を届ける相手)を決め、ペルソナのニーズと自社の強みが重なるテーマを設計することです。
コンセプト設計によって、制作するコンテンツの方向性の統一やオウンドメディアを介して顧客に届けたい価値が明確になるため、オウンドメディアを訪問したユーザーの満足度が向上しやすいだけでなく、運営方針が強固なものになると言えるでしょう。
Schooではコンセプトの定義や実例を介してコンセプトデザインの手法を学べる授業を公開しています。オウンドメディアのコンセプトを設計して、統一感のあるメディアを目指したい方はぜひ覗いてみてくださいね。
< コース概要 >
商品やサービスにおける「コンセプト」の定義や実態を知り、またその「デザイン」の仕方を学べるコース授業です。プロダクトデザイナーやコピーライターなどのクリエイター、マーケターには身近なコンセプトですが本コースは非クリエイターのための内容になっています。コンセプトデザインの基礎を学びたい幅広いビジネスパーソン、オウンドメディアの企画・運営に携わる方にぴったりの授業です。
先生プロフィール
吉田将英(よしだ・まさひで)
コンセプター。 「クリエーティビティによる経営伴走」と「人間心理洞察」の2つの専門性をもとに、経営課題を物事と人の関係性に着目して解決する「関係性デザイン」を得意とする。2009年JAAA広告論文・新人部門入賞。単著に『アンテナ力』(三笠書房・2019年)、共書に『若者離れ』(エムディエヌコーポレーション・2016年)、『なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか』(宣伝会議・2014年)。
オウンドメディアで発信するコンテンツや情報を届ける顧客のペルソナ、顧客の行動とそれに伴う効果的なアプローチの過程、オウンドメディアのコンセプトを決めたら、実際に運用する組織体制を構築します。
例えばWEBメディアの運用に携わる主な職種はディレクター・編集者・ライターであり、これらの職種を取りまとめる責任者も必要になります。また運用メンバーが分業する主な業務は以下の通りです。
オウンドメディアの運用は複数工程に渡るため、設計段階で責任の所在やフローをなるべく明確にしておくと良いでしょう。また、オウンドメディアの運用初期は限られた人員やリソースで成果を上げる必要があります。この際に注意するポイントは、運用体制の規模に合わせてコンテンツのカテゴリを構築することです。
運用体制に合ったカテゴリ設計が出来ていれば、カテゴリ内に用意されているコンテンツが少ないために顧客の満足度が下がる事態を防げます。また予算や運用体制に応じて、コンテンツの制作や運用の外注も判断しましょう。
オウンドメディアの方向性が定まったら、サイトを制作します。サイト制作の工程ではテキストや画像などのコンテンツを管理するCMS(Contents Mansgement System)を用いてユーザーが視認しやすいデザインや文字情報、操作しやすい画面設計をします。CMSには次の3種類があるため、それぞれの特性を鑑みて導入するCMSを選びましょう。
オープンソース型では公開されているプログラムをベースにカスタマイズ性の高いサイトを制作できます。また記事を更新する場合は、エディタに文字情報や画像を載せるだけなので、専門性の高いプログラミングスキルが不要な点がメリットです。
一方、ドメインの獲得やサイトのセキュリティ対策・構築などの専門知識が必要になる点はデメリットにもなります。
商用パッケージ型は、オープンソース型以上に感覚的な操作が可能な特性があります。またサイト制作サービスを提供する企業からのサポートを受けることも可能なので、オープンソース型での運用には不安があるケースに有効です。
しかし、オープンソース型やフルスクラッチ型のCMSと比較すると、カスタマイズの柔軟性に欠ける点をデメリットだと感じる方もいるでしょう。
Schooではユーザーが使いやすいオウンドメディアを制作する際に役立つUI/UXデザインについて学べる授業を公開しています。これからオウンドメディアの制作に着手する担当者はぜひ授業を覗いてみてくださいね。
< コース概要 >
全5回の授業をとおして、UI/UXデザインの考え方やプロセス・技法について体系的に学べるコース授業です。オウンドメディアをはじめとしたWEBサイトやアプリケーションの運営担当者、制作に携わるデザイナー・エンジニアにも役立つ内容になっています。
先生プロフィール
本末 英樹(もとすえ・ひでき)
株式会社フライヤー Product Design Lead。プロダクトデザイナーとして、WEBサイトやモバイルアプリを含むサービス全体のUX設計とUIデザインを行う。WEB制作会社とフリーランスを経て、2017年7月C Channel株式会社入社。2021年5月より株式会社フライヤーにプロダクトデザイナーとしてジョイン。共著に『絵で見てわかるWebアプリ開発の仕組み』がある。
オウンドメディアとして運用するWEBサイトの制作が完了したら、カテゴリに掲載するコンテンツを制作します。コンテンツはオウンドメディアの運用目的に合わせて企画・制作していきましょう。例えば採用ブランディングを目的としたオウンドメディアの場合は活躍する社員へのインタビュー記事や、社内の男女比・産休育休の取得率などの数値をビジュアライズしたページが考えられます。
また新規顧客の獲得や、顧客育成を目的としたオウンドメディアの場合は検索ユーザーに自社の商品やサービスを知ってもらうためのお役立ち情報コンテンツが効果的でしょう。
Schooでは検索エンジンを使って、情報収集や悩みを解決したいと考えているユーザーに対して、効果的なコンテンツを制作するための「SEOライティング」に関する授業を公開しています。オウンドメディアのSEO対策を進めたいと考えている方はぜひ、覗いてみてくださいね。
SEOライティングの実践的ノウハウ〜検索ユーザー起点の思考法
< コース概要 >
SEOライティングの本質的な考え方やSEO対策コンテンツの作り方を学べるコース授業です。第1回目の授業では、検索ユーザーの意図や心理を理解するリサーチ方法について、第2回目の授業では検索ユーザーの意図を踏まえ、具体的なライティング方法をご紹介します。
先生プロフィール
松尾茂起(まつお・しげおき)
株式会社ウェブライダー代表取締役。関西学院大学 経済学部を卒業、2010年に株式会社ウェブライダーを設立。 検索集客を軸としたWebコンサルティングやコンテンツ制作を多数⼿がける。 これまでにプロデュースした主なコンテンツは「沈黙のWebライティング」「沈黙のWebマーケティング」など。 沈黙シリーズは書籍化され、専門書にもかかわらず、電子含めて累計21万部を超えるベストセラーに。
オウンドメディア運用における効果検証とは、アクセス解析やヒートマップなどの効果検証ツールを活用して、設計した目標が達成できているか、また目標達成の中間指標となっているコンテンツの質に関する数値は好ましいかなど、定期的に観測し、パフォーマンスが悪いコンテンツやページを改善し続けるフェーズです。
ここまで解説してきたように、オウンドメディアの制作・運用には多くの工程があり、予算や運用体制に合わせて最適な方法を見出す努力が欠かせません。
しかし、オウンドメディアに掲載するコンテンツやメディア自体は公開するまでがゴールではなく、多くの顧客にメディアやコンテンツを認知してもらい、事業や採用課題の解決に繋げるための効果検証・改善によって成長し続ける必要があるのです。
最後にここまで解説してきたオウンドメディアの目的や運用についてまとめて学べるSchooオリジナル授業をご紹介します。マーケティング戦略の一環として、オウンドメディアを運用したいと考えている方はぜひ、気軽に学んでみてくださいね。
< コース概要 >
マーケティングのプロセスと方法、コンテンツマーケティング、オウンドメディア戦略等を実例を交えながら学べる全3回のコース授業。WEBマーケティングやコンテンツマーケティングを成功させるためのオウンドメディア戦略について体系的に学びたい方におすすめの内容です。
先生プロフィール
冨田和成(とみた・かずまさ)
株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。
< 授業概要 >
コース授業『デジタルマーケティング基礎』の第5回目は「コンテンツマーケティングの強みと弱み」に関して解説します。前掲の第3回授業「WEBサイトの理想形とゴール設計」と合わせて受講していただくことで、オウンドメディアの構築から運用まで幅広い知識を持った上でオウンドメディアが運用できるようになるでしょう。
オウンドメディアは一朝一夕で成果が出る施策ではないため、中長期的な目標を立てた上で定期的な効果測定・改善が必要になります。また複数の関係者によってメディアが成り立つため、ルール決めや定期的なコミュニケーションも欠かせないでしょう。
オウンドメディアを運用する企業が抱える課題や運用体制によって、オウンドメディアの正解は異なります。Schooではオウンドメディア運用をはじめとした、マーケティング・コンテンツマーケティングに関する授業がSchooでは月額980円で受け放題です。ぜひ活用してくださいね。