10/10(Thu)

今日の生放送

SQLとは何か?基礎知識や重要性を分かりやすく解説

<目次>
1:SQLとは
2:SQLに関する基本用語
3:SQLが使える主要なデータベース
4:SQLで出来ること
5:SQLを学ぶ意義・メリット
6:SQLの学び方
7:SQLを扱うSchooの授業を紹介
8:まとめ

近年、ビジネスにおけるデータ活用の重要性が増すにつれて、データ分析に対する需要も高まっています。ここではデータ分析のスキルを高めてより効果的な企画提案や営業をしたいと考えている方に向けて、基本となるデータベースの仕組みや、最も普及しているデータベース言語であるSQLについてまとめてご紹介します。

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SQL基礎(全5回)

SQL基礎

 

SQLとは

まずはじめにデータベース言語SQL(エスキューエル)と、データベース、データベース言語の関係について解説します。

 

SQLとは最も普及しているデータベース言語の一つ

SQL とは

SQLとはデータベース言語の一つで、データベース言語とは「データベースを操作するための言語」のことです。具体的には、データベースにデータを格納したり、データベースに格納されているデータを抽出したり、データベースを書き換えるために使用します。またSQLは国際標準化されている最も普及しているデータベース言語のため、SQLの知識があれば利用するデータベースが変わっても操作が可能です。

詳細はこの後の章でも触れますが、SQLを使ってデータベースを操作する仕組みは上の図の通りです。データベースにはその管理システムである「DBMS(データベースマネジメントシステム)」があり、SQLを使ってDBMSに命令を出し、操作を行います。データベースとDBMSは基本的にセットで使われるため、厳密に区分せずまとめてデータベースと呼ばれることも多いです。

 

そもそもデータベースとは

データベースとは、簡単に言えば「データが入っている箱」のようなものです。目的に応じた形式でコンピューター上に格納されているデータの集合を指します。データベースに格納されているデータはExcelやCSVデータのように行と列の概念がある表の中で整理(構造化)されているので、解析や分析に必要な検索や集計、比較がしやすいようになっています。

身近な例では書店に設置されている本の検索機が挙げられます。私たちが検索機で在庫の有無や置かれている棚の位置を把握できるのは、書名や著者名・在庫状況などの情報を保存し、ユーザーの操作に応じて表示できるデータベースが存在するからなのです。

▼データベースの役割を基礎から学びたい方におすすめの授業

『SQL基礎』第1回「データベースとSQLの基礎」

データベースは情報を整理する方法によって、階層型とネットワーク型、そしてRDB(リレーショナル)型の3種類に分けられます。現在、データベースと言えば基本的にRDB型データベースを指し、この記事で記載するデータベースもRDB型を指します。各データベースの特徴は以下の通りです。

データベース とは

階層型データベース

階層型データベースとはツリー状に構成されたデータです。会社の組織図のように1つのデータが複数のデータに関連するように親子関係で保存されており、上層(親ノード)から下層(子ノード)に分岐するようにデータが整理されています。

下層のデータにアクセスするルートが1つのみなので、他の種類と比較してデータの検索や集計スピードが速いメリットがあります。一方で、下層に複数の上層データを紐づけられないため柔軟で簡潔なデータ管理がしにくい点がデメリットです。

ネットワーク型データベース

SQL ネットワーク型データベース

ネットワーク型データベースとは網状に構成されたデータです。関連性のあるデータを相互に結び付けて保存されており、階層型データベースを下層から上層にも分岐できるようになっています。

下層データを複数の上層データに紐づけられるので、階層型データベースで発生していたデータの重複が避けられるメリットがあります。一方で、複雑なデータベース構造になるため、高度な知識が必要になる点がデメリットです。

RDB型データベース

SQL RDB

RDB(Relational DataBase:リレーショナルデータベース)とは行(ロウ)と列(カラム)によって表(テーブル)状に構成されたデータです。データ同士は複数の表と表の関係によって関連付けられ、SQLを用いてユーザーの目的に応じた自由な形式で操作できます。

Excelシートのように列と行からなる2次元表の形式でデータを管理するため、複雑なデータを扱いやすいメリットがあります。一方で大規模なデ―タを扱う際にプログラムが複雑化しやすい点がデメリットです。

 

RDBMSとは?

RDBMS とは

前述のとおり、データベースに保管されている情報を管理し、必要な情報の抽出を可能にするための専用システムがDBMSです。DBMSを使うことによって、Excelやテキストファイルなどの手動管理では不可能だった大量のデータ活用や、多人数での情報共有が可能になります。

そして前項で解説したデータベースの種類の中のRDB型データベースを管理するためのシステムを「RDBMS(Relational DataBase Management System:リレーショナルデータベースマネジメントシステム)」と呼びます。RDBMSはデータベース管理システムの中でも最も利用されているデータベース管理システムです。

RDBMSには企業から提供されている商用と、有志の開発者コミュニティで開発され、自由に利用・改変可能なオープンソースのデータベース管理システムがあります。以下が商用データベース管理システムの代表例です。

  • ・Oracle Database(Oracle)
  • ・Microsoft SQL Server(Microsoft)
  • ・IBM DB2(IBM)

一方でオープンソースのデータベース管理システムには以下のようなソフトウェアがあります。

  • ・MySQL
  • ・Postgre SQL

 

データベース言語とは。プログラミング言語との違い

データベース言語 プログラミング言語 違い

データベース言語とプログラミング言語の違いは命令を出す対象と命令を出す目的にあります。

データベース言語はデータベースの管理システム(DBMS)に命令を出して、格納されているデータの抽出や解析をする際に用いる言語です。データベースに対して処理要求の問い合わせをする問い合わせ言語に当たります。

一方のプログラミング言語は、ユーザーが操作した動きに対してPCの頭脳であるCPUに情報処理の手順を指示するための言語です。プログラミング言語の代表的なものとしてはphpやjavaがあり、システムやアプリの開発に使われます。一方、データベース言語では直接コンピュータやアプリの操作はできません。

 

SQL言語の種類

SQLは「データの定義(作成・削除)」「データの操作」「データの制御」3つのシーンによって、以下のように使われる文法が分かれています。

データ定義言語(DDL)

DDL(Data Definition Language)とは、データベースやデータベース内のデータをまとめた表(テーブル)を定義する文法です。この文法によってデータベースに格納するデータの箱を作成・削除できます。DDLはデータを定義する目的ごとに以下3つの種類があります。

  • ・CREATE文:データベースやテーブルの作成
  • ・DROP文:データベースやテーブルの削除
  • ・ALTER文:データベースやテーブルの定義変更

データ操作言語(DML)

DML(Data Manipulation Language)とは、データベースや表にまとめられているデータを操作するための文法です。具体的には表のデータ取得・更新・登録・削除を行います。データ操作の目的によって以下4つの種類があります。

  • ・SELECT文:データ取得
  • ・INSERT文:データ挿入
  • ・UPDATE文:データ更新
  • ・DELETE文:データ削除

データ制御言語(DCL)

DCL(Data Control Language)とは、データベースに格納されているデータを制御するための文法です。制御はユーザーグループに対してアクセス権の付与や取り消しを行ったり、トランザクション処理(一連のまとまった処理)を行なう際の状態の変更や確定などを実施したりする際にも用いられます。

またトランザクション処理とはINSERT文やUPDATE文のように単一でデータを処理するのではなく、複数データを同時に更新処理する必要がある時にすべてのデータ更新処理が成功した場合にのみデータベースに記録するデータ処理方法です。データ制御の目的によって以下4つの種類があります。

  • ・GRANT文:アクセス権付与
  • ・REVOKE文:権限はく奪
  • ・COMMIT文:トランザクションの確定
  • ・ROLLBACK文:トランザクションの破棄
 

SQLに関する基本用語

ここまでSQLやデータベースの仕組みについて解説してきました。続いて、SQLを学ぶ上で欠かせない基本用語をまとめてご紹介します。

 

テーブル

データベース テーブル とは

テーブルとはRDB型データベース内で項目ごとに格納されている表の単位です。RDB型データベースでは、データが項目ごとに表の形式で整理されて格納されています。データベースには複数のテーブルが格納されており、Excelに例えるとデータベースはブック、テーブルはシートに当たります。

 

レコード

レコードとはテーブルを構成する単位の1つで、テーブルに横方向に格納されている一行分のデータです。テーブルとカラムはデータを保管する場所を示す用語ですが、レコードはデータそのものを指します。

 

カラム

カラムとはテーブルを構成する単位の1つで、Excelで例えると列に当たる縦方向に格納されているデータです。上記の表で言えば商品ID・商品名・価格がカラムに当たり、これらを属性 (attribute) と呼びます。

 

フィールド

フィールドとはデータベースに格納されているデータの最小単位で、フィールドの集まりがレコードやテーブルです。Excelに例えるとセルに当たります。

 

主キー(プライマリーキー)

主キー(プライマリーキー)とはレコード全体のうち、ひとつのレコードデータを識別するためにデータベースが保証したカラムです。会社で言えば「社員番号」のようなもので、たとえ同姓同名の社員がいても社員番号で個人を識別できるように、プライマリーキーを使えばどのレコードのことなのかが分かるものを指します。

テーブル内の主キーにはテーブル内のデータ検索スピードを上げ、テーブルデータの整合性を保証する役割があります。

 

リレーション

RDB型データベースの言語であるSQLにおいてリレーション (relation:関係)とは行の集まりを指す用語です。RDB型データベースにおいてデータ1件は1つの行として記録されており、概念上はリレーションと表(テーブル)は同じだと言えます。誤用されやすい用語に「リレーションシップ」がありますが、こちらの用語はリレーションが行の集まりである1つの表を示すのに対して、1つの表とその他の表との関係を示します。

 

SQLが使える主要なデータベース

 

SQL データベース

SQLとデータベースの関係、SQL言語について理解できたところで、ここでは実際にSQLを使えるデータベースをご紹介します。

 

MySQL

MySQLとはOracleが開発した最も利用者数の多い、RDB型のデータベース管理システムです。誰でも自由に利用できるオープンソースソフトウェアなので、非商用であれば無料で利用できる点や、初心者でも導入しやすい点が特徴です。

ユーザーコミュニティに加えてMySQLを所有しているOracleによる保守があり、企業独自のユーザーサポートも受けられるため、TwitterやNetflixなどの企業も利用しています。

またMySQLはデータベースを作成・更新・削除する基本機能であるストレージエンジンがさまざまなアプリケーションに対応しているため、拡張性が高い点でも人気があるデータベース管理システムだと言えます。

 

Maria DB

Maria DBとはMySQLから派生したデータベース管理システムです。MySQLと同じくRDB型のデータベース管理システムですが、MySQLと比較して以下のような性能が追加されています。

  • ・並列処理の性能向上
  • ・サーバーの柔軟な切り替え
  • ・権限管理の効率化

またMySQLから簡単に移行できる点も特徴の一つです。

 

PostgreSQL

PostgreSQLとはオープンソースのRDB型データベース管理システムです。Linuxなど主要なUNIX系OSとWindowsに対応し、機能の豊富さや拡張性の高さに定評があり、データベースサーバーとしての世界シェアはOracleやMySQL、Microsoft SQL Serverに次いで第4位の実績があります。

 

Oracle Database

Oracle DatabaseとはMy SQL、Maria DB、PostgreSQLと同じくRDB型のデータベース管理システムです。災害対策としてデータベースを遠隔地に複製する「DataGuard」機能、データベース内のデータを巻き戻す「フラッシュバック」機能など、障害に対するさまざまな機能により、高い堅牢性が特徴です。

 

SQ Lite

SQ Liteとはここまでご紹介したデータベースと同じくRDB型のデータベース管理システムです。他のデータベースと比較すると設定の必要がない自己完結型のデータベースであり、外部プラットフォームに依存することなく利用できる点が特徴です。

 

SQLで出来ること

SQL 出来ること

SQLを活用するにはデータベースの仕組みを理解する必要があるので、難しく感じやすいかもしれません。しかしSQLで出来ることの幅広さを知れば、モチベーションも上がることでしょう。

例えばSQL言語を使えれば、データベースから特定の条件に該当するユーザーをピックアップしてメルマガリストを作る、商品データを抽出して売れ筋の分析をする、定期的にデータを抽出しレポートを作成する、など保有するデータの活用が簡単にできます。

また非エンジニアがSQLを使えるようになると、データ抽出に関するコミュニケーションコストやエンジニアの対応コストが削減でき分析がスムーズに進められるようになります。

 

SQLを学ぶ意義・メリット

SQL メリット

SQLで出来ることの幅広さを理解した上で、ここではSQLを学ぶ意義やメリットを市場とキャリアの2つのポイントから解説します。

 

データ活用の広がりによる需要の増加

昨今のインターネット技術革新で企業は以前よりも容易にデータを収集できるようになりました。そして収集したデータを経営企画の分野やマーケティング分野で活用するため、データ解析に必要なSQLの需要が増加しています。

例えば新型コロナウイルス流行の渦中、経済活動を維持するための方法として利用されているICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)はファッションや日用品の販売や映画など幅広い産業がインターネット上でサービスを提供するきっかけを創出しました。

収集したデータを基に人気商品のみに値下げを適用することで利益を向上させたAmazonや、顧客個人の嗜好を細かくカテゴライズし、適切なコンテンツやトップ画像をリコメンドするNetflixがその代表でしょう。

また住宅や家電製品などのモノにセンサーや無線通信機を搭載してインターネットに繋げるIoT(internet of Things)の登場によって多様かつ膨大なデータがクラウドサーバーに蓄積されるようになっており、より一層データ分析スキルの重要性が増すと考えられます。

実際にエンジニアの中でも高額契約月収を得ている職種の1つはDBエンジニア(SQL全般)であり、最高契約月収(税別)は約96万円です(※)。厚生労働省の『令和3年賃金構造基本調査』によると日本の平社員の平均給与は27万7400円なので、データ活用ができる人材の需要の高さが伺えます。

※参照:workteria

 

SQLは非エンジニアにも役立つ

SQL学習

SQLのスキルはデータベースを管理するエンジニアだけではなく、経営企画やマーケティングなど統計データを用いて利益を最大化することが求められる職種や、サービス開発に代表される顧客管理が不可欠な職種にも役立ちます。

SQLを扱えない場合はデータ分析の作業をSQLを使えるデータベースエンジニアに依頼することになりますが、SQLを扱えれば分析の目的を把握している職種が分析作業まで担当できるため、仕事の質とスピードを向上させやすいでしょう。

 

SQLの学び方

SQLの知識があれば開発・マーケティングなどさまざまな領域に応用できるため、SQLを学ぶことはメリットが大きいと言えます。ここでは実務に繋がるSQLの学び方を3つご紹介します。

 

書籍で学ぶ

書籍を使った学習は自分の知識レベルに合った情報を体系的に学びたい方に合った学習法です。ここでは基礎知識と実践のレベルに分けておすすめの書籍をご紹介します。

< 基礎知識編 >

< 実践編 >

 

オンライン講座で学ぶ

オンライン講座は独学でSQLの知識を獲得する際にモチベーションの維持に不安を感じる方や隙間時間で効率よく学びたい方におすすめの学習方法です。学習サポートの厚さやカリキュラムの内容によって価格も様々なので、自身の目的に合った講座を選ぶようにしましょう。

 

スクールに通う

通学型のスクールは少人数やマンツーマン型を採用している場合が多く、受講者個人のレベルや目的に合ったカリキュラムが受けられる傾向があります。休日を使ってガッツリSQLについて学びたい方や、独学に不安のある方におすすめの学習法です。

 

SQLを扱うSchooの授業を紹介

最後に外出することなく、自宅からSQLについて学べるSchooの授業をご紹介します。非エンジニア職の方も学習しやすいよう、複数回の授業に分かれています。次のリンクからお試し受講もできるので、気になる方はぜひ覗いてみてくださいね。

SQL基礎

SQL基礎

< コース概要 >

データベースに保存されている大量のデータを取得・更新・削除・追加するためのデータベース言語「SQL」を扱うために必要なデータベースに関する知識や、関数を用いたデータ操作について実践的に学べるコース授業です。全5回の授業ではPostgreSQLを使って、テーブルの構成や関数を用いたデータの並び替えを行います。SQL初学者におすすめの授業です。

先生プロフィール

岡田 賢治

岡田 賢治(おかだ・けんじ)
UNIX/Linuxのシステム管理者歴、30年。専門学校で非常勤講師10年。執筆した書籍多数。

 

MySQL入門

MySQL入門

<コース概要>

MySQLは、オープンソースのデータベースマネジメントシステムです。このコースではこれからWebサービスを作りたい⽅でデータベースの基礎知識・基本操作を身に付けたい方や、よりMySQLを活用したいと感じているエンジニアの方に向けてMySQLの基礎を全7回の授業でわかりやすく解説していきます。

先生プロフィール

高橋 良輔

高橋 良輔(たかはし・りょうすけ)
2002年からITベンチャー企業でWebデザイナー・PHPを使ったWebアプリケーションエンジニアとして従事。 2006年に独立し、フリーランスエンジニアとして様々な大手企業のプロジェクトに参画。また並行して中小企業のWebサイト制作の受託や、開発経験を活かしたオリジナルカリキュラムで有料講座を開催。スマートフォンアプリ開発講座ブランド 「RainbowApps(レインボーアップス)」とパートナー契約を締結し、メイン講師及びカリキュラム開発、講座運営を担当。

 

まとめ

SQLはデータベース管理や操作をする上で欠かせないデータベース言語です。ICTやIoTが台頭した現代において蓄積されたデータは資産であり、分析・解析することで利益を上げたり、快適なサービスの企画が可能になります。つまりSQLはデータベースエンジニアはもちろんのこと、マーケターやアプリケーションエンジニアなど幅広い職種に役立つ知識なのです。

SchooではSQLを含む、プログラミングに関する生放送授業を無料で公開しているので、ぜひ活用してくださいね。

今日の生放送

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