2/7(Tue)

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休み方が分からない方へ 仕事のパフォーマンスを上げる休み方のコツについて

<目次>
1:休むことはなぜ必要なのか?
2:休めない・休みにくい理由
3:私は疲れすぎ?疲労のセルフチェックについて
4:休むための心構え・習慣
5:疲れを貯めないためにおすすめの休み方・対策
6:疲れが取れにくい休み方には注意
7:休み方についてもっと詳しく!関連授業を紹介

フレックスタイムや在宅勤務をはじめとした多様な働き方が実現したことにより、ライフスタイルに合った働き方を実現しやすくなりました。しかしながら、働きやすさが向上した一方で、仕事とプライベートの境界が無くなっていると感じる人も少なくありません。

ここでは仕事とプライベートを切り分けたいと考えている方に向けて、休息の重要性や今すぐ始められる質の良い休み方をご紹介します。

 

休むことはなぜ必要なのか?

まずはじめに休息の重要性について、疲れの種類と疲れを溜めるリスクから解説していきます。

急性疲労と慢性疲労

疲労にも種類があり、疲労の原因や状況によって分類されます。ここでは「急性疲労」と「慢性疲労」の2種類について解説します。

  • ・急性疲労:一時的な肉体的疲労
  • ・慢性疲労:肉体的疲労・精神的疲労が長期(6ヶ月以上)に渡って蓄積された疲労

運動をしたり、長時間活動したりすると身体的な疲労を感じますが、大抵は一日ゆっくりと休むと回復します。このように、主に自己判断がし易く、適度な休息の取得で回復する疲労を急性疲労と呼びます。睡眠や休息などの生理的欲求を促してくれるため、過労を防ぐサインになりますが、蓄積しないように注意が必要です。

主に現代人の疲れとして問題になりやすいのが、この慢性疲労です。慢性疲労とは、少し休んだり眠ったりするだけでは回復しない継続的な疲労を指し、慢性の基準は6か月以上とされています。疲労の蓄積により脳の機能が低下することで、自己判断が難しくなるという特徴があります。場合によっては私生活や仕事に影響が出る程重症化し、回復には時間や医師のサポートが必要となることもあります。

 

疲れを溜めることのリスク

次では疲労の蓄積によって生まれるリスクについて具体的な事例を交えてご紹介します。

<作業効率が下がる>

蓄積した疲労は倦怠感をはじめとした身体への影響だけでなく、脳にもダメージを与え、前頭葉が担っている注意力・集中力や情報処理能力も低下させます。つまり疲労が蓄積した状態のまま仕事をすれば、書類・メールの誤字脱字や忘れ物などのケアレスミスを起こす可能性が高まるのです。

申請処理を忘れてしまったり、請求書に記載する金額を誤記してしまったなどの普段は起こらないミスが増えてきたと感じたら、疲れが取れていないサインかもしれません。ミスが続くと生産性の低下や自信の喪失などに繋がるだけではなく、ミスによって失った信頼や時間を取り返そうと普段以上に仕事に熱中して、さらに疲労が蓄積する悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。

<様々な体調不良につながる>

疲労は体調不良を知らせるアラームの役割を担っており、疲労を無視すれば身体に悪影響を及ぼします。短期間で蓄積した疲労による貧血や身体のだるさ、頭痛や微熱をはじめとした症状は比較的回復しやすい傾向にありますが、長期間で蓄積した疲労では睡眠障害やうつ病などの症状に発展し、医師のサポートがないと回復できない状態に陥る場合もあり、身体の回復に時間がかかります。

 

休めない・休みにくい理由

前述した疲労のリスクを知っていても中々休めない人は少なくありません。次ではビジネスパーソンが休めないまたは、休みにくい代表的な理由をご紹介します。

ビジネス会議

 

休むことに罪悪感がある

特に日本で働く人にとって、休息への心理的ハードルは高いと言われています。旅行会社Expediaの調査(※)によると有給休暇を取得しない理由について日本で最も多い回答は「人手不足など仕事の都合上難しいため(20%)」でした。

人手不足の状況で休むことによって生まれる「皆が働いているのに自分だけ休むのは申し訳ない」「休み明け遅れを取り戻すのが怖い」など、罪悪感や恐怖、不安のようなネガティブな感情が休息に対する心理的ハードルを高めていると言えるでしょう。休む制度を整えても制度活用があまりされない場合は、個人が感じている休暇取得へのハードルの高さが影響しているケースが多いと考えられます。

※参照:世界16地域 有給休暇・国際比較 2021(Expedia、Inc.)

 

休みにくい文化や環境がある

同様に旅行会社Expediaの調査(※)を見ると、日本社会や会社の文化や環境も休みづらさを作り出していることが伺えます。前述した有給休暇を取得しない理由から分かるように、日本は組織や上下関係を重視する風潮が強く、周囲と同じ状態であることを求める人が多いと言われています。そのため日本の文化や社内の環境が休みにくさに繋がっている場合も少なくありません。つまりビジネスパーソンが休暇へのハードルを感じないようにするためには、社内制度の整備だけではなく文化の醸成によって全体の意識を変えていく必要があります。

※参照:世界16地域 有給休暇・国際比較 2021(Expedia、Inc.)

 

業務量が多すぎる

社会人の場合は業務量の多さも休めない理由の一つです。例えば就業時間内に終わらない仕事量を抱えている場合は、残業をしたり、休日にも仕事をする必要があるでしょう。このように就業時間内に収められる業務量を超えている場合は平日だけではなく、休日の時間も削る必要があるため、休む暇もない状態に陥ってしまいます。

 

私は疲れすぎ?疲労のセルフチェックについて

セルフチェック

 

ここまでご紹介したように環境要因や休暇への罪悪感によって、疲れは知らないうちに溜まるものです。そのため疲れが溜まっている状態を放置して、健康を害してしまわないように定期的に自分の疲れ具合を把握し、必要な場合に休める仕組みが必要です。ここでは参考として、厚生労働省が作成している疲労蓄積のチェックリストを一部ご紹介します。実際にいくつかの以下の項目に自分がどのくらい当てはまるか確認していきましょう。

チェックシート

※出典:労働者の疲労蓄積度チェックリスト/厚生労働省

上記の項目に複数当てはまる方は疲労を回復させるための休みが必要だと言えるでしょう。 WEB上で簡単に疲労度診断できるサイトも厚生労働省が運営しているので、気になる方はチェックしてみてください。

 

休むための心構え・習慣

休みにくい原因や背景、今の自分の状態を理解した上で、次は休むための心構えと習慣をご紹介します。

 

休みの必要性を理解し罪悪感を感じないように意識する

前述の通り、日本社会では文化的に休みを取りにくいと感じる人も多いです。しかし、生産性や健康維持の観点では適切に休みを取ることは重要であり、感情ではなく合理的に休むタイミングを判断するという意識が大切です。休みの必要性をよく理解すれば、休みを取ることに対する罪悪感も減らせるでしょう。

人間が最大で集中できる時間は40分程度と発表されています。休むことは個人の身体・精神に必要不可欠であると同時に、会社にとっても健康的に働く人材は欠かせません。こうした観点は労働基準法や労働安全衛生法にも反映しています。会社は社員の健康をフォローし、安全に働く場を提供する義務があります。個人・会社双方の休む必要性・義務に目を向けて休む判断を積み重ねましょう。

 

スケジュールを休み中心に立てる

疲労のセルフチェックが習慣化すると、疲労が蓄積して集中力が落ちるタイミングが予測できるようになります。そのため集中力や生産性を維持するための休みを加味した計画は健康的に生活や仕事をするために効果的です。

疲れが溜まってから休む方法では、論理的な思考力や判断力を司る前頭葉が十分に機能していない状態で思いついた質の低い休息しか取れない場合が大半です。例えばスマホゲームやSNSに没頭する、暴飲暴食、夜中までドラマやアニメを観るなどは疲労回復を目的にした休息とは言えません。疲労回復のために質の高い休息を取るためには温泉やウォーキング、美術展巡りなど自分の疲労が回復する行動や場所を知った上で、疲労回復のためのスケジュールを立てておきましょう。

 

疲れの種類に応じて休み方を変える

疲れの種類によって効果的な休み方が異なるため、疲れ具合や精神疲労なのか身体疲労なのかなど疲労を感じる箇所によって、休み方を変えると効果的な休息が実現できます。

例えば身体的な疲労回復には睡眠や瞑想、映画や音楽の鑑賞などが効果的だと言われています。また精神的な疲労回復では筋肉の緊張をほぐしながら楽しめる範囲でヨガやランニング、旅行やドライブなどの「動き」を取り入れた休息が効果的だと言われています一方で人によって、リラックスできる状態や場所、は異なるので、上記のような情報を参考にしつつも自分なりの休み方を模索すると良いでしょう。

 

疲れを貯めないためにおすすめの休み方・対策

ここまで休みの重要性や心構えを解説してきました。それでは、疲れを貯めないための休み方や対策を知ることで、実生活に取り入れてみましょう。

瞑想

 

瞑想をする

瞑想は心身共にいい作用があると言われており、世界的企業が取り入れるなど年々広まりを見せています。瞑想とは仏教の禅や荘子の思想、キリスト教の神秘主義の思想を背景として生まれた思索の方法なので、信仰している宗教がない方にとっては休息の方法として取り入れにくさを感じるかもしれません。しかし瞑想は短時間で効果を得られやすい休息方法なので、以下の順序で気軽に試してみましょう。

  • 1.目を閉じる
  • 2.呼吸に意識を向ける
  • 3.この状態を3分間続ける

視覚情報を遮断するので、目の疲れや脳疲労を和らげるだけではなく、呼吸に意識を向ければ過去や将来に対する不安を解消できます。また瞑想の効果については世界で様々な研究が行われており、生活の中で感じる不安・ストレス、気分の落ち込み、睡眠障害等を緩和し、生活をより良くする効果が認められています。

※参照:厚生労働省eJIM | 健康のために行う瞑想について知っておくべき8つのこと | コミュニケーション

 

仮眠をとる

眠気があるにも関わらず無理に仕事を続ければ、効率の低下を招きます。睡眠不足の状態で仕事や勉強をする場合は作業の間に仮眠を取り、脳を一時的に休めて生産性を向上させましょう。また質の高い仮眠を取るポイントは以下の通りです。

  • ・仮眠前にカフェインを取る
  • ・時間は20〜30分

カフェインは体内に取り入れてから目覚め効果を発揮するまでに20〜30分の時間を要します。そのため、目覚めるタイミングで効果が表れ、スッキリとした目覚めに繋がります。

深い眠りに入ってしまうと目覚めが悪く仮眠の効果が薄れてしまいます。20〜30分の時間で、軽く横になる・机に伏せるなどの体勢を取ることがベストな仮眠です。

 

ストレッチをする

ストレッチは全身の血流を改善し心身ともにほぐす作用があることから、仕事と休息の切り替えに最適な手法です。特に在宅勤務の場合、オフィス出社では可能だった会議や外出などによるスイッチの切り替えが難しくなっています。

スナック菓子メーカーカルビーの調査(※)によると、テレワークでストレスを感じる要因として、53%の人が「仕事とプライベートの境界線が曖昧になっていること」と回答しています。特別なストレッチ方法ではなく、伸びや屈伸など手軽に行える動作で十分効果を発揮します。ストレッチを取り入れることで身体も脳もリフレッシュしてみましょう。

※参照:「オンとオフの境界線が曖昧」など約6割がテレワーク疲れ

 

散歩をする

休息の手段として、全身の代謝を良くする有酸素運動の代表例でもある散歩が効果的です。 激しい運動だと体に強いストレスをかけることで逆に疲労に繋がってしまうこともあるため、無理なく運動不足を解消できる点がメリットです。また、特別な道具が無くても気軽に始められるので、気軽で継続しやすい休み方を探している方に向いているでしょう。

外を歩く動作は幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が活発になり、精神的な落ち着きやストレス軽減に効果を発揮します。また外気や広い空間を感じると筋緊張がほぐれ、陽の光によって体内時計を整えられるなど、健康面で得られるメリットも多いと言われています。

 

疲れが取れにくい休み方には注意

ここまで様々な休み方を紹介してきました。実際に休みを取る時のポイントとして、疲れが取れる休み方かどうか見極める必要があります。

 

座りっぱなしは健康にリスクがある

特にデスクワーカーの方に注意が必要なのが、座る時間が長いと健康リスクが高まるということです。例えば2021年に発表された日本人の座位時間(座っている時間)と健康の関連性に関する調査(※)によると、日中の座位時間が2時間伸びるごとに死亡リスクが15%高まるという結果が発表されています。更に、このような座位時間と死亡リスクを関連付ける調査は海外でも行われており、座りっぱなしの健康リスクは世界でも多く指摘されています。

デスクワーカーの方が、座席でネットサーフィンをするなどの休憩をした場合、終日座った姿勢で過ごしてしまうことになりかねません。そのため、日中仕事で座る姿勢を長く続ける場合は特に、休憩時に姿勢を変えることを意識的に行うことが大切です。

※参照:座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する

 

デスクワークの場合はこまめに立つ時間をつくる

”立つ”動作を仕事の中に取り入れると健康問題の軽減に効果的だと言われています。例えばスタンディングデスクを活用してミーティングや資料作成などの作業をすれば、脳に十分な血液が送られるため疲労を感じにくくなります。また用事がある際はチャットやメールなどオンラインで済ますだけではなく、相手がいる場所まで歩いて話しかけに行くなど、定期的な動きを取り入れる工夫も効果的です。

自宅で休んでいるつもりでも、座りっぱなしによる健康リスクの危険性は高まります。散歩する、読書やテレビ鑑賞の間にはストレッチを挟む、立ちながらの作業など、家の中でも座りっぱなしを避ける意識をしてみましょう。

 

休み方についてもっと詳しく!関連授業を紹介

ここまで疲労の種類や休めない理由、対策を解説してきました。次では、睡眠や運動を用いた休息の方法について学べる授業をご紹介します。

 

仕事のパフォーマンスを上げる「休む」技術

仕事のパフォーマンスを上げる「休む」技術

< 授業紹介 >

この授業では、精神科医を経て現在は大学で睡眠科学の研究や学生のメンタルサポートを実践的に行うなど幅広く活躍されている西多先生が登壇されています。「休む」をテーマに歴史から社会の課題。リモートワークに特化した対策などより詳しい知識と実践ですぐに活用できる学びを得ることができる授業です。

先生プロフィール

西多昌規

西多昌規(にしだまさき)
東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学助教、自治医科大学精神医学教室・講師などを経て、2017年より現職。 2019年より早稲田大学睡眠研究所・所長を兼任。ハーバード大学医学部、スタンフォード大学医学部にて、睡眠・生体リズムを認知学習機能の研究を行う。 現在は、睡眠とスポーツ・身体運動の教育研究や、アスリートに対するメンタルサポートやリカバリー(効果的な休養)の相談を行っている。睡眠障害や発達障害の外来診療にも従事している。日本睡眠学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクターなど。 著書に「リモート疲れとストレスを癒やす『休む技術』」(大和書房)など多数。

 

まとめ

忙しい日々の中で忘れがちな休息ですが、ここでご紹介した中から自分の疲労を回復させる休み方を取り入れれば、充実した生活に繋がるでしょう。 schooでは休み方をはじめとした時間術・ビジネススキルに関する授業を無料で公開しているので、ぜひ活用してくださいね。

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