10/12(Sat)
2023年1月20日 11:54 更新
ビジネスフレームワークは単なる思考ツールではありません。チームで仕事をする上で、共通の課題認識を共有する際に役立つ考え方です。ここでは思考を整理するために役立つフレームワークをシーン別に解説します。
情報収集をはじめとしたビジネスシーンで活用する方法を理解した上で、フレームワークを知りたい方はSchooコース授業『こんな時どうすればいい? 逆引きビジネスフレームワーク大全』を併せて受講してみてくださいね。
< コース概要 >
本コースでは全3回の授業から、課題解決や意思決定の場面で必要な「情報収集・推論」に役立つビジネスフレームワークを学びます。限られた時間の中で思考を整理し、よりよいアウトプットを生み出すために求められる「フレームワークの使い方」から「場面に合ったフレームワークの種類」まで網羅的に体得できるコース授業です。
< 先生プロフィール >
羽田 康祐(はだ・こうすけ)
株式会社朝日広告社ストラテジックプランニング部プランニングディレクター。産業能率大学院経営情報学研究科修了(MBA)。日本マーケティング協会マーケティングマスターコース修了。外資系コンサルティングファームなどを経て現職。「外資系コンサルティングファームで培ったロジック」と「広告代理店で培った発想力」のハイブリッド思考を武器に、メーカー・金融・小売り等、幅広い業種のクライアントを支援。著書に『問題解決力を高める「推論」の技術』(フォレスト出版)がある。
関口 純平(せきぐち・じゅんぺい)
株式会社朝日広告社ストラテジックプランナー。リサーチ・データ分析・戦略立案業務に従事。食品・エンタメ・アパレル・小売り企業・不動産・教育系など幅広くクライアント事業を支援。ウェブ解析士協会認定ウェブ解析士。『ブランディングの教科書: ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる』(kindle direct publishing)共著。
フレームワーク(ramework)とは「枠組み」を表す言葉で、ビジネスでは分析や思考の際に使用する決まった枠組みのことです。
例えば商品の売上を伸ばす、新規事業を立ち上げるなど、ビジネスをしていると様々な課題に向き合う必要があります。そして取り組むテーマが大きくなる程、どのように考えればよいかが分らず立ち止まってしまうこともあるでしょう。そんな時に、考えを進めるきっかけやツールとなるのがビジネスフレームワークです。
ビジネスフレームワークはテーマにおける検討事項や進め方を、体系的に提示したものが多いです。そのため別の見方をすれば、ビジネスにおいて未来を予測する際に、現在の状況や収集した情報を基に「何を考えるか」を決める視点がフレームワークだと言い換えられるでしょう。
前項でフレームワークの概要が理解できたら、次でフレームワークを活用するメリットを見ていきましょう。フレームワークの活用目的とメリットが理解できれば、適切な場面でフレームワークが使えるようになるでしょう。
論理的な思考とは「前提となっているルールから、物事を正しく推論する思考」または「問いに対して道筋を立てて結論を導く思考」です。ビジネスにおいて論理的思考(ロジカルシンキング)はどこで働く場合も必要とされる基本的かつ重要なスキルの一つだと言われています。
そしてフレームワークには、個人の感覚や認識バイアスに依存せず、前述のような論理的な思考ができるメリットがあります。なぜならフレームワークは分析や思考、アイディア出しの場面において、アウトプット(結論)に至る道筋と着目すべき視点(問い)があらかじめ決められているからです。
元々フレームワークは「検討が必要な事項がモレなくダブりなく、議論されて計画されている」状態を効率的に作り上げるために、コンサルタントや経営学者・マーケティング学者が生み出した思考の枠組みです。そのため、フレームワークを正しい場面で適切に使えれば、誰でも論理的な思考が身に付けられると言えるでしょう。
ここまで解説してきたように、フレームワークには以下の特徴があります。
つまり、フレームワークは専門家の知恵によって作り上げられた論理的な思考ツールなので、フレームワークを活用すれば「何を考えれば良いか分からない」と悩む時間が不要になります。また未来に対して何らかの仮説を立てる際に用いられるものなので、「市場分析」や「業務改善」など仮説を立てる目的が同じであれば1つのフレームワークを覚えておけば、戦略立案のスピードも上がるでしょう。
フレームワークは問題解決に関わるメンバー間で、共通認識をつくる際に役立ちます。なぜなら前述したフレームワークを活用するメリットの1つ「論理的な思考」は、個人の経験や感覚に依存することなく、誰でも同じように問いを発見し、結論に至れる特徴があるからです。
そしてフレームワークを活用して共通認識をつくれば、必要な情報や解決すべき課題、目指す目標が共有できるので、最終的には円滑に仕事が進むメリットが得られます。
働き方改革の施行によって、労働生産性の改善・業務効率化が求められるようになって以降、論理的思考やフレームワークの活用は重要度が増しているようにも思えます。一方、フレームワークを活用する際のデメリットもあるので、知っておきましょう。
フレームワークは枠に当てはめて考える方法であるため、筋道立てて物事を考える際に向いているツールです。この特性から分かるように、型にはまらず、既成概念を打ち砕くような革新的なアイデアやビジネスを創出するには向いていないツールだと言えます。
またフレームワークは複数人が集まって現状を認識したり、分析する際に視点(注目する項目)を合わせるのに役立ちますが、個人の経験や価値観を反映した独創的な意見は逆に出しにくくなってしまうでしょう。
フレームワークは数多く存在し、それぞれ特徴や向いているシーンも異なります。そのため、基本となるフレームワークと特徴を抑えつつ、利用目的に応じて使い分けができるとこれらのデメリットは回避しやすくなるでしょう。
ここまで、フレームワークが単なる思考ツールではなく、結果的には未来の予測や仮説立案に役立つとご紹介してきました。ここからはシーン別に役立つフレームワークを見ていきましょう。問題・課題発見に役立つフレームワークは以下の通りです。次で詳しく説明します。
「As is/To be」とは現状とあるべき姿のギャップを可視化し、そのギャップを埋めるための方法を考えていくフレームワークです。上図のように、現状とあるべき姿の乖離を解決すべき「問題」として抽出して問題を可視化するのに役立ちます。
「As is/To be」フレームワークの使い方は次のとおりです。
また「As is/To be」フレームワークを用いて達成すべきポイントは以下のとおりです。
このフレームワークを活用して問題を抽出したら、後述する「6W2H」や「なぜなぜ分析」を用いて問題の詳細を明らかにします。
MECE(ミーシー)は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で「モレなく、そしてダブりなく」考える方法です。主観的になってしまいがちな思考に客観性を持たせたい時に役立ちます。
『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人,2010)では、フレームワークについて「MECEの考え方を活かした汎用性の高い考え方の枠組み」と述べられており、MECEは「論理的な思考を実現するフレームワーク全体の根幹となる考え方」だと言えるでしょう。
「6W2H」とは以下8つの疑問詞を用いて、物事やテーマ、問題・課題などを多面的に考察するフレームワークです。
「6W2H」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
「なぜなぜ分析」とは問題に対して「なぜ?」と繰り返し問いを深め、問題の原因を明らかにするフレームワークです。問題の根本原因を正確に把握した上で、効果的な改善案や対応策を考えたい時に役立ちます。
「なぜなぜ分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
「なぜなぜ分析」を成功させるポイントは「論理の矛盾がない状態で原因が整理できている」「中立的な立場で原因について考えられている」の2つだと言われています。
また問題に対して複数の原因が考えられる場合は次で解説する「ロジックツリー」を活用すると良いでしょう。
「ロジックツリー」とは問題を分解して、解決すべき課題を明らかにするためのフレームワークです。問題の原因を細分化する「Whyツリー」や問題の場所を特定する「Whatツリー」「Whereツリー」、解決策を洗い出す「Howツリー」など、ロジックツリーを活用する目的によって用いられる疑問詞の種類が異なります。
またツリーロジックツリーは下位に向かうほど、情報が具体的に分解され、上位に向かうほど情報が要約される特徴があります。そのため、複雑な問題を整理・可視化してチームメンバーと問題・課題認識を共有する際に役立つフレームワークだと言えるでしょう。
「ロジックツリー」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
「ピラミッドストラクチャー」とは結論に対する根拠を複数用意し、結論が妥当であるか検証するフレームワークです。仮説を検証する際によく用いられます。
メインメッセージをピラミッドの頂点に置き、その下にキーメッセージと根拠のセットを置く方法で主張と根拠の論理を展開していく形式を取るため、前述の「ロジックツリー」と形式は似ていますが、適した用途が異なります。
ロジックツリーは問題解決の手法として最適であるのに対して、ピラミッドストラクチャーはプレゼンテーションや交渉など、自分の主張や考えを論理的かつ分かりやすく伝えたい時に最適です。
フレームワークは論理的思考に役立つツールであると同時に、情報を整理して可視化するために役立つツールです。そのため、収集した数値を図式化した上で意味を持たせ、分析・改善に活かす、市場分析・マーケティングの分野でも、次のようなフレームワークが活用されています。このあと詳しく説明します。
3C分析とはCustomor(市場・顧客)Competiter(競合)Company(自社)について「ミクロ環境・マクロ環境」や「ニーズ」「戦略」の観点から分析し、自社の現在の状況や事業成功のポイントを分析するためのフレームワークです。
市場・顧客においてはマクロの視点から市場の変化や顧客の購買行動を分析することが多いため、「PEST分析」がよく用いられます。また競合においてはミクロの視点から「他社の脅威」や「代替品の脅威」などについて分析することが多いため、「ファイブフォース分析」がよく用いられます。
最後に自社に関しては企業内外の環境について「強み・弱み・機会・脅威」の4つの視点から分析する「SWOT分析」がよく用いられます。
そもそも分析とは複数の物事や情報を比較し、その差を明らかにする行為です。その中でも顧客・市場と競合を取り巻く状況と自社の現状を比較することで、自社の優位性を築く3C分析は分析の基本になるフレームワークだと言われています。
またSchooコース授業『こんな時どうすればいい? 逆引きビジネスフレームワーク大全』の第2回『集めた情報、どう整理すればいい? - 情報整理のフレームワーク -』でも3C分析の概要や詳しい使い方を解説しています。詳しく学びたい方はぜひ、気軽に受講してみてくださいね。
「PEST分析」とは自社の事業や組織に影響を与える「マクロ的な環境要因」を考える際に用いられるフレームワークです。以下の項目に分けてマクロ的な環境要因を分析します。
PEST分析は上記の4つの項目から現状、自社を取り巻くマクロ的な環境要素を分析するだけではなく、変化や事業シナリオの予測にも役立ちます。
「PEST分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
世の中のトレンドを確認し、その中から自社に大きな影響を与えそうな要素が把握できている状態に仕上げることがPEST分析のゴールです。
「ファイブフォース分析」とは業界の競争構造を分析するフレームワークです。以下5つの要素を切り口に競合他社や業界内の構造を分析します。
上記の要素が多かったり、競合他社が優位である状態であればあるほど、業界内の競争が激化しており、収益化の難易度が高いと言えます。
「ファイブフォース分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
自社が属する業界の定義、競争要因の可視化、業界の魅力と課題が整理できている状態がファイブフォース分析のゴールです。
「SWOT分析」とは自社を取り巻く環境を分析し、強みや弱みを把握するフレームワークです。 「好影響/悪影響」「内部環境/外部環境」の2つの軸で構成されるマトリクスを作成し、以下4つの象限について分析をします。
なおマトリクスの軸に設定する「内部環境」とは人的資源・物的資源・資金力のほか、経験値や情報・商標・信用など自社が有する資源です。「外部環境」とは世の中や業界の動向をはじめとした、自社を取り巻く外部の要素です。
SWOT分析の結果を用いて事業戦略の策定を行いたい場合は、情報の掛け合わせによって、詳細な戦略立案が可能な「クロスSWOT分析」のフレームワークも活用してみましょう。
「SWOT分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
自社の強みと弱みを把握した上で、各要素が好影響・悪影響な背景や機会と脅威も確認できている状態がSWOT分析のゴールです。
「パレート分析」とは分析対象の構成要素とそれぞれの影響度を可視化することを目的とした分析です。併せてパレート図と呼ばれる、構成要素の大きさと全体に占める比率を示した図式を用いることが多いです。
例えば集客力を改善するために、集客チャネルのうち貢献度の低い部分をつきとめ投資を止めるなど、物事の優先度付けをする時に役立ちます。
さらに解説すると、パレート分析の背景には「パレートの法則」があります。パレートの法則とは別名「80:20の法則」とも言われる経験則のことです。「全体売上の8割は2割の顧客から生まれている」など、数値全体は構成要素の2割によって生み出される傾向を指します。
この考え方を活用して、自社への貢献度が高い要素の特定と、自社の資源の配分を導き出すため、パレート分析と呼ばれているのです。
「パレート分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
評価項目(営業担当者、商品、売上など)が適切に設定されており、上位の顧客・顧客特性が把握できた上で、今後の施策の方向性が明らかになっている状態がパレート分析のゴールです。
「4P分析」とは以下4つの要素からマーケティング戦略の分析や設計をするフレームワークです。
4P分析フレームワークはマーケティングプロセス「市場・環境分析→戦略立案→施策立案」のうち、最終段階の施策立案の過程で用いられると言われています。
またセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの要素から、マーケティング戦略を立案するSTP分析と組み合わせて活用することで、自社の競争優位性を見出せるでしょう。
「4P分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
競合他社(複数社)のマーケティング戦略の特徴が理解できており、各社の成功・失敗要因が可視化できている状態が「4P分析」のゴールです。
「バリューチェーン分析」とは企業が顧客に価値を提供する過程を可視化する手法「バリューチェーン」を活用し、自社や競合他社の事業運営プロセスを分解して分析する手法です。
事業活動を「製造」「販売/マーケティング」「契約」「支払い」「フォロー」のように分類することによって、競争優位性や各活動の貢献度やコストを可視化する際に役立ちます。
「バリューチェーン分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
業界に合ったバリューチェーン、事業活動の各プロセスの工夫点や必要なコストが把握できており、競合の特徴が整理できている状態がバリューチェーン分析のゴールです。
「AIDMA」とは消費者の購買行動プロセスの代表モデルの1つで、以下の要素が含まれます。
AIDMAは消費者が商品やサービスを認知し、関心を抱いた後に購買行動を起こすまでの流れを可視化できるフレームワークです。AIDMAの活用によって、ユーザーの心理状態ごとのマーケティング施策やWebページの改善施策を立案しやすくなると言われています。
「AISAS」とは前述のAIDMAと同じように、消費者が商品やサービスを購入するまでのプロセスや心理状態を可視化するフレームワークです。SNSを活用した消費者行動に基づいたフレームワークで、以下の要素が含まれます。
「Search(検索)」で消費者は広告やランディングページで閲覧した商品やサービスの情報を口コミや競合他社のサイトを活用して、比較・検討します。そのため、企業側には商品の詳細かつ正確な情報開示や他社と比較した際の商品やサービスの魅力を伝える努力が求められます。
最後の「Share(情報共有)」は消費者によって商品やサービスが評価されるプロセスです。SNSや口コミサイトで共有されている情報が不満を述べている内容だった場合、商品やサービスの質、またはそれらを提供する方法やスピードに問題があると考えられるでしょう。
これらのことから、AISASはAIDMAと同じように、消費者心理に基づいたマーケティング施策の立案にも役立ちます。また共有されている情報から改善施策に繋げる際にも役立つと言えるでしょう。
「パーセプションマップ(知覚マップ)」とは顧客が認識する商品やブランドに対するイメージを2つの軸(例:若者向け/高齢者向け×低価格/高価格)で可視化した図です。
パーセプションマップは市場や顧客の視点から見た自社商品やブランドに対するイメージを可視化するため、既存顧客や見込み顧客にアンケート調査を実施し、定量的なデータを収集すると良いでしょう。
またパーセプションマップは自社商品と競合他社の商品を比較したり、マーケティング施策で狙っている要素とパーセプションマップの結果がズレていると分かった場合は、商品改善にも活用できます。
ここまで思考や情報(事象)を収束させることで、何らかの法則を導き出すフレームワークを解説してきました。一方、フレームワークは思考や情報(事象)を発散させることで、新たなアイデア(事象)を生み出すことも可能です。
ここではアイデア発想に役立つフレームワークを3つご紹介します。
「オズボーンのチェックリスト」とは以下9つの問いを用いて斬新なアイデアを発想するためのフレームワークです。
また「オズボーンのチェックリスト」の使い方は以下のとおりです。
テーマに関して新たな視点を得ることができた上で、アイデアを発展させる方向性が複数見出せている状態が、オズボーンのチェックリストを用いたアイデア出しのゴールです。
「SCAMPER」とは以下7つの問いで構成される、アイデア拡張のフレームワークです。前述の「オズボーンのチェックリスト」を踏襲しつつコンパクトにしたフレームワークになっています。
SCAMPERは情報やアイデアが何もない状態から、アイデアを拡散させるのには向かないフレームワークです。そのため、できるだけ多くのアイデアを出せるように、参考になるアイデアや拡散させる基となるアイデアを用意しておくと良いでしょう。
「ペイオフマトリクス」とは「効果」と「実現性」の2つの軸で構成されるマトリクス図を用いて、効率的にアイデアを選択するフレームワークです。選択肢が複数存在している際、選択肢の絞り込みや優先順位を決めるのに役立ちます。
「ペイマトリクス」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
十分な量と質のアイデアが準備できており、掘り下げて考えたいアイデアの優先度が決まっている状態が「ペイオフマトリクス」を用いたアイデア出しのゴールです。
フレームワークは「結果の振り返り・現状の可視化・改善策の立案」のフローを含む、業務改善・目標設定にも役立ちます。ここでは、次の業務改善や目標設定に用いられる、代表的なフレームワークを見ていきましょう。
「PDCA」とは以下4つのステップを繰り返すことで、業務の質を高めていくフレームワークです。継続的に行うフレームワークの特性から「PDCAサイクル」とも呼ばれます。
月単位や週単位といった時間的な区切りやプロジェクトの区切りで、PDCAの各項目を振り返る習慣をつけることで、業務の質を中長期的に向上させるのに役立ちます。
また「PDCA」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
仮説を持ったうえで計画を立案しており、評価のプロセスでは成功と失敗要因の把握、改善プロセスでは改善案が具体的に出ている状態がPDCAフレームワークのゴールです。
「SMARTの法則」とは以下の要素を踏まえて、達成精度が高い目標を設定するためのフレームワークです。
ビジネスシーンにおける目標設定は多くの場合、目標が達成できたか否か、またその達成度合を評価するために行われます。
そのため、SMARTの法則を用いて具体的なアクションに落とし込み、目標に対してどれだけ達成できたかを評価できるよう、測定も達成も可能な目標を設定する必要があるでしょう。
また、組織に所属している場合は、個人の目標が事業の成長や企業の利益に関連しているのも重要です。このように、SMSRTの法則に沿って目標を設定することで、目標達成によって、組織に貢献できるビジネスパーソンになれると言えます。
さらに、前述したPDCAサイクルと組み合わせることで、SMARTの法則で設定した目標の良かった点を活かして、次の目標設定ができたり、改善点を活かした目標設定ができるようになるでしょう。
「AARRR(アー)モデル」とは事業成長を目指すためのフレームワークです。以下の段階に沿ってユーザーを分類し、各々に適切な施策を打つことでリピーター化から収益化を達成させます。
例えばユーザーの獲得段階では新規ユーザーを獲得するためのSEO対策やアプリダウンロード数の増加施策を行うことが挙げられるでしょう。また次段階ではサービスの利用に際してサイトやアプリをユーザーが使いやすいようなデザインに改善し、離脱を防ぐことが挙げられます。
継続・紹介段階では、継続利用者にクーポンを発行したり、コンテンツの更新に合わせたプッシュ通知、SNSシェア機能の搭載などが挙げられるでしょう。
最終段階の収益化では、商品やサービスの購入が多い経路の分析や、収益化につながる重要指標へのリソース分配を実施します。
冒頭で解説したように、フレームワークの最終的な目的は未来を予測することです。
そのため、新たなビジネスや商品・サービスを展開する場面にも役立つフレームワークが存在します。ここでは新規事業開発に役立つ次のフレームワークを見ていきましょう。
「STP(エスティーピー)分析」とは以下の項目に沿って、打ち出そうとしている商品やサービスのポジショニングを明確にするためのフレームワークです。
「市場の細分化」では顧客の属性を明らかにし、商品やサービスの顧客層を明確に定義します。この際、顧客の年齢や性別、学歴、居住地などの要素に着目し、顧客に関するイメージを固めます。
次に「狙う市場の決定」では自社の商品やサービスの強みが活かせる市場を選択します。自社の商品やサービスの強みが活かしやすい市場を選択することで、新規参入のハードルが低く、効率的なマーケティングが実現できます。
最後に「立ち位置の決定」では、市場における優位なポジションを見極めます。具体的には、競合他社の強み・弱み、狙っている顧客層などから、自社の競争優位性がある立ち位置を見極める工程です。
「VRIO分析」とは、以下の項目に沿って企業の経営資源と資源の活用能力を分析するためのフレームワークです。
VRIO分析によって、企業の経営資源の強み・弱みを把握できます。そのため、経営戦略の策定やマーケティング戦略立案の中で内部環境を分析したい場合にも用いられます。また「VRIO分析」フレームワークの使い方は以下のとおりです。
「リーンキャンバス」とは、以下9つの項目に沿ってビジネスモデルを整理するフレームワークです。
コストとリソースの削減、顧客への提供価値を重視している特徴があるため、主にスタートアップ企業の事業戦略立案で用いられる機会が多いと言われています。
ここまで解説してきたように、用途別にさまざまなフレームワークが存在しています。フレームワークを知っておけば、現状分析や仮説立案がしやすくなるメリットもあります。
一方、フレームワークを効果的に活用するためにはいくつかポイントがあります。最後にフレームワークを活用するポイントを抑えておきましょう。
フレームワークはあくまで論理的な考え方の枠組みを提示してくれるツールです。そのため、現在の状況を多角的な視点で分析するためには、フレームワークを活用するときに自身がどんな視点に立って考えているのかを意識することが大切です。
例えば、顧客満足度を高めるためにクレームを分析したところ、商品提供までの待ち時間が長いという意見が多かったとします。
この状況で「待ち時間を短くする」という直接的な解決方法の観点で打ち手を検討することもできますが、視点を変えて「待ち時間を楽しく過ごせる」方法を考えることもできるでしょう。
視点とは思考の出発点であり、どの視点に立つかによって生み出されるアイデアは大きく変わってくるのです。
また、異なる用途のフレームワークを組み合わせて使えば、幅広い業務にフレームワークを活用できるようになるでしょう。
例えば「問題・課題の発見に役立つフレームワーク」の中からピラミッドストラクチャーを用いて、事業の課題を「商品・サービスの認知度の低下」だと突き止めたとします。
ピラミッドストラクチャーは問題や課題の発見に強いフレームワークですが、競合他社が優位な市場で斬新なPRやマーケティング戦略を立案するにはアイデア発想に強いSCAMPERの活用が必要かもしれません。
Schooではビジネスパーソンの基礎力となる、ビジネスフレームワークに関するコース授業を開講しています。ここでは紹介し切れなかったフレームワークについて学びたい方や、フレームワークの活用方法を詳しく知りたい方はぜひ授業を受講してみてくださいね。
フレームワークはプレゼンテーションの準備や新規事業の立ち上げ、業務改善など幅広いビジネスシーンで役立ちます。
またフレームワークの内容や活用目的、使える場面を一度覚えてしまえば、異なる職場や業務でもすぐに役立つビジネス基礎力です。
Schooではビジネスフレームワークをはじめとした、ビジネス基礎力・ロジカルシンキングの授業が月額980円で受け放題です。この機会にぜひ、活用してくださいね。