4/28(Sun)

今日の生放送


 

ーー目次ーー

1. 「リスクマネジメント」とは?

2. 管理職のためのリスクマネジメント

3. 「リスクマネジメント」をさらに学んでみよう!

 

かいせつ先輩:仕事を円滑に進めるために、日ごろからリスクについて考えているビジネスパーソンは少なくないはず。でも、漠然とリスクを考えてもあまり意味はないかも…。そこでここでは、管理職または管理職を目指している方のために、「リスクマネジメント」について紹介します。

 

「リスクマネジメント」とは?

猫田くん

そもそも「リスクマネジメント」ってなんですか?

 

かいせつ先輩

「リスクマネジメント」というのは、リスクを組織的に管理(マネジメント)し、ネガティブリスクに対して損失などの回避または低減をはかったり、ポジティブリスク(挑戦のためのリスク)に対して積極的に活用し好機にしたりするプロセスのことをいうんだよ。

 

リスクマネジメントで、私たちの仕事についてその後のありようが決まるとも言われていて、とても大切なことなんだ。

 

今回はネガティブリスクについて考えてみよう!

 

先生のご紹介

真部 助彦  株式会社マネジメント21 代表取締役

1972年早稲田大学法学部卒業。San Francisco State College, Madrid University留学。米国と欧州にそれぞれ2年間生活して交友と見聞を広める。商社、メーカーなどでプロジェクトマネジャーなどを経験。「中小企業診断士」取得を機にコンサルティング・ファームで活動する機会を得る。伊藤忠ビジネスコンサルティング(株)の組織戦略推進部長を経て、1996年(社)中部産業連盟(トヨタグループ200社余などが会員企業)に入職し東京本部プロジェクト開発室長を歴任。2010年1月に(株)マネジメント21を設立、代表取締役になる。

 

管理職のためのリスクマネジメント

真部先生:リスクマネジメントをわかりやすく理解していただくために、リスクマネジメント実践の手順を遠距離恋愛に例えながら話したいと思います。

 

 

リスク特定やリスク分析など、遠距離恋愛をしているといろいろとリスクがあるわけなんですが、遠距離恋愛をすると3カ月くらいで約3割も別れてしまうんです。

 

その時にどんなリスクがあるのかというと、恋人と離れているので信頼関係を築きづらく、問題になります。ほかには、連絡をマメに取っているか・取っていないかもリスクのひとつです。最後は相手以外に夢中になれるモノを作っているかどうかですね。

 

受講生代表:人ではなくてモノなんですね。

 

真部先生:人ではダメです(笑)。

 

遠距離恋愛ではこういったリスクが出てくるわけです。これらのリスクの予防的対策をするには、信頼関係を築くためにマメに連絡をとることが大切ですね。一方で信頼関係が危なくなっているという発見的対策をするには、恋人と会ったときにいろいろ確認して、「危ない状況かもしれない」と発見できる可能性があるので、「恋人に会う」という機会を作ることが発見的対策になります。

 

また、恋人と離れていると誤解を招きやすいです。事前に考えるのは難しいですが、この誤解を解くことが「突発的対策」になります。

 

今度は「モニターリング」と「評価」を考えます。これは「有効性評価」です。さきほどの「予防的対策」ができていたのかを「有効性評価」します。たとえば恋人同士のイベントには、誕生日やクリスマス、バレンタインデーなどがあり、そのときにお互いの心遣いやプレゼントの内容を「有効性評価」し、「これは“ヤバい”」と判断した場合は、「継続的改善」をします。

 

「継続的改善」をするときには、当初よりも時間が経っているので「リスク特定」と「リスク分析」、「リスク評価」、「リスク対応」をやり直す必要があります。

 

受講生代表:授業に寄せられたコメントを見ると「リスクマネジメントと聞くと、重苦しく感じますが、遠距離恋愛の例で聞くと身近に感じます」とあるので、非常にわかりやすいと感じてもらえているようです。

 

真部先生:では、次は「リスクマトリックス」について説明します。これは必ず作るようにしてください。

 

 

現在管理職の方やこれから管理職になる方は、任せられた部署や人を会社としての目的・目標を達成しなければなりません。しかし達成するためには、思いがけないことがいっぱい起こります。それらを事前に予測しておくために、「リスクマトリックス」が必要です。

 

縦軸の「影響度」とは、「どのくらいの金額を被るか」という金額で表すものです。「影響度」が非常に高いものが「3」、まあまあ高いものが「2」、それほど高くないものが「1」となります。

 

横軸の「発生可能性」は、「どのくらいリスクが発生する可能性があるか」というものです。「3」はよく起こる、「2」はまあまあ起こる、「1」はまれに起こると判断します。

 

これが「リスクマトリックス」または「リスクマップ」と呼ばれるものです。限られた時間とコストのなかで、阻害要因を見つけ、対応すべきリスクを特定するために使用します。

 

受講生代表:では、次に「リスクマネジメント」の傾向について考えます。みなさんには、どのような傾向があるのでしょうか?

 

真部先生:ご自身がどのようなタイプか知っておいていただく必要があります。まずは下の画像を見てください。

 

 

「Rタイプ」はリスクマネジメントをしている方で、「Zタイプ」はリスクマネジメントをまったくしていない方です。「Rタイプ」は外出前に天気予報を確認し、携帯用の傘を用意して、雨が振り出しても濡れません。一方で「Zタイプ」は天気予報を確認しないので携帯用傘を持ち歩かず、雨が降りだしたらコンビニに駆け込んで傘を購入します。

 

このように分かれているので、まずはグラフを見て、ご自身のタイプを考えてみてください。

 

 

「Rタイプ」 の方は、被害を最小化して、リスクを離脱しています。雨にも濡れず、雷にも遭いません。ところが「Zタイプ」の方は、傘も買えず、雨に濡れて雷にも遭ってしまう。被害をたっぷり被り、リスクに翻弄されてしまいます。

 

今回は日常生活の事例を取り上げましたが、これは仕事でも同じような傾向が見られるので、一度判断してください。

 

受講生代表:では、次からは「日常管理でよくある問題への対応」をお願いします。

 

 

真部先生:アメリカの損保会社の技術調査部長・ハインリッヒが調査した「ハインリッヒの法則」というものがあります。彼がとった統計によると、ひとつ大事故があると、その裏には29件の軽微な事故があり、さらにヒヤリ・ハットは300件あるそうです。このデータを基本にしてJALやANAなどはいろいろと分析しています。

 

事故分析は必ず実施して、さらに事故の未然防止として、ヒヤリ・ハットを見なければなりません。ヒヤリ・ハットは安全のことでよく言われていますが、ここでは「危ない行動をやった」、「危ない状態を作った」ということが出てきます。これらは「不安全行動」といい、車で例えると「無謀運転をした」が該当します。それから「不安全状態」というのは、「車を点検しておくべきなのにしてなかった」という状態です。

 

上記を踏まえたうえで、今回の受講対象である管理職または管理職になる方に、だいたい共通する問題のひとつの「部下の早退、欠勤」についてお話します。

 

 

「リスク特定」を「育児や介護のために社員が早退」にすると、「リスク分析」は

「育児や介護予定を社員からヒアリング、話し合い」になります。社員に休まれると大変なので「影響度」は「3」にし、「発生可能性」は起こりえるので「2」とします。これを掛け算すると「6」となり、「大きさ」は「A 特大」です。「職場に育児や要介護責任者が複数いる」ことを「備考」に書きます。

 

次の「リスク特定」が「通院や入院で一部社員が欠勤」となると、「リスク分析」は「通院や入院の届け出、病歴」で、「影響度」は「2」、「発生可能性」も「2」とし、「大きさ」は「B 大」です。「備考」は「職場で健康管理の指導中」でこれはあまり取り上げる必要はなさそうと判断できます。

 

3番目の「リスク特定」は「インフルエンザ流行で複数社員が欠勤し長期化」です。「過去のインフルエンザ流行時の対処記録」を情報として調べると、「影響度」も「発生可能性」も高くなることがわかります。さらに、「備考」は「長期予報で寒波襲来の恐れがある」になり、大きなリスクになる可能性があります。

 

これを元に対策を考えてみましょう。

 

 

対策は「予防的対策」と「発見的対策」、「突発時対策」の3つを考えていただきます。

 

社員が早退することがよく起こるとなると、早退したあとの仕事がどうなるのか、電話を打ち切ることはできないので、社員やパートの多能化を進め、代替要員を育成しておくことが「予防的対策」の1番になります。これを実現するためには、作業・業務フロー分析で、該当業務を標準化しなければなりません。

 

次に「発見的対策」では週次ミーティングで該当者の有無を確認する、「突発時対策」では部署間で調整し、代替要員をシフトするという流れになります。下段のインフルエンザも同じような考え方ですね。

 

さきほど多能化を進めると説明しましたが、多能化をするためには作業・業務フロー図から作業・業務標準書を作る必要があります。

 

 

「業務フロー図」では、受注から出荷までの業務全体の部署間の仕事の流れ、ステップの明確化をします。次の「作業フロー図」では、たとえば土台工事があり、挨拶から始まり、フォークリフトをとってくるかなどの項目が考えられ、作業が始まります。

 

この「作業フロー図」内の作業の手順やポイントを抜き出したものが「作業・業務の標準書」になります。

 

これらを作成して多能化を進めますが、「多能化育成のためのスキルマップ」というものもあります。

 

 

このマップには「固有技術(業務・作業)」と「管理技術(改善)」の2つがあり、両方とも社員に身に付けていただくためのものです。

 

例えば安部さんの場合は、「A業務」は現状「②一人でできる」ですが、機械の故障にも対応できるように「③異常に対応できる」になってもらわなければなりません。「B業務」や「5S」なども同様に、それぞれスキルアップを目指します。

 

「多能化育成のためのスキルマップ」は社内などに貼りだして使ってください。

 

かいせつ先輩

管理職しているまたは管理職を目指しているみなさん、リスクマネジメントについて理解できましたか? まずは自分が「Rタイプ」なのか「Zタイプ」なのかを見極めて、効果的なリスクマネジメントを身に付けられるようスキルアップしましょう!

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