4/28(Sun)

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自社の広告配信やPRなどの業務を担当している方であれば、「DMP」や「DSP」、「SSP」などのような専門用語を聞いたことがあるはず。

 

しかし、聞いたことがあるだけで詳しい内容については…。そんなみなさんは自身のスキルアップのためにも、一つひとつの用語を理解すると◎。

 

今回は「DSP」について詳しく解説します。

 

 

「DSP」とは?

猫田くん

ウェブ上の広告には、「純広告」と呼ばれるものや「アドネットワーク」など、いろんな種類があると思いますが、「DSP」とはどういうものなのでしょうか?

 

かいせつ先輩

DSPとは「Demand Side Platform」の略で、「デマンドサイド=買い手側(広告主側)」が望むターゲットへのリーチや枠を買いつけることを実現する、広告配信プラットフォームになります。

 

たとえば純広告は決められたメディアの決められた「枠」にのみ広告を出す方法ですが、DSPは20代の女性ユーザーなどのように「人」に対して広告を出すことができます。

 

詳しくはプログラマティック広告に関する幅広い知識を持っている小林先生に教えてもらいましょう。

 

先生のご紹介

小林 美樹 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社

筑波大学卒業後、出版物卸売業会社に勤務。ECサイトの立ち上げ・運営業務等に携わったのち、2016年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)に入社。DSPのメディア担当としてトレーディングデスク部に所属し、プログラマティック広告に関する幅広い知識を集約・展開する業務に従事している。

 

初心者のためのDSP

 

 

小林先生:DSPはプログラマティック(運用型)広告の最先端で、単純に広告を配信できるだけではなくて、いろんなデータを使ったり、分析を含めたりして最適な広告運用を実現するプラットフォームです。

 

受講生代表:広告主側にメリットがあるということですか?

 

小林先生:そうですね。

 

Demand Side Platformの反対に「Supply Side Platform」という売り手側の在庫マネタイズツールというものがあります。SSPというんですけれども、基本的にDSPとSSPのあいだの取引で始めて広告の配信が実現します。

 

受講生代表:DSPとSSPはセットと考えればいいですか? 需要と供給のような?

 

小林先生:そうです、おっしゃるとおりです。セットで覚えていただくといいですね。

 

受講生代表:今回はDSPということですが、具体的にどんな形の広告なのでしょうか?

 

小林先生:DSPからどんな広告が流れているのかということなんですが、下のスライドのような広告を見たことはありませんか?

 

 

「○○歳のあなたへ」などのように、何かを教えたわけではないのに、勝手に自分の情報に即した広告が出たり、自分が一度訪れた通販サイトの商品が表示された広告が出たりして、「今セールしています!」と書かれていて、ついついクリックしてしまうという広告ですね。

 

スライドの左側が「オーディエンスターゲティング」、右側が「リターゲティング」というふうに大別されまして、オーディエンスターゲティングはその名のとおり、今広告があたっている人がどういう人なのか、どういうオーディエンスなのかということを判断して出す広告です。

 

「リターゲティング」は、一度広告主さんのサイトに訪れたことがあったり、すでに広告を見ていたりする人に対して、もう一度その商品をプッシュするための広告ですね。

 

受講生代表:こういった広告の裏側でDSPが動いているということですか?

 

小林先生:そうですね。こういった広告を配信するためにDSP側でいろんな設定を細かく行っているというイメージです。

 

DSPの具体的な仕組み

 

小林先生:DSPは人が扱うもので、たとえば代理店(広告主)のなかに運用者がいて、その人たちが「配信期間」や「予算」、「ターゲティング内容」、「クリエイティブ」などを設定します。

 

 

画面上で設定をすると、RTB(後述)によって入札の取引を行って、その先につながっているたくさんのSSP、さらにその先につながっている無数の媒体に対して、設定した内容に即して広告主の狙った「人」や「枠」に配信することができます。

 

さらにDSPのすごいところは、ただ広告を配信するのではなく、配信している最中にレポートとかで“今どういうふうに配信されているか”ということを確認できます。なので、たとえば「最初は女性に向けて配信したかったけれども、男性にもあてていたら男性にも効果がよかったな」などようなことがわかり、予算を男性に向けるといったように柔軟に運用できるんです。

 

受講生代表:どんどんブラッシュアップされるイメージですか?

 

小林先生:そうです。もちろん人が見てもわかりますし、DSPにはAIも積んでいて賢いので、勝手に考えて勝手にいいように最適化していくんです。最適化のロジックがうまくきくと、そんないじっていなくてもどんどんどんどん効果がよくなります。

 

こういった柔軟な運用をすることで、お客さんの望んだターゲットへのリーチや配信を実現できます。無数の人や枠に細やかな配信ができるのがDSPの魅力です。

 

RTBとは?

小林先生:さきほども出てきましたがRTBとは「Real Time Bidding」の略です。そのまま、リアルタイムでの入札という意味ですね。

 

 

誰かが媒体社サイトを見にきたたび毎に、リアルタイムでオークションが行われます。その一瞬で「じゃあこの枠に対して、どういうふうに入札しますか? 何円で入札しますか?」ということを聞かれて、DSPが一斉に金額を提示し、いちばん高かった人のところが広告を出していいですよ、というやり取りが一瞬で行われているんです。

 

広告主と媒体社さんが事前に条件を設定して、合致した場合に初めてオークションの取引が行われます。

 

 

ABCニュースの人が枠を「CPM120円以上で売ります」、一方で代理店の運用者の人は広告主さんの意向に基づいて、「30代男性が来たらCPM150円で買います」という設定を事前にしておきます。そうすると実際に30代男性がABCニュースに来て枠が表示されたら、媒体社さんからSSPを通じて「入札しますか?」と聞かれ、代理店が「CPM150円で買います」という流れになるんです。

 

DSPはどうやって「人」を判断している?

小林先生:さきほどから「この人は男性だから」というふうにお話していますが、これをいったいどうやって誰が判断しているのかということですね。

 

 

DSPによるターゲティングのときに、30代男性が来ました、東京都に住んでいますという情報は、DSPが元々の情報をもとに判断しているんです。ビッドリクエストというSSPを通じて送られてくる情報の中には、IPアドレスやcookieIDなどの機械的な情報しか含まれていないんですね。それをDSP側が読み取って、おそらくこの人は30代だろうとか男性だろうと判断しています。

 

そのため、みんなこの人を30代だと思っているのかはわかりません。使用するDSPによって判断している基準が違うので、このあたりもDSP選びの肝になってきます。

 

DSPのメリットとデメリット

小林先生:まずはメリットからお話します。

 

 

・複数の面に、多様なデータを使った配信が可能

…たとえば純広告だと、ある程度はターゲティングできる場合もありますが、決められた枠にしか出すことができないので、来た人によって広告を出し分けることはできません。一方でDSPは「人」に対してターゲティングできるので、無駄なimpは少なくなります。

 

・純広告よりも少額で実施可能

…純広告の場合は、決められた面を買うのに「最低●十万円必要です」のような形があり、そうすると複数の面に広告を出すためには、費用がどんどん膨らみます。でもDSPであれば、DSPに対して最低金額を決められることが多いので、比較的純広告よりも少額でいろんな枠に広告を配信できるんです。

 

・自由な運用が可能

…純広告のように決められた期間で買ってしまうと、広告の効果が悪かったとしてもキャンセルできず、設定も変えられません。DSPの場合は運用が可能なので、最初にあてたものが悪かったとしても、設定を変えて自由な運用をできます。

 

・最適化エンジンで自動最適化される

…最適化エンジンがきくので自動的に広告を最適化してくれます。たとえばユーザー属性だけじゃなくて、「この曜日やこの時間帯にあてると効果がいいよね」とか、「今回のクリエイティブの中ではこれがいいよね」とかになると、勝手にそこに配信を寄せてくれるので、人間が細かくやらなくても勝手に最適化をかけてくれるんですね。

 

このあたりがDSPのメリットです。

 

受講生代表:純広告よりも少額ですし、負担も減っていますよね。

 

小林先生:そうですね。でもデメリットもあります。

 

 

・ターゲティングによっては、ボリュームが出ない

…ボリュームというのは配信のボリュームのことで、すごくよくあるのが「○○に住んでいる、こういう人の、さらに○○に興味関心を持っている人にあてたいです」というように、条件をいくつも掛け合わせることがあるんですけれども、そうすると配信ユーザーが絞られすぎてしまい予算を消化できないことが起こりえます。

 

・設定できる条件が多い分、効果が事前に測り切れない

…前述のように掛け合わせることが多くなると、見積もり時などに「どれくらい効果があるかわらないですね」という答えになってしまうことがあります。

 

・配信量を担保しないので、未消化や早期終了のリスクあり

 

・掲出先を把握しづらい

…使用するDSPにもよりますが、広告がどこに出たかというのをドメイン別には見れない場合もあります。ほかによくあるのは「広告が出ていたキャプチャがほしいです」と言われることがあります。純広告ならTOP面に出ていたらキャプチャを撮って送れますが、DSPは「人」に対するターゲティングなので、その人がターゲットに入っていなかったら確認できないんですよね。

 

・広告詐欺(アドフラウド)の温床??

…これはこういうことが言われているという話なんですけど、アドフラウドの温床ではないかといわれます。やっぱりさきほど説明したように、DSPやSSPの取引になるとプレイヤーがすごく多いので、それだけ人が挟まる分、どこかで詐欺的なことを考える人がいてもなかなか発見しづらいです。

 

受講生代表:では本日の内容のまとめをお願いします。

 

小林先生:DSPは「枠」と「人」を自在に選択・配信することができるので、認知から獲得案件まで、フルファネルに対応できるソリューションになりました。DSPは割となんでもできる最先端のプラットフォームに成長しています。

 

 

Q&A!みんな気になる、あの疑問に先生が回答

かいせつ先輩

ここでは、授業を受けた方の質問とそれに対する回答を紹介していくよ!

 

【Q】

受講生代表:現在の純広告、アドネットワーク、RTBのシェアを教えてください。

 

小林先生:これは難しいですね。というのもこれは広告主さんによっても違いますね。今残っている純広告はやっぱりプレミアムなものなので、最低出稿金額が大きいため予算を多く持っていないと出せないことがあります。

 

一方でアドネットワークやRTBは最低申込金額が少ないので、予算が少なめなところだと、いろんなネットワークとかRTBを使い、いろんなところに広告を出してとにかく獲得を得る・獲得できればいい、認知はできなくてもいいという場合なら、8~9割はネットワーク出稿になるという広告主さんもいらっしゃいますね。

 

基本的に今の広告主さんだとアドネットワークやRTBは使っていることが前提で、一部純広告を使うことが多いと思います。今は運用型広告がどんどん伸びていますね。

 

受講生代表:DSPとSSPでは、運用している会社が違うことがあるのでしょうか? RTBというシステムを運用している会社も違うのでしょうか?

 

小林先生:実はこれも会社によっていて、たとえばGoogleさんはDSPとSSP両方を自社で持っています。同じようにグローバルで有名なトレードデスクもDSPがあるんですけれども、こちらはDSPのみなので、SSPは完全に別の会社から買い付けることになっていますね。

 

どっちも運用している会社さんもありますし、片方だけということもあります。ちなみにRTBを運用している会社というは存在しません。結局RTBはDSPとSSPのあいだで行われる取引のことだからです。でも、そのあいだを繋いでいるアドエクスチェンジといわれる事業者さんはありますね。

 

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