10/9(Wed)

今日の生放送

かいせつ先輩

職場の研修などスキルを高めようとする場で、「PDCA」という言葉を聞いたことがある人は多いんじゃないかな。PDCAは成果を出すために重要なフレームワークだから、これから仕事で活躍していきたい若手のビジネスパーソンは特に身につけておきたいものなんだ。

でも、PDCAについて実はよくわからないという人もいるよね。そんな人にオススメしたい授業が、デキる若手のPDCA。

本授業では、PDCAの基礎を学ぶことができるよ。PDCAの意味や発展してきた歴史、具体的なPDCAのステップを知ることで、仕事の成果につなげよう。


 

PDCAとは

かいせつ先輩

まずは、PDCAとは何か先生がわかりやすく解説してくれたよ。

 

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松本先生:PDCAというのは、略語なんです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字ですね。料理に例えると、何作ろうか決めて必要な材料を買いにいきますよね。それが計画を立てるというところです。

そして実行というのは、実際に調理をして食べてみるところ。その結果美味しい、不味いと評価する。もし不味かったら何が悪かったのか、次作るとしたらどうすれば良いのかというのを改善する必要があります。そして次は美味しい料理を作ろうとまた計画を立てます。これをやっていくのがPDCAサイクルですね。

もともとは工場などの品質管理から始まったものですが、それが工場だけじゃなくて経営そのものにも使えるということで、組織を管理する手法になって広く普及していきました。PDCAサイクルを1回やるだけじゃなくて、継続的にやっていきましょうというのをPDCAサイクルといいます。

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このPDCAサイクルが生まれてから、ざっくり言うと100年近く経っています。もともとアメリカからやってきた考え方で、統計学者のデミング博士という方が提唱して、日本に持ち込んでくださったといわれています。先ほども言いましたが、まずは織物や車など製造業における品質管理の手法として普及していきました。

このデミング博士がPDCAサイクルの考え方を持ってくる前までは、製造業にかなり無駄があったんです。全部作ったら全部検査するという全数検査をやっていました。そのうえである一定の基準をクリアしたら合格して出荷となるんですけど、基準をもし満たさなかったらすべて捨てることになっていました。

これを直すためにいろいろな学者の方が言っていたのは、失敗の要因を2つに分けましょうと。1つは、管理できる失敗要因。もう1つは、管理できない・仕方がない失敗要因。このうち管理できる要因に着目して明らかにしたうえで潰すと成功しますよね。この考え方を提唱したのがPDCAのはじまりです。

戦後にGHQが国勢調査のためにデミング博士を日本に派遣してくれました。それがきっかけでデミング博士が1950年に再来日して、当時の経営者向けに「品質の統計的管理8日間コース」などの研修を行ってくれました。その後日本の製造業は高い品質だと定着して、大きく成長していきました。


 

PDCAのメリット

かいせつ先輩

PDCAを実践することで、どんなメリットがあるんだろう?デメリットと合わせて解説してもらったよ。

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松本先生:次に、簡単にPDCAのメリットをご紹介します。まず、プランを立てるために仕事をゴールから考える必要があるので、無駄が少ないというのが1番大きなポイントかなと思います。

無駄が少ないと仕事のスピードが早くなるし、スピードが早いとたくさんチャンスが回ってきます。するとたくさんPDCAを回せるからさらに成長できるんですね。

ただ、意識高い方はこれでも火がつくかと思いますが、そうでない方もいるかと思いますので、もしPDCAを回さなかったらどうなるかというデメリットもご紹介します。まず、PDCAを回さなかったら仕事の無駄が多くなります。

そもそも計画を立ててやらないので、成果につながるまで時間がかかりますね。成果につながらないと自信がなくなりますし、仕事が楽しくなくなります。すると段々私生活が荒れてしまう。悪循環に陥ってしまいますので、今の時点でPDCA回せるようになると爆発的に成長できます。


デキる若手のPDCA

かいせつ先輩

ここからは、PDCAのステップを学んでいくよ。どんなステップを踏んでPDCAサイクルを回していけば良いのか理解して、デキる若手への道を踏み出そう!

松本先生:今回はPDCAの全体像を軽くご説明したいと思います。平べったくして見てみると、Pめっちゃ長いですよね。やっぱりね、最初が肝心なんですよ。計画段階が1番大事。実はPDCAのステップは、8つに分かれます。まず、計画を立てるPlanの部分は5つのステップに分かれています。DCAはそれぞれ1つずつのステップですね。

それではそれぞれのステップを確認します。まず早速プランを立てる……というのは甘い!違うんですよ。いきなりプランを立て始めちゃうと、何のためにプランを立てるのかとなってしまいますので、まずはその前に何をゴールとするのか決めます。だからPDCAの前にG(ゴール)があるようなイメージですね。

例えば、来年こそは富士山に登るという中長期の目標があったときに、「そのために私は腹筋を6つに割ります!」と宣言するのはズレていますよね。ゴールとPDCAが整合性取れているのかというのを確認しないといけません。例えば富士山の前に高尾山に登るとか、大枠の目標につながるものにしないといけないということです。

まずプランの1つ目は「問題を明確化する」ことですが、現状に問題がないと考えている方もいるかもしれません。でも実は、仕事をしている以上、問題がないということはないんです。問題ないと考えている方は、問題の定義が違うのかもしれません。

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問題というのは、今置かれている「現状」と本当はこうだったら良いのになという「あるべき姿」のギャップなんです。私は現在体重が68kgありまして、本来私の身長から計算したBMIによると61kgが適正体重だといわれています。この7kgオーバーしているというギャップが私の問題なんです。

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そして、課題とは何かを考えてみましょう。実は問題と課題って、一緒くたにされがちですけど全く違うものなんですよ。現状をあるべき姿に持ち上げるのが問題解決といわれていますし、一方で課題なんですね。

問題はネガティブ、課題はポジティブな響きがあります。問題はできていない、課題はできるようにするということです。私の場合は7kgオーバーというのが問題ですが、課題は体重を7kg減らすこと。こうすると明確だしやる気になりますね。

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でも、PDCAのことをお伝えすると、あるべき姿を描くのが難しいという方もいます。1つの方法としてお伝えしたいのが、視点を変えてみるということ。やっぱり自分の理想像がどういうものかって、なったことがないからわからない。自分の今の水準より下しか見えないから、それより上がわからないんです。だから視点を変えて、壁の向こう側を見てみましょうと。

それが、「3C×時間軸」というフレームワークです。1つ目の3Cというのは、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の頭文字を取ったもの。お客さんは自分に対してどんな仕事をしてほしいと思っているのか。上司や社長が、本当は自分に対して何を求めているのか、上司だったらこんなときどうするのか。

あとは、ライバルだったらどんなふうに考えるか。自分とは全然違う人格になりきって考えることによって、理想像を描きます。それに対して時間軸は、現時点で考えるのではなく、3年後や5年後など長期的に考えていく。これらを掛け合わせると、あるべき姿が描けると思います。

それでもわからないことがあるかと思います。そんなときは、まずやってみてください。Doをしてみたら、壁にぶつかることがありますよね。そこがまさに現状です。そうすると、本来はこうなるはずだったのにというのが翻って出てきたりしますので、そのときに成功、あるべき姿がひとまず考えられるようになると思います。

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次に、プランの2つ目は「問題を分解する」ことです。何が問題となっているのか、なぜ今できていないのかを分解する必要があります。重要な問題点を、事実ベースで特定する。それが3つあって、まず具体的な問題に整理しましょう。そして優先順位をつけて、事実を集めて問題点を特定します。

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先ほど私の問題として7kgオーバーといいましたけど、問題点をいくつかピックアップしてみました。夜中にアイスを食べる、飲み会ではビールを大量に飲む、そして1カ月、いや1年以上運動をしていません。そしてそもそも、地球に引力があることも悪いと思うんですよ。このなかで1つだけ、問題点ではないものがあります。なんでしょう。

受講生代表:間違いなく、地球に引力があることですよね。

松本先生:そうですよね。自分ではどうしようもない、知ったからといって解決策がないものは、問題点として扱わず無視します。冒頭のデミング博士の話で、自分で管理できる要因にのみ着目しましょうというのがありましたが、それがこれなんです。

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そして、この3つが問題点だとわかったところで、「じゃあ全部やってみてください」と言われても困りますよね。ですので、優先順位をつけます。ただ、優先順位をつけるときはなるべくロジカルにする必要があります。

そのときに使えるのが、「重要=緊急マトリクス」です。重要かそうでないか、緊急かそうでないかに分けてやってみるという方法です。やっぱり重要かつ緊急な問題から対処していくべきだし、重要でも緊急でないというのはもしかしたら無視しても良いかもしれませんよね。

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プランの次のステップは「目標を決める」ことなんですけれども、実際にやりましょうとなったときに、何をもってOKとするか。あるべき姿はどうしたら達成できたといえるか。そのときに、ものさし(基準)を作ることが必要です。

その基準というのも、あまり高い目標ではなくすぐ達成できそうなものにしてしまうと成長につながらないので、高い目標を掲げましょう。あと、目標はちゃんと測れるものにしていただきたいです。それが何かというと、「SMART」な目標です。

これも頭文字で、Specific(具体的)でMeasurable(測定可能)でAttractive(魅力的)でRealistic(現実的)でTime-bound(期限がある)な目標ということです。

ではプランの終盤に来ましたが、目標を決めたら実際に対処するべき問題は何なのか深掘りしていく必要があります。これが、「真因を追求する」ということです。なぜその問題が起こっているのかを、プロセスごとに深掘りしていきましょう。思い込みや他責ではなく、事実に基づいて考えます。

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そのときに使える2つのツールをご紹介します。まずはフィッシュボーンと呼ばれることもある「特性要因図」です。もしかしたらこれが原因じゃないかと広げるものですね。

例えば私には残業時間が多いという問題があって、そのなかの問題点の1つとして提案書作成に時間がかかりすぎているというのがあったとします。なぜ提案書作成に時間がかかりすぎているのかというのを、私自身のスキルや職場環境、内容、方法など可能性を広げて考えます。

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そして、どうも職場環境が問題のようだとあたりをつけたら、どうしてそうなのかというのを深掘っていくんですね。そこで使うのが「なぜなぜ分析」です。観察してみると、私はいつも資料を作るときに探す時間がかかっている。

なぜ探す時間がかかるのかというと、机の上が散らかっているから。なぜ散らかっているのかというと、全く整理していないから。なぜ整理していないのか、それは整理する時間がないから。なぜ時間がないのか、1日の計画を立てていませんでした。

この深掘りをしないで、資料を探すのに時間がかかっているなら、今ある資料を分類しようというふうに対策を取ったとしましょう。すると、同じ問題が再発してしまう可能性が高くなるんです。資料作成に時間がかかっている本当の要因まで深掘りすることが、真因を追求するポイントです。

そしてプランの最後は、「対策を立てる」ということです。関係者やリスクを鑑みながら、費用対効果の高い対策を立てる必要があります。

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長いプランが終わると、次はDoですね。

「対策をやりぬく」ということです。せっかく立てた対策なので、チーム一丸となってみんなでやりきりましょう。

Checkは「結果とプロセスを評価」しましょうということです。結果だけでなく、プロセスも評価しないといけません。

また、失敗だけでなく成功からも学ぶ必要があります。なぜかというと、たまたま成功したという場合があるからです。成功した理由も勉強していないと、今たまたまできたことが次はできないという可能性があるので、危ないんですね。

そして最後は、Actionです。失敗したら、もう一度PDCAサイクルを回しましょう。一方成功したら、プロセスを定着させて標準のレベルを上げ続けることが必要です。

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