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企画とは?仕事の内容・方法・企画力の高め方について解説

<目次>
1:企画とは
2:企画の方法・フロー
3:企画立案のコツ
4:企画に必要なスキル
5:企画力の高め方
6:企画力向上におすすめの授業を紹介
7:まとめ

ビジネスパーソンとして若手から中堅にステップアップする中で、蓄積してきたノウハウや意見、アイデア(着想)をアウトプットする役割も増えていきます。この時に求められるスキルが企画力です。企画は個人のひらめきによって、全く新しいアイデアを形にする行為と捉えられやすいですが、実は企画立案には明確な目的と方法があります。

ここではSchooオリジナル授業『はじめての企画立案』を参考に、ビジネスシーンにおける企画の意味や目的、企画立案の方法、企画力の鍛え方をまとめて解説します。

 

企画とは

企画を立案するからには、誰もが納得するような的を得た企画を立案したいものです。的を得た企画を立案するには「企画」の意味や目的を知った上で、アイデアをまとめる必要があります。本章では企画力を鍛え、企画立案をするための前提である企画の意味・目的を解説します。

 

企画とは「課題解決のためのアイデア」

企画は斬新なアイデアを瞬間的にひらめくような、個人の才能に左右される作業のように思われがちですが、企画の本来の意味は「あることを行うために計画を立てること」(引用:weblio辞書)です。このことから、ビジネスシーンにおける企画とは顧客やユーザー、社員などのニーズに応えるために計画を立てる、ある程度順序立った作業だと言い替えられるでしょう。

またビジネスにおけるニーズとは「欲求、要求(require)、需要(demand)」を表しており、経営学者のフィリップ・コトラーによれば、生活に必要な充足感が得られていない状態、つまり日常生活や職場に課題を抱えている状態だと言われています。上記から企画の本質とは、顧客やユーザー、社員などが抱える課題を解決するための計画や、課題解決に必要なアイデアだと分かります。

 

企画力とは

企画を立案する際に必要とされるスキルは、一般的に「企画力」と呼ばれます。企画の本質が課題解決なのであれば、企画力は受け手が抱えている課題を的確に把握し、解決法を提供することで受け手に充足感を与えるために必要な思考力と実行力です。

また企画力は相手に満足してもらうための思考である点で、商品やサービスを売るために、受け手のニーズに則った施策を行うマーケティングスキルと相関性があります。「手を使わずに着脱できるスニーカー」として企画・開発された、Nike GO FlyEase(※)がその一例です。

Nike GO FlyEaseは両手が荷物で塞がってしまっている母親や、身体障がいによって手足の可動域が狭いまたは動かしにくい生活者にとって「靴の着脱がしにくい」課題を解決した優れた企画だと言えます。2021年に一般販売が開始された当初は、その人気によって入手困難な時期が続いたほどです。

※参照:https://www.nike.com/jp/flyease/go-flyease

 

企画の方法・フロー

企画 方法 フロー

企画の本質や企画を立案する際に求められる企画力についてイメージできたところで、次では実際に企画を立案する方法とフローを解説します。

 

ゴール・課題設定

まず企画した商品やサービス、イベントなどのアウトプットを通して受け手に与えたい価値や受け手が充足感が得られる状況をイメージして、仮のゴール(企画によって実現したい状態)を設定します。企画を依頼された場合は、依頼者の要望を詳細にヒアリングしてゴール・課題設定に活用しましょう。

要望をヒアリングする際には、直接1対1で対話をする方法や多数の受け手に対してアンケートを実施する方法などがあります。また企画立案者が考える、理想的な社会像からゴール・課題を構想するのも1つの方法です。依頼者やアウトプットの受け手の要望からゴール・課題が設定できたら、企画の本質である課題解決(=要望・理想と現状の乖離を軽減させる)に移ります。

 

現状分析

現状分析のフローでは、リサーチが主な業務内容です。ICTの発展によって、口コミサイトやSNS、社内チャットで受け手となり得る人の情報が簡単に手に入るようになっていますが、受け手の行動や発言を実際に見聞きして観察をすることで、解像度の高い情報が得られる傾向があります。そのため、現状分析ではネットリサーチと現地リサーチを組み合わせる方法が効果的です。

現状分析によって、受け手の現状を把握できれば最初に設定したゴール・課題との差分で「受け手が望む状態とのギャップ」が明らかになります。また現状分析で明らかになったギャップを埋めるフローが、次で解説する「解決策の立案」です。

 

解決策の立案

解決策を立案する上で「斬新なアイデアでないといけない」「ひらめきが必要だ」と考える方も少なくありません。しかし冒頭で触れたように、企画には斬新さやひらめきより重要な要素があります。それは発想法に則って出した複数のアイデアをまとめる力です。解決策の立案ではまず、現状と望ましい状態のギャップを埋められる案を可能な限り出し続けます。

解決策を立案する際に重要なのは「良いアイデアを考えよう」と意気込まないことです。実際にアメリカ最大の広告代理店トムプソン社で広告制作で頭角を表した、実業家のジェームス・W・ヤングも『アイデアのつくり方』(1988)で「アイデアとは既存のアイデアの組み合わせ」だと述べています。

解決策の立案では最初に、さまざまな視点(さまざまな商品やサービス、イベントの受け手の視点)からアイデアを発散させます。その後、多くのアイデアの中から企画の本質(受け手の課題解決)により近い案を選択するのです。

 

企画立案のコツ

企画 コツ

ここからは、前述した企画立案のフロー「ゴール(ありたい姿)の設定」「ゴールとのギャップを知るための現状分析」「解決策の立案」の順で、実際に企画を立案する時に役立つコツを解説していきます。

 

課題をよく見定める

ここまで解説してきたように、企画は課題解決のためのアイデアを実現するための方法です。そのため、企画立案をする際には商品やサービスが解決すべき課題を見極め、ゴールを正しく設定する必要があります。なぜなら設定した課題が誤っていれば、課題解決の方法である企画の方向性にも誤りが生じてしまうからです。

例えばクライアントから「若年層の新規顧客の獲得ができる企画」を依頼された場合は、安直にターゲットの年齢層に人気があるインフルエンサーを起用しようと考えるのではなく、そもそも「なぜ若年層の新規顧客の獲得が必要なのか」まで深堀りします。その結果、実際の課題が「若年層の新規顧客不足」ではなく「リピート率の改善」や「商品品質の向上」である場合もあるかもしれません。

 

アイデアはたくさん出す

アイデアは既存のアイデアの組み合わせによって生まれます。そのため、設定した課題の解決に関係しそうな領域の幅を広げ、アイデアをたくさん出すことで組み合わせのパターンも広がり、結果的に企画の中心になるアイデアが出来上がるスピードも上がります。

この際にアイデアや情報の可視化に有効なマインドマップや、ポストイットを活用するのも良いでしょう。またアイデアの組み合わせのパターンが増えることがアイデアの新奇性にも繋がるため、最初から「良いアイデアを出そう」と意気込むよりも、結果的に質の高いアイデアや企画が生まれやすくなるのです。

 

様々な角度で発想する

前述のアイデア出しに関連するコツの1つが「様々な角度から発想すること」です。特定のターゲットが抱えている課題を解決するためのアイデア出しをしていると、どうしてもターゲットや自分が既に持っている価値観や考え方、嗜好をはじめとした固定観念から外れることはできません。

しかし企画とは、現状を打破するためのアイデアを具体化したものなので、自分やターゲットの視点から一歩引いた発想が求められるのです。例えば商品やサービスのターゲットが子育て中の女性なのであれば、ターゲット自身が考える「なりたい姿」を実現するアイデアだけではなく、家族や子どもが「安心できる状態」からアイデアを発想してみるのも良いでしょう。

 

ロジカルに考える

企画の枝葉となるアイデア出しは複数の視点から物事を捉える、創造的な思考力が求められることが分かりました。一方、企画は実現できるものでなくては意味がありません。企画立案の後半では数多のアイデアから「課題解決の本質になるアイデア」や「実現可能なアイデア」を見極める必要があります。このシーンで要となるのが、論理的な思考です。

ロジカルに考えることができれば、数多の中から選んだアイデアを企画の中心にする根拠や、企画によって実現できることを筋道立てて説明できるため、企画の提案先になる顧客や上長・先輩社員にも納得してもらいやすくなります。

 

企画に必要なスキル

企画 必要なスキル

企画の立案フローやコツを理解できたところで、次では実際に企画を立案する際に必要なスキルを解説していきます。自分が鍛えるべきスキルがあればぜひ、Schooの授業で学んでみてくださいね。

 

課題設定力

課題設定力は企画立案のフローの中でも序盤(ゴール・課題設定〜現状分析)で必要になるスキルです。課題設定力があれば、数少ない情報の中から企画で解決すべき課題の本質を見極めたり、現状分析で収集したデータから大まかな全体像を把握しやすくなります。

また最終的には企画で目指すゴールを正しく設定することが可能になるでしょう。企画の正しい目的・ゴールを設定できるようになりたい方は、課題設定力を鍛えられるSchooオリジナル授業『課題設定力の磨き方〜本質的な課題を導き出す方法〜』がおすすめです。ぜひ覗いてみてくださいね。

 

ロジカルシンキング

企画 ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは企画立案フローの中でも中盤から終盤(現状分析〜企画の立案・提案)で必要になるスキルです。論理的に考えられる力があれば、設定した課題と現状のギャップを生み出している要素を分類しやすくなります。

また企画立案に際してアウトプットされた数多のアイデアの中から、課題解決の本質を捉えているアイデアを選択しやすくなり、立案した企画を提案する際にも相手から「分かりやすい」「実現できそうだ」と評価してもらえるようになるでしょう。

企画の質を向上させたり、立案した企画を実現させる力を鍛えたい方は、ロジカルシンキングの全体像が学べるSchooオリジナル授業『ロジカルシンキング入門』がおすすめです。

 

発想力

発想力は企画立案フローの中でも主に中盤(解決策の立案/アイデア出し)で求められるスキルです。発想力があれば、課題解決の方法に関するアイデアを幅広い領域かつ多角的な視点で出すことができます。

また発想力があれば自分の経験や知識を参考にしながら、企画で取り上げる課題やその解決方法に関係する既存のアイデアを複数組み合わせて、新たなアイデアを生み出しやすくなるでしょう。

企画立案の序盤でどうしても多くのアイデアが出せないと悩んでいる方にはSchooオリジナル授業『アイデアを苦しまずに出す方法』がおすすめです。

 

プレゼン力

企画 プレゼン

プレゼン力は企画立案のフローの中でも終盤(企画提案)で求められるスキルです。プレゼン力があれば、企画の提案先である顧客や社内の上長・先輩社員に企画内容を理解してもらいやすくなるだけではなく、企画の評価や通過率も上げられます。

プレゼン力は前述のロジカルシンキング(物事を筋道立ててわかりやすく説明する力)と提案相手の状況や相手の疑問に応じられる柔軟性が組み合わさったスキルだと言えるでしょう。

例えば企画書や企画説明の流れを組み立てる際には、ロジカルシンキングを用いて、一貫性がある順序にまとめます。その後、相手に企画の提案をする際には柔軟性を用いて、相手のリアクションに応じた情報の提供や説得を行うイメージです。

 

企画力の高め方

企画力 高め方

企画立案に必要なスキルはフローごとに複数あることが分かりました。それでは最後に、実際に企画力を高めるための方法を5つご紹介します。

 

発想法のフレームをインプットする

まず企画立案の第一歩であるアイデア出しに役立つのが発想法のインプットです。ここでは4つの発想法のフレームワークをご紹介します。

< ブレインストーミング >

企画 ブレインストーミング

ブレインストーミングは主に複数人で自由に発想をアウトプットする際に用いられる方法です。ポストイットや紙を用いて次々とアイデアを可視化することを目的としているため、質より量を重視してアイデア出しを行いたい場合に役立つフレームワークです。

< KJ法 >

企画 KJ法

KJ法とはブレインストーミングの中で出てきた断片的な情報やアイデアを整理する方法です。KJ法では1つ1つのアイデアをポストイットなどの紙に書き出して可視化した後、関連性のあるグループにまとめます。

企画立案のフローの中では、最初に企画の中心になる課題を解決するためのアイデアをざっくばらんに出した後、これらのアイデアをまとめるのに役立つフレームワークです。

< マンダラート >

マンダラートとは課題解決や目標達成のためのアイデアを9×9の合計81マスに書き出す思考法です。抜けモレなくアイデアや情報を出すのに役立ちます。

中央のマスにはメインテーマを記載し、周囲の8マスにはメインテーマに関連するアイデアや情報を記載していきます。周囲の8マスに記載したアイデアや情報を中央のマスに置いて、さらに発想を膨らませることも可能です。

< オズボーンのチェックリスト >

オズボーンのチェックリストは次の9つの項目を組み合わせてアイデアを考える発想法です。

  • ・転用:他に使い道を探す
  • ・応用:類似物を探す
  • ・変更:変えてみる
  • ・拡大:拡大してみる
  • ・縮小:縮小してみる
  • ・代用:置き換えてみる
  • ・再利用:配置や並びを換えてみる
  • ・逆転:逆にしてみる
  • ・結合:組み合わせてみる

この手法はこの世に存在しないアイデアを0から創出するのではなく、既に存在する物事を改良したり、主語を替えて応用することで発想の幅を広げる目的があります。

 

情報収集を習慣化して引き出しを増やす

ここまで解説してきたように、企画立案は直観力や創造力を活用してアイデアの発散をした後、論理的思考力を活用して企画を実現するための筋道を立てていきます。

つまり、序盤で発散したアイデアの数が多いほど、アイデアの組み合わせ数も多くなり、課題解決につながる企画が生まれやすくなると考えられるでしょう。

そのため、普段から情報が多く集まっている場所(TwitterやInstagram、TikTok、インターネット掲示板、特定のコミュニティなど)に注目をして、情報収集を習慣化させるのも企画力を高める1つの方法です。

 

アウトプット数を増やす

企画 アウトプット

アイデアの源になる情報の収集や、情報をアイデアに昇華させるための発想法のフレームワークを会得するだけでは、企画立案の過程のスピード向上に留まってしまいます。

そのため、実際に企画を提案する機会を増やして自分のアイデアを形にすることに慣れ、提案相手からのフィードバックを通して企画の質を向上させるのも企画力を高めるには重要なプロセスの1つです。

商品やサービス・イベントの受け手に充足感を与えられるか否かの判断を多くの人にしてもらうことで、思考の盲点にも気付けるようになるため、さまざまなテーマの企画に応用できる企画力が身につくでしょう。

 

クリティカルシンキングを鍛える

クリティカルシンキング(批判的思考)とは課題の前提に疑問を持ち、思考の偏りに気付くことを目的にした思考法です。

クリティカルシンキングを鍛えることで物事の本質を見極めたり、リスク回避がしやすくなると言われており、企画を立案する場面では特にゴール・課題設定の段階で企画で解決すべき問題を正確に把握しやすくなるでしょう。

クリティカルシンキングの方法を学びたい方はSchooオリジナル授業『論理を徹底的に詰める「批判的思考法」』がおすすめです。

 

企画力のあるプロから学ぶ

ここまでご紹介してきた企画力の高め方に加えて、実践的な企画力を高めたいと考えている場合は企画力のあるプロから企画の立て方や提案方法を学ぶのも良いでしょう。

企画力が求められる具体的な職種は商品の企画を立案する商品プランナーやターゲットの興味関心を惹く広告のデザインやコピーを考える広告プランナー、ゲームの企画や一部のデザインを担うゲームプランナーが挙げられます。

 

企画力向上におすすめの授業を紹介

最後に、企画立案の方法をまとめて学べるSchooのオリジナル授業をご紹介します。ここまでご紹介してきた授業と一緒に、気軽に受講してみてくださいね。

 

はじめての企画立案

はじめての企画立案

< コース概要 >

新規事業やクリエイティブな仕事に携わる中で、企画を考える機会は増えていきます。一方、はじめて企画を立案する際には分からないことも多く、良い企画が出来上がるまで時間がかかりやすいです。

このコースではスムーズに企画立案ができるようになるために、企画の目的や企画を考えるプロセス、良い企画の条件をはじめとした、企画立案の手法を学びます。

先生プロフィール

京井 良彦

京井 良彦(きょうい・よしひこ)
1969年大阪生まれ。東京在住。広告会社の電通から独立しフリーのビジネスデザイナーとして活動。新事業の開発やイノベーション推進など、企業活動をクリエイティビティで活性化する。東京都市大学講師。著書に「学校でも会社でも教えてくれない企画プレゼン超入門」など。ブログ「3分間ビジネススクール」運営。

 

まとめ

企画とは課題を解決するための計画やアイデアであり、企画を立案する際に必要なスキルは思考法のフレームワークや実践を通して鍛えることができます。また企画力とは、一部のクリエイティブな仕事に携わる人に必要なスキルではなく、課題を自ら発見し、解決していくことが求められる現代において、幅広いビジネスパーソンに求められるスキルだと言えるでしょう。

Schooでは企画立案をはじめとしたビジネススキルに関する授業が月額980円で受け放題です。ぜひ活用してくださいね。

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