7/27(Sat)

今日の生放送


 

かいせつ先輩

アンガーマネジメントという言葉を聞いたことはあるかな?アンガーマネジメントは、怒りについての悩みを抱えている人に有効な手法なんだけど、知らない人も多いかもしれないね。

そこでオススメしたい授業が、アンガーマネジメントを活用したコミュニケーション術

本授業では、アンガーマネジメントの考え方について学べるよ。基本的な考え方を学ぶことで、怒りと上手に付き合っていくことができるんだ。つい怒って後悔してしまう人は、参考にしてみてね。


 

 「アンガーマネジメント」とは?

 

猫田くん

アンガーマネジメントって何ですか?

かいせつ先輩

アンガーマネジメントは、怒りの感情とうまく付き合っていくための心理教育やトレーニングのことだよ。怒りを出さないように我慢するのではなく、必要に応じて怒るように考え方を変えることで、つい怒ってしまって後悔したり、怒りに囚われて人生を楽しめなくなってしまったりすることを避けられるんだ。

 

アンガーマネジメントとは何か、授業でも先生が解説してくれたよ。

 

 

澤先生:アンガーマネジメントはアメリカでは結構有名で、映画やドラマになっています。アンガーマネジメントは、「アンガー=怒り」と「マネジメント=配分する」を合わせた言葉ですね。怒りというものをうまく配分していって、後悔しないようにするというのが肝です。コントロールとはちょっと違うんですね。

「怒らないようにする、怒りを我慢する」ことだと考えている方もいらっしゃるんですが、正確には「うまく怒る、必要に応じて怒る」ことがアンガーマネジメントの定義です。絶対怒らないとかひたすら我慢するというのは間違ったアプローチだというのが、アンガーマネジメントでは主張されています。そして1つ覚えておいてほしい大前提の考え方は、「過去と他人は絶対に変えられない」ということです。これを理解しておいてください。


 

アンガーマネジメントを活用したコミュニケーション術

 

かいせつ先輩

ここからは、授業で先生が解説してくれた、アンガーマネジメントの考え方を学んでいくよ!怒りのメカニズムを知ってから正しい対処方法を実践することで、怒りと上手に付き合えるようになるんだ。できることから取り入れて、もっと過ごしやすい毎日を実現しよう!

 

 

澤先生:アンガーマネジメントのなかには、3つの暗号があります。それは、「6秒」、「三重丸」、「分岐」です。この暗号を紐解きながら、怒りのメカニズムを知ってもらおうと思います。

それでは、そもそも怒りの感情って何なんでしょうか?怒りは感情表現であり、伝達手段でもあります。コミュニケーションをするための1つのツールとして位置付けても良いですね。そして、怒りは病気ではありません。

 

 

怒りというのは、人間にとって自然な感情の1つです。ない人はいないし、消すことができないので、受け入れなければならないものです。また、身を守るための感情というのも覚えておいてください。

昔、脳の外科手術によって怒りの感情が出なくなってしまった方がいましたが、その人はものすごい頻度で怪我をするようになってしまい、病院に行きまくりました。危険だと察知する能力も、怒りと一緒になくなってしまったんです。

実は怒りというのは、戦うか逃げるかを判断するための感情という位置付けもできるんですね。ですので怒りがなくなると危機察知能力も同時になくなってしまって、その人はギャンギャン吠えている犬を撫でようとして怪我をしたり、車にはねられたりするようになりました。

 

 

次に、怒りというのは伝達手段です。怒ることで、何かを伝えようとしている。相手にどうしてほしいのか、どうなれば満足なのかを、怒ることで伝えようとしているんですね。

そして、病気ではないということ。怒りは人生の問題そのもので、アメリカの精神医学界でも病気ではないという見解が示されています。

 

 

ここで、「怒ってはダメなのか?」という素朴な疑問に答えておきます。怒っても良いんです。怒ることはダメではありません。

実を言うと、良いも悪いもないんですね。ただ、怒るものか怒らないものか区別できていないことが問題になります。ここを明確にしていくのが、アンガーマネジメントの目指すところです。

 

 

喜怒哀楽のなかでも、怒りは問題になりやすいです。それは、怒りがこの4つの特徴を持った感情だからです。強度が高いというのは、1回怒ると手がつけられなくなるような状態です。

攻撃性があるというところにつながりますが、物を壊したり暴力を振るったりすることもありますね。また、怒りには持続性があり、個人差はありますが最長で一生という方もいます。しょっちゅう怒る方がいると周りが困ってしまうのも問題です。

 

 

怒りというのは、第二次感情なんです。苦しいとかつらいとか嫌だとか、別の感情によって感情のコップがいっぱいになってしまい、そのときに発生した事象によって二次感情である怒りが起こってしまうんですね。

だから怒っていることに目を向けるのではなく、一次感情は何なのかということに着目するのが、アンガーマネジメントにおいて非常に重要です。

 

 

ここからは、アンガーマネジメントの3つの暗号について説明していきます。まずは、6秒です。この6秒というのは、怒りの感情のピークなんです。ある出来事があって、それが6秒経つとちょっと落ち着く。逆にいうと、6秒以内に反射しちゃうと売り言葉に買い言葉になってしまいます。6秒の間に自分の感情を伝達してしまうと、言いすぎてしまったりきつすぎる言葉を使ってしまったりするんです。

 

 

つまり、腹が立つことがあったら6秒待てば良いんですね。ここでいくつかテクニックをお伝えします。指で手のひらに、何に怒っているのか、または何がイラつかせるのかを書いてみましょう。実際に書いてみると6秒では書ききれないですし、くすぐったくて気が散りますよね。怒っている原因を頭のなかで整理しようという時点で、クールダウンは始まっているんです。そして6秒やり過ごすことができると、バーって言ってしまうことを避けられます。

 

 

続いてのテクニックは、イライラ・怒りの温度(点数)をはかることです。穏やかな状態の0から人生最大の怒りである10までの間で、点数をつけちゃうんですね。例えば、歩いていて誰かにぶつかられたときに頭のなかで「3点!」とつけたりすると、ゲームみたいになります。そうすることで、自分はどういうときに怒りを感じてそれはどういうレベルなのかというのを客観視することもできるようになります。

 

 

次に怒りのボキャブラリーゲームをしてみましょう。怒りの表現を、できるだけ多く挙げてみてください。怒りを表すボキャブラリーって実はたくさんあるんですが、実際怒っているときは小学生でも知っているような言葉を使って、非常に少ない言葉でやりとりをしていることが多いんです。それを認めてあげるのも、1つのアンガーマネジメントのあり方ですね。

 

 

暗号の2番目は、三重丸です。私たちを怒らせるものは、誰かがいて、何かできごとがあって、何かがある。正体は一体何なのでしょうか?これは、「べき」という言葉です。「はず」と言い換えても良いかもしれませんね。自分の願望や希望、欲求を象徴する「べき」という言葉が、実は怒らせるものの正体なんです。

 

 

怒る理由は、まず自分の理想があって、次に現実があり、その間にギャップがあると人は不満を持ったり怒りを感じたりします。そこに「べき」という言葉があるんですね。会社は、上司は、親は、こうあるべきだというのがある。例えば雪が降って電車が止まって駅でみんながパニックになるのは、「電車は時間通りに来るべきだ」、「会社には何時間以内に着くべきだ」というように現実とのギャップがあるからだと思いますね。

 

 

この「べき」には、境界線があります。まず、自分と同じ。周りに人がいてもみんな自分と同じような考え方であれば、腹は立ちませんね。でも、意見が違うからといって必ずしも喧嘩になるわけではありません。そういう考えもあるんだねと許容できれば、それほど腹は立ちませんよね。問題は1番外側の、自分と違う・許容できないというところです。

他の意見を許容できないと、怒る原因になってしまいます。2番目の、少し違うが許容可能の外側の境界線をいかに広げていくかというのが、アンガーマネジメントのポイントです。また、境界線をはっきりさせておくことも重要です。何が許容できないかを、明確にしておく必要があるんですね。

自分の「べき」と他人の「べき」は明らかに違うので、何が自分の「べき」であるかを明確にするのが大事です。「普通に考えて」と使う方もいますが、普通というのは人によって大きく違うので、価値観が違うことを許容するというのがアンガーマネジメントの重要なテクニックですね。

 

 

3つ目の暗号は、分岐です。NHKのあさイチでイライラの原因を調べたところ、圧倒的に多かったのが子どもでした。本来1番愛情を注がなければならない子どもに、どうしてもイライラしてしまうのはなぜか。

 

 

これは、「変えられるんじゃないか」と思っているからなんですね。行動を変えさせようと思って、怒ることを伝達手段に用いているというのが垣間見えます。

思い込みの分かれ道というのがあるんですね。変えられる・コントロールできると思うのか、変えられない・コントロール不可能と判断するのか、まず分岐をします。例えば変えられる・コントロール可能だと判断するなら、それは怒るという感情を使ってコミュニケーションを取るのも1つの手段です。

さらにそれが重要なのであれば、どのように・いつまでに・どうなったら自分が満足なのかというのをきちんと明確化しておくことが重要です。そうしないと怒っているだけになって、何も解決しないわけですね。子どものしつけのように変えられると思うのであれば、きちんとそこを明確にしておく必要があります。そして、怒ることによって変えられるけど大して重要じゃないなと思えば、急がなくて良いと考えることで怒りが落ち着いてきます。

それから、変えられない・コントロール不可能だけど重要。これが雪で電車が止まってしまった場合などですね。雪が降って電車が止まっているのは、怒ろうが何しようが変えられないものです。

これは怒っても仕方がないから、解決方法を考えるしかありません。例えば会社に連絡をするとか、自分で解決に向けた行動を取るというのが大事ですね。そして、変えられない・コントロール不可能で重要ではないことは、放っておきましょう。怒っても仕方がないから、放っておく。それで良いんです。

怒りというのは、考えてやらないと後悔しちゃうんですね。後悔したり、大きなものを失ってしまったりすることがあります。後悔をしないための心構えとして、アンガーマネジメントを使ってみてください。

 

怒りの連鎖を断ち切っていけば、すべての人が自分の感情に責任を持てる状態になって、最終的には性別や職業などに関係なく落ち着いて暮らせる習慣づけができるんじゃないかと思います。

 

Q&A!みんな気になる、あの疑問に先生が回答

かいせつ先輩

ここでは、授業を受けた方の質問とそれに対する回答を紹介していくよ!

Q1:6秒待ったらその瞬間は抑えられても、状況が変わらなかったら怒りが炭火のように燃え続ける気がするのですが?

 

A1:これは、分岐のところに思考を持っていっていただきたいですね。怒ることでコントロールできるのかできないのか、重要なのかそうでないのか考えることに思考を持っていくのが重要です。

 

Q2:時折、過去の怒りが蘇ってきてどうしようもなくイライラしてしまいます。このときも6秒待つようにすれば良いのでしょうか? 

 

A2:そうですね。6秒待って、反射をして何かに当たるのを避けるのが良いと思います。そのうえで、過去が変わらないということをもう1回言い聞かせる。もしくは過去の受け取り方を変えるにはどうすれば良いかというソリューションのアプローチを考えるのが良いと思います。また、落ち着いているときに過去と向き合う時間を作って、どう咀嚼して消化していくかを考えるのも良いですね。

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