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2023年3月20日 18:30 更新
リモートワークや在宅勤務など個人のワークスタイルに合わせた働き方が選択しやすくなった昨今、社内でさまざまなオンラインツールを使い分けている方もいるでしょう。
ここでは仕事で役立つツールをひとまとめにして使えるオール・イン・ワンツール「Notion(ノーション)」の使い方と主な機能をわかりやすく解説していきます。
Notionとはアメリカ・サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業Notion Labsが開発した多機能ドキュメントツールです。プロジェクト管理やスケジュール管理、社内wikiなど目的に応じて使い分けられるさまざまなドキュメントを集約できるため「オール・イン・ワンツール」と呼ばれています。
またチームでの共同作業が可能な高い機能性と、遊び心があるデザインを兼ね備えているので、オンラインでの作業が多く、情報を集約させたいと考えているビジネスパーソンにとって使い続けやすいツールの1つです。Notionの機能は主に次の3つに分けられます。
さらに2021年10月には日本語版がリリースされ、カスタマーサポートやテンプレート、ガイドなど使える機能の幅が広がっています。次ではNotionが便利だと言われる理由を主な特徴から解説していきます。
Notionの特徴はドキュメント関連のツールが集約できる機能性の高さ、オンライン作業に最適な編集環境、拡張性の高さなどが挙げられます。次でこれらのNotionの特徴を詳細に解説していきます。
後の活用例でもご紹介しますが、Notionは主な機能である「ナレッジ」「タスク」「データベース」に含まれるさまざまな用途に合ったドキュメントの編集ができるツールです。
メモのみでの活用もできますが、ページ内にToDoリストの項目や見出し、区切り線などを追加できる編集機能やページ内にテーブルやカレンダーなどのデータベースを追加できるカスタマイズ機能を活用して、議事録や社内wiki、タスク管理に活用できます。
Notionは共同作業がしやすいように作られたツールなので、タイムラグもほとんどなく、快適な共同編集ができる点も魅力の1つです。
作成したページは他のユーザーと共有すれば、共同編集ができます。Notionでは「Share」機能で共有リンクを発行して、1人または少数のユーザーとドキュメントを共有するパターンと「ワークスペース」と呼ばれる複数人が集まったチームにドキュメントを共有するパターンが選べます。
リアルタイムで同時編集しやすい背景には「メンション機能」の活躍も含まれます。
Googleドキュメントのコメント機能と同じように、Notionでは「@名前」の形式で同時編集したい相手にコメントを通知させられます。そのため、同じ空間に居ない他のユーザーともタイムラグが少ない環境で共同編集がしやすいのです。
また異なるデバイスからの同時編集も可能なので、デスクトップPCから編集しているページに対して、タブレットやノートPCなど別端末からの編集もできます。
Notionには「フリー」「プラス」「ビジネス」「エンタープライズ」の4種類の料金体系が用意されています。
無料で利用できる「フリー」プランは、個人利用ならNotion内のドキュメントを構成するブロック数に制限がなく、同時編集や他ユーザーの招待、外部サービスとの連携をはじめとした基本機能が使えます。
そのため、招待する他ユーザーの数が少数かつ、大きなファイルサイズのデータを扱わない個人利用の場合は、無料のフリープランでも問題ないと言えるでしょう。一方、大容量のファイルを扱いたい場合や、10名より多い他ユーザーと共同作業をしたい場合は有料プランを検討するのがおすすめです。
またNotionは他ツールから情報のインポートが簡単にできる点も特徴です。他のドキュメント作成ツールやプロジェクト管理ツールを利用している場合は、Notionの「インポート機能」を活用してみましょう。
Notionのインポート機能では、次のファイル形式のデータを取り込めます。
また以下のツールで管理されているデータもNotionに取り込めます。
他ツールで管理しているデータをNotionに取り込む場合は、対応しているファイル形式に変換した後にNotionのインポート機能を使うか、他ツールのアカウントでNotionへのアクセスを許可します。
Google Docsの場合はWord形式でデータをダウンロードして、Notionのインポート機能で「Word」を選択しましょう。すると以下のように、Google Docsで作成していたデータがNotionのページ上に取り込まれます。
冒頭でもご紹介したように、Notionの機能は「ナレッジ」「タスク」「データベース」の3つに分類されます。
データベースとは構造的に整理された情報の集まりで、エクセルで作られた管理表やリストなどをイメージすると分かりやすいでしょう。
Notionのデータベース機能を使うと、テーブルの横列を追加して、Webサイトに訪問したユーザーの情報や、インプットした情報、プロジェクトの情報などを表形式で管理できます。またデータベース機能では表示形式を次の6つから選べるようになっています。
プロジェクトやタスク管理でデータベース機能を活用する場合は、タスクの優先度を可視化できるタグの設定もできます。また、データベースの中に別のデータベースやNotionページも追加できるようになっているため、Notionは用途に合わせたデータの可視化や一元化に便利だと言えるでしょう。
前述のように、Notionはタスク管理や議事録などさまざまな用途に合ったドキュメント作成に活用できるとともに、外部ツールと連携させれば、ドキュメント作成以外にも幅広い用途で使える便利なツールです。ここからはNotionの特徴を踏まえて、実際に業務で活用できる事例をご紹介します。
Notionのナレッジ管理ではページ内に他ページを埋め込んで情報を管理していきます(通常は親フォルダの中に子フォルダが入りますが、Notionにはフォルダの概念がありません)。
そのため、社内で導入しているツールの使い方や勤怠ルールなどをNotionにまとめ、社内wikiとして管理できます。
簡単にページの追加や編集ができる点はメリットでもありますが、ページ数が増えすぎると目的のページに社員がたどり着きにくくなってしまう点はデメリットにも繋がるでしょう。
ナレッジ管理またはデータベースとして、Notionを使う場合はNotionのページがタスク管理にも役立ちます。ページを開いて「ブロックタイプの変換」を選択した後に「番号付きリスト」や「TODOリスト」などの表示形式を選べば簡単にタスク管理表が作成できるでしょう。
またデータベースとして使いたい場合は「テーブル」や「リスト」表示設定にして、タスク管理表が作成できます。
議事録はNotionのテンプレートに用意されているため、テンプレートを複製して議題や議事、決定事項を記入します。
議事録を事前に出席者へ共有すれば、ミーティングをより効率的に進められます。また決定事項に対して担当者を設定したり、メンション機能を使って議事録へのコメント依頼も簡単です。
Notionの記事クリップ拡張機能「Notion Webクリッパー」を使えば、Webサイト上の記事をNotionのページに集約できます。
拡張機能をダウンロードしたら、ブラウザの右上に表示されるNotionのロゴマークをクリックして、クリップしたい記事を保存します。またドロップダウンを使用して、データベースや個人用のページなど保存先が選択できます。
次ではSchooオリジナル授業『Notionで頭の中を整理しよう』を参考にNotionを使う上で知っておきたい基礎知識を画面のキャプチャ画像に合わせて解説していきます。
Notionで作成したページを表示すると上図のように表示されます。ここではページが表示された際の構成要素について、各構成要素の名称と機能を見ていきましょう。
トップバーは各ページの上部に表示されており、ページの「進む」「戻る」やページ共有、ページ設定・ページ操作を行うエリアです。
サイドバーは各ページや「チームスペース(プラスプラン、ビジネスプラン、エンタープライズプラン)」や「プライベートスペース」にアクセスする機能とページの検索や設定機能が表示されているエリアです。トグルを開けば、構造化されているページタイトルが確認できます。
またドロップ&ドラックでページの並べ替えをすれば、よく使うページが見つけやすくなります。サイドバーの左下にある「+新規ページ」をクリックすれば新規ページ作成が可能です。
タイトルエリアとはページのカバー写真やアイコン、タイトルの設定、ページの説明文を追加できるエリアです。
ページの説明文では絵文字を使って文章を記載したり、太字設定や他ページURLへのリンク設定もできるので、魅力的かつわかりやすいタイトル・ページ説明ができるように工夫すると良いでしょう。
ページコンテンツとはページの内容が表示されるエリアです。上図ではデータベースに記録されている書籍やWeb記事、TVシリーズをはじめとしたコンテンツ名やステータス、コンテンツの評価がテーブル形式で表示されています。
Notionは上図のように、1つのページ内にNotionで作成した他のページが貼付される形式で、TODOリストや社内wikiをはじめとしたコンテンツが構成されています。
次では、コンテンツを作成するイメージがつかみやすくなるよう、コンテンツを構成している要素の名称と概要を見ていきましょう。
ワークスペースとはNotionで作業を行うスペースです。ワークスペース内にNotionで作成したページや親ページに紐づく子ページを貼付して、コンテンツを作っていきます。ワークスペースの画面は2つのセクションに分かれています。
1つ目が右側に表示されているサイドバーです。作成したページやデータベースが一覧になっています。2つ目が作成したコンテンツが表示されるエディター画面です。エディター画面にテキストやサイドバーに表示されている作成済みのページを加えていきます。
Notionでは情報を格納するフォルダがありません。そのため、ページと呼ばれるドキュメントを無限に階層化させて情報を整理します。ページを構成する要素は以下のとおりです。
フォルダが親と子で構成されるように、ページも1つのページに対して、そのページに不随する情報が記載されているページが紐づく形式で階層が作られていきます。
親ページと子ページは互いが親子関係であると分かるように、ワークスペースの左側にあるサイドバーに表示されます。
※参照:Notion公式ページ「ページの構成(列・テーブル・見出し・区切り線)」
子ページ(サブページ)とは前述のページ内に紐づけられたページを指します。新規のページを作成する際と同じように見出しや文字列などを入力して、親ページに不随する情報をまとめていけば子ページの完成です。
作成しているページに「/page」と入力すると子ページが既存ページに紐づけられます。また子ページは、ワークスペースの左側に表示されているサイドバーに表示されている既存ページの上にカーソルを合わせて「+」ボタンを押下しても子ページが作成できるようになっています。
ブロックとはNotionを構成する最小要素です。テキストや画像、データベーステーブルなどページに追加される各要素が「ブロック」であり、これらを組み合わせたり、ドラッグ&ドロップで移動させてページやページの集合体であるTODOリストや社内wikiのようなコンテンツが作られます。
Notionのコンテンツはページで構成されており、ページ内に記載されているテキストやテーブル、画像は「ブロック」と呼ばれていると分かりました。
次ではSchooオリジナル授業「Notionで頭の中を整理しよう」の内容を参考に、実際にNotionを操作してみましょう。
授業ではNotionの使い方を1~3のレベルに分けてご紹介していますが、ここでは使い方の基礎として、レベル1に当たる「タスク管理表の作成」を操作画面のキャプチャと共に解説します。
Notionでは主に「ナレッジ」「タスク」「データベース」の3つを管理するためのコンテンツを作成できます。自分の用途に合ったコンテンツを選んで作成してみましょう。ここでは授業内容に沿って「タスク管理表」を作成します。
Notionを利用する際にはアカウント登録が必要です。アカウント登録には次の2つの方法があります。Notionのトップページにアクセスしたら、以下いずれかの方法でアカウントを登録しましょう。
個人利用はもちろん、会社のチームメンバーが共通で使っているメールアドレスを活用して、共同で作業をするワークスペースの作成もできます。
既にNotionに登録しているアカウントがある場合は、トップページ右上の「ログイン」ボタンを押下して外部アカウントまたは登録アドレスからログインします。
Notionは2022年12月時点で英語、韓国語、日本語、フランス語(ベータ版)、ドイツ語(ベータ版)に対応しています。ログイン後に他国の言語でメニューが表示されていた場合は、利用したい言語を選択しましょう。
サイドバーの「Setting & Members(設定)」>「Language & Region(言語と地域)」> 「Language(言語)」を選択したら、リストから利用したい言語を選んでクリックします。
まずはページがサイドバーに表示された時にページの内容が分かるように、タイトルを設定しましょう。ボックスをクリックしてタイトルを入力します。またタイトル右上の「カバー画像を変更」ボタンを押下すると、任意の画像に変更できます。
ページにテキストを入力する際に便利な機能の1つに「見出し」があります。セミコロンを入力すると表示形式が選べるようになるので、ここでは「見出しh3」を選択してみましょう。
すると上図のとおり「準備すること」が見出し表示になり、太字で見やすくなりました。このように、他のテキストと区別したいテキストがある場合は、セミコロンを入力した後にテキストを入力すれば、表示形式を変えられます。
Notionでは「/」を入力すると選択・挿入できるブロックの全メニューが表示されるようになっています。主なブロックメニューは以下のとおりです。なお、日本語入力時は「;」を入力すると同様の機能が使えます。
ページに入力したテキストはそれぞれがブロックになっています。そのため、1つの塊になっているテキストを選択してドラッグ&ドロップすれば、テキストの表示位置が簡単に変えられます。
セミコロンを入力した後に、任意の色名(グレーやピングなど)を入力すると、テキストに背景色をつけられます。より見出しを強調したい場合に使ってみてくださいね。
テキストブロックを一括で任意の表示形式に変更できます。ここではToDoリスト形式に変更してみましょう。
上図のようにテキスト全体を選択したら、テキストブロックの左側にあるハンドルをクリックします。クリックするとメニューが表示されるので、メニューの中から「ToDoリスト」を選択しましょう。
このように、表示形式をメニューから選択するだけで、対象のテキストブロックの表示形式を変更できます。
またタスク項目の補足情報を追加をしたい場合は、上図のようにtabキーを使ってインデント(字下げ)をしてみましょう。インデントによって、読みやすい見た目に調整できます。
タスク管理をする上で欠かせないのが、期限設定と担当者の可視化です。ここでは作成したToDoリストをデータベース化して期限を設定して、タスク管理表をより充実させてみましょう。
上図のように「;データベース」と入力してデータベースのメニューを呼び出します(ここではインラインのデータベースを選択)。
インラインのデータベースを追加したら、表の項目部分に表示されている「+」を押下してデータベースの表示形式を「日付」で設定します。この際に項目名を変更できるので、ここでは「期限」と表記しておきましょう。
データベースの「期限」項目に当たるセルを選択すると、上図のようにカレンダーから期限が選択できるようになりました。
データベース機能が活用できるようになるだけで、使い方の幅も広がるので、記事の末尾でご紹介しているNotion活用に役立つ授業動画をぜひ参考にしながらNotionを操作してみてくださいね。
料金体系は上図のように4種類用意されているので、利用する人数や用途(大容量のデータを利用する必要があるのか)を踏まえて適切なプランを選択してみましょう。
ここまでNotionの主な機能についてかんたんに解説してきました。Schooの授業では、Notionの公式アンバサダーでITコンサルタントのよーじろー先生の解説と実演でNotionの使い方をより詳しく知れます。
記事では解説し切れなかった、データベース機能を活用した情報整理や、効率的にNotionのドキュメント作成をする方法を解説していますので、業務効率化やNotionの使い方に興味がある方はぜひ覗いてみてください。
< コース概要 >
このコースではNotionの日本語化にも携わった、日本唯一のNotion公式コンサルタント、よーじろー先生にNotionで「タスク管理表」を作ってもらいながら、操作方法と活用法を学びます。
先生プロフィール
よーじろー
株式会社ノースサンド ITコンサルタント。Notionの公式アンバサダーとして、Notionの普及活動に勤め、1000人を超えるNotionコミュニティを運営。日本唯一のNotion公認コンサルタントとしても活動する。Notionの日本語化プロジェクトではLocalizationのプロジェクトリーダーとして翻訳業務を推進。Youtubeチャンネルは「よーじろーと、Notionと、」
ここで解説してきたように、Notionは単なるメモツールとは一線を画する、オールインワンツールです。
具体的には、議事録として作成したページを集約させて社内wikiとして運用したり、Notionをデータベース化して、プロジェクト管理に役立てるなど幅広い使い方を試せます。またこれらの機能は個人の業務だけではなく、チームでの業務の効率化にも繋がるでしょう。
SchooではNotionの使い方をはじめとした、ビジネス基礎力に関する授業が月額980円で受け放題です。ぜひ気軽に活用してくださいね。