2024年12月14日 9:08 更新
皆さんは、これから先の未来はどうなっていくと思いますか?
来年や5年後のことは考えられても、数十年先の未来について予測できているという方は少ないでしょう。
気になる書籍のタイトルキーワードについて著者から学べるSchooの授業シリーズ『これから押さえておきたいタイトルキーワード解説』。記念すべき第一回『2億件のデータから読み解く"2060"の世界を解説 〜 都市・身体性・脳のDX』では、『2060 未来創造の白地図 人類史上最高にエキサイティングな冒険が始まる』(技術評論社)の著者でありアスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部 部長の川口伸明先生より、「2060」年をキーワードに授業が展開されました。
未来は誰しもに関係のある事柄です。遠い世界の話と考えずまずは本記事をご一読ください!
より詳細な未来予測に用いられるのが「独自のタイムスパン軸」です。「ビジネス」「テクノロジー」「サイエンス」の3つの分類とともに「知財・特許」や「論文・学会・国際会議」などのデータ群を分類し、“どんなテーマがどのぐらいの時期に実装されるのか”を図示することができるということです。
ここから導き出されるのが「未来の事業化ストーリー」。ヘルスケア、食と農・環境などの分野ごとに、具体的にどんな技術がいつ頃登場するのかを予測することができます。
ここで話題は現在多くの人が注目するウィズコロナ・アフターコロナの未来に移りました。ここで先生が持ち出したのが「未来が加速する」という表現。コロナウイルスの流行により、リモートワークなど世の中のデジタル化が強化されたことは多くの方が実感するところでしょう。
「守りのNew Normal」の例として取り上げられたのがフランスのデザイナーChristphe Gernigon氏によってデザインされたソーシャルディスタンスを確保できる新たなレストランコンセプトです。これは、人々がマスクなしでアフターコロナ時代の外食を楽しめることを目指してデザインされています。
つづいて「攻めのNew Normal」の例としても取り上げられたのが「音声認識機能組込マスク」です。マスクの中のマイクがキャッチした言葉を文字として投影できるというのがこの製品。ライブ会場での声援の送り方に新たな形が生まれました。コロナ禍を経たデジタル化の加速により、今までにない価値が生まれた例といえるでしょう。
さらに、人工知能(AI)翻訳を手掛ける企業ロゼッタが本社機能をVR空間に移したというニュースも紹介されました。バーチャル空間で集まってビジネスを進めるというのはこれまでにない取り組みであり、「非常に面白い」と川口先生は語ります。
宇宙開発分野ではANAホールディングスと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、アバターロボットを遠隔操作する「AVATAR X Program」を開始しています。先生は、地上に居ながらにして同技術を応用して誰でも簡単に宇宙旅行ができる可能性を示唆します。
アスタミューゼ株式会社では「短期(2020年8月ごろまで)」「中期(2022年末ごろまで)」「長期(2030年初頭以降)」の3つのタイムスパンで、ウィズ・アフターコロナで訪れる20の未来と解決が早まる26の社会課題について予測しています。現在は中期に当たり、孤独感や運動不足、働き方の多様化、過密地域のリスクの増大などの課題に対してさまざまなテクノロジーを用いて対処する方法が策定され始めています。
昨今よく耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)。この言葉は実は2004年にスウェーデンのウメオ大学に勤務するエリック・ストルターマン教授によって生み出された概念です。
「これは単なるITの導入やデジタルにより業務最適化ではない」と川口先生。3Dプリンターや電子出版、IoT、AIといったデジタル技術の普及により、「今までできなかったことができるようになり新たな体験価値が生まれる」ということが非常に大事だと先生は強調します。
サイバー空間とデジタル空間を接続するシステムをサイバーフィジカルシステム(CPS)といい、その代表例として挙げられるのが「デジタルツイン」という概念です。これからの未来において重要になってくると先生が話すこれらの言葉をぜひ覚えておいてください。
ここでリアルタイム受講生からの声の中からピックアップされたのが「なんだろう・・・リアリティが湧かない」というコメント。このような正直な言葉を届けられ、また「自分だけじゃないんだ」と共感できるのが、Schooの授業を受講する醍醐味です。
「3年後や5年後には実感できるようになってくるのでしょうか?」という受講生代表の徳田さんの質問に先生は「すでにはじまっていますからね」と返答します。
前述のスマートマスクなどすでに実現されている技術は多数存在し、研究が始まっている分野はそれ以上に及びます。つまり、これらの技術は「すでにリアルである」と川口先生は話します。
ただし、まだ「ミニマルなリアルである」とのこと。2060年のような遠い先に思える未来に向けたプロジェクトは小さな範囲であれ、すでに開始しているのです。