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2023年1月23日 11:36 更新
仕事をする上で周囲の人とのコミュニケーションは欠かせません。コミュニケーションが円滑に取れるのが理想ですが、「思っていることを上手く伝えられなかった」「意見を言おうと思ったがなかなか言い出せなかった」などの悩みを持った経験は無いでしょうか。
ここでは話すことに苦手意識のある方や口下手を直したいと感じている方に向けて、Schooオリジナル授業『口下手でも会話が弾む質問力』の内容を踏まえた会話のコツやポイントをご紹介します。
口下手とは「ものの言い方が巧みでないこと」を表す言葉です。具体的には、自分の意見を話したり、会話をとおして人間関係を構築することに苦手意識がある人が口下手に該当します。
口下手な人の中には関係者との信頼構築や対話、情報共有が欠かせないビジネスの場で苦労する場合も少なくありません。
このように会話をとおした意思疎通は、コミュニティ内での活動を円滑に進める上で欠かせない行為であるため「口下手」以外にもコミュニケーションの苦手意識に関する言葉や、口下手の対義語も存在します。
次では口下手の意味を多角的に理解できるよう、口下手の類義語と対義語の意味を見ていきましょう。
口下手の類義語には以下のような言葉があります。
あまり話さず、考えていることを表に出さない様
・口重あまり話さず、軽々しく発言しない様
・訥弁/訥々(とつべん/とつとつ)話し方がなめらかでない様
・寡黙言葉数が少なく、黙りがちな様子。押し黙る様。
前述のとおり「口下手」は「ものの言い方が巧みでないこと」、つまり自分の考えを的確または適切な表現で相手に伝えられない様子を指します。
そして口下手の特徴である考えが伝えられない点や、饒舌ではない様子に似た言葉として上記のような類義語がよく使われるのです。
一方、考えていることを上手く伝えられない様を表す「口下手」と口数が少ない・口重などの発言量を表す言葉には厳密には違いがあると言えるでしょう。
一方、口下手の対義語には以下のような言葉があります。
言葉で相手を納得させたり喜ばせたりするのが上手い様
・雄弁/能弁話し方に人を説得させられる力がある様
・饒舌口数が多い様。やたらに喋ること。
・口忠実(くちまめ)口数が多く、口が軽い様。
口下手の対義語には会話をとおして相手を納得させるのが上手い様を表す言葉や、口数が多い様を表す言葉、それに乗じて口が軽くなっている様を表す言葉が挙げられます。
ここまでご紹介した類義語・対義語からも分かるように、口下手な人は寡黙であり、会話によって相手を説得したり、喜ばせたりすることが苦手な人を指すと言えるでしょう。
口下手の辞書的な意味が理解できたところで、口下手に当てはまる人の特徴を合わせて確認しておきましょう。ここでは主な5つの特徴をご紹介します。
口下手な人は会話に苦手意識があり、会話をする時は必要以上に緊張している場合がほとんどです。そのため、表情が固くなり声色も安定しにくくなります。
口下手な人が緊張のあまり表情が固くなっている状況を目にすると、相手は「怒っているのではないか」「不安なことがあったのか」と実際の状態とは異なる状態を想起させてしまうのです。
また口下手な人は、緊張のあまり自分が意図していない言葉や場にそぐわない発言をしてしまう場合もあり、このような冷静さに欠ける言動が「嫌われているのではないか」と相手に誤解を与える場合もあります。
口下手な人は周囲からの評価や失敗を気にするあまり、自己主張が苦手な傾向にあります。
意見を求められた場面で自分の考えがまとまっておらず、発言できない場合も少なくないため、自主性に欠けると見られてしまう場合もあるでしょう。一方、他者の意見を尊重して協調性を重んじる傾向があるとも言えます。
口下手な人は過去の失敗から会話での成功体験をイメージしにくくなっており、そのため会話に自信が無かったり、相手の反応を気にしすぎてしまったりする傾向があります。
そのため、自信を持って相手と会話ができず、せっかくの関係構築の機会を逃してしまうこともあります。また、会話に自信を持てない原因には、「良い会話に対する理想が高い」ことが影響している場合もあります。
口下手な人は会話に対する苦手意識があり、自分の中の「いい会話」の基準が高い傾向にあるため、緊張から口数が少なくなる傾向があります。また、人は目先のストレスに直面すると、そこから逃避する「回避行動」の心理が働きます。
そのため、頭では「この場では発言をした方がよい」と思っていても、なかなか発言する勇気が持てずに機会を逃してしまったり、人に話しかけるのをためらったりしてしまうのです。
一般に人は苦手なことには、得意なことに比べて慎重に取り組みます。その傾向から口下手な人は、あまり積極的に会話に参加しなかったり、慎重に発言する場合が多いです。
そのため、急に意見を求められたり、予想していないタイミングで話しかけられたりすると、咄嗟に言葉が出てこず上手く会話が成り立たない、思ったことを言えない状態になります。また会話に求める理想が高い人の場合は、相手の様子を伺いすぎてテンポよく言葉を発せられないこともあります。
ここまで「口下手」の言葉の意味と、口下手な人の主な特徴をご紹介してきました。口下手な人の特徴が分かったところで、次に口下手な人がビジネスシーンや私生活で実際に感じている悩みについて見ていきましょう。
人間関係とは、人と人の間の感情面を含む関係性のことです。つまり良好な人間関係とは、お互いに相手のことを尊重し、感情的な負荷や無理なく付き合える関係性のことと言えるでしょう。このような関係性を築くには、コミュニケーションを通じた相互理解が大切です。
一方、自分の考えを適切に伝えるのに苦労しやすい人、または会話に苦手意識を持っている人は、心理的な負担である会話を割ける傾向にあります。そのため周囲の人と考えや気持ちを共有する機会が少なくなり、会話を介した関係構築がしにくい傾向があるのです。
ビジネスシーンでは円滑に業務を進めるために同僚や先輩社員、上司だけではなく、取引先との関係構築も重要になります。しかし、口下手な人は前述のとおり周囲の人との関係構築がしにくい傾向があるため、複数の人と関係を構築して共同で業務を進める際に難しさを感じやすくなると言えるでしょう。
口下手な人は伝えることへの苦手意識から、自分の意見をはっきりと伝えられない傾向があります。その結果「企画や提案が通りにくい」と悩む場合も少なくありません。なぜなら、企画や提案とセットで必要になるプレゼンテーションは会話の応用とも言えるからです。
プレゼンテーションでは企画や提案内容の説明であると同時に、提案先の相手との対話を経て不明点を解決しながら、企画や提案の内容に納得してもらう必要があります。また、企画や提案を通すためには予め関係者に話を共有しておくなどの環境整備が重要になるケースも多く、ここでも会話力が必要です。
口下手な人は業務に対する十分な能力があったとしても、フィードバックや指導が苦手な傾向があります。口下手な人は自分の意見をまとめた上で相手に伝える行為に苦手意識があるため、会話の延長であるフィードバックや指導も積極的にできない悩みを抱えがちなのです。
この悩みを解決できない場合は業務スキルが高いにも関わらず、リーダーシップが発揮できないためにキャリアアップや転職のシーンで不利になってしまう場合もあるでしょう。
前項では口下手な人が抱えやすい悩みをご紹介しました。仕事を円滑に進めたり、キャリアアップを目指す上で口下手はデメリットになりかねない一面があるのです。一方、口下手な人にも長所はあります。次では口下手な人の主な長所を2つ見ていきましょう。
口下手な人は会話に参加する頻度や発言の回数が少ないため、必然的に会話の聞き役に回る場合が多くなります。よって口下手な人は話しすぎることが少ないため、自分の話を聞いてほしいと思っている人にとってメリットがある存在になれます。
また自己主張ばかりで相手の話を遮ってしまうことも少ない傾向にあるため、相手を尊重できる存在として重宝される可能性もあるでしょう。
口下手な人はコミュニケーションが丁寧なので、相手に落ち着いた印象を与えられる長所があります。また口下手な人のコミュニケーションが丁寧な傾向にある要因は、相手の評価を気にしやすく、会話の理想が高い特徴が関係しています。
口下手な人は相手の表情や声色の変化や会話の流れに敏感なので、相手の考えや意見をよく聞いた上で会話を進められるのです。
口下手な人にも長所があると言われても、口下手を直して自分の意見が主張できるようになりたいと考える方もいるでしょう。次では口下手を直すために抑えておきたいポイントを6つご紹介します。
実は口下手な人の中には「いい会話」の理想を上げすぎているあまり、自分の意見を上手く話せなくなっている方も少なくありません。
Schooオリジナル授業『口下手でも会話が弾む質問力』に先生として登壇している、しつもんコンサルタントの河田 真誠さんによれば、口下手な人の中には「いい会話」を次のように「盛り上がる会話」だと誤解して、会話に対する理想を上げすぎている方がいると言います。
一方、河田さんが考える「いい会話」は次の画像のように盛り上がるか否かではなく、会話の目的に近い話題で相手と分かり合える会話が「いい会話」なのではないかと話しています。
つまり、会話に参加する人が「話す」と「聞く」どちらかの役割を完璧に担うのではなく、互いに話し合うことがいい会話に繋がると考えられる、視野の広さが大切なのです。
口下手な人は会話の失敗を恐れるあまり、自分から考えを伝える行為を避ける傾向にありますが、自己開示を先にすることで、前述の「いい会話」に近づきやすくなります。また自己開示の結果、相手も自己開示しやすい雰囲気が生まれやすくなるので、円滑なコミュニケーションが期待できるでしょう。
また会話の間を恐れないことも重要なポイントです。会話の間を埋めるために不要な発言をする失敗を防ぎ、相手の発言も促せるため、相手と分かり合うための会話ができるようになります。
コミュニケーションにゴールを持っておくと、「いい会話」にするために工夫すべきことや会話の設計がしやすくなります。また、その会話の良し悪しを判断しやすくなるので、今の会話で良かったのだろうかと心配する必要もなくなるのです。
例えば「今日の会話のゴールは相手をよく知ることだ」と決めた場合、伝えることよりも相手のことを知るための会話に多くの時間を割くようにするでしょう。
また、仮にその会話で自分のことをあまり多く伝えられなかったとしても、相手を知ることがゴールなので、その目的が達成できれいれば「これはいい会話であった」と判断できます。
さらにコミュニケーションのゴールを含めた、コミュニケーションの内容に関する以下の問いに答えることで、会話の設計や振り返りがしやすくなります。
営業活動や外部パートナーとのミーティングをはじめとしたビジネスシーン、友人との会話をはじめとしたプライベートで活用してみると良いでしょう。
口下手な人は話過ぎることがないため相手の話を聞ける長所があると「口下手な人の長所では?」で解説しました。
この長所を活かして口下手を直すのに効果的なのが「質問力を鍛える」です。質問を相手に投げかければ、相手は意識下で考えていた内容を言語化した上で質問に答えるので、相手の本質を理解しやすくなり、会話の質が向上しやすくなります。
会話には以下のような種類があります。
会話は主に4つの種類に分けられることを把握したら、自分の好きな話し方をしている人が各種の会話でどのような話し方をしているのかを観察してみましょう。
例えば自分の職場でプレゼンが上手いと感じている人や、プライベートで話に引き込まれると感じた芸人などの話し方を真似しながら、自分なりの会話パターンを作り出していくことも、口下手を改善する方法です。
ここまで口下手を直すために効果的な心構えや、質問力・会話のパターン化についてご紹介してきました。これらは自分なりに「いい会話」の仮説を立てた上で、会話の中で実際に試すことで効果が現れる方法です。
一方、人との会話によって業務を進める割合が多い営業やディレクターなどの職種では、試行錯誤する機会を設けなくても効果的に会話ができる、次のような会話のフレームワークが活用されています。
PREP法とは以下の順に話すフレームワークです。
冒頭で結論を述べた後に、理由や事例をはじめとした詳細を伝える方法で、事前に話す内容が整理された上で会話に発展しているため、聞き手に会話を理解するためのストレスをかけにくいメリットがあります。
ビジネスシーンでは短時間で大まかな情報を伝える必要がある場面、例えば上司への相談や状況報告に活用されます。
SPIN法とは以下の順に質問を進めることで商談成立に繋げるための話法です。
SPIN話法は質問によって会話が進んでいく特徴があるため、質問を投げかけられた相手の意識下の要望や考えを顕在化させられるメリットがあります。
またSPIN法を使えば双方向の会話になるため、相手から頼りになる存在だと感じてもらいやすくなるでしょう。
TAPS法と以下の順で伝えるフレームワークです。
主にプレゼンテーションの場面で活躍します。TAPS法には理想と現状の乖離と乖離から生まれる問題、解決方法を構造的に伝えられる特徴があるため、提案内容である解決策に納得してもらいやすくなるでしょう。
またプレゼンテーション以外にも、自社内の人材育成の場面や目標達成のために必要な要素をあぶり出す場面でも効果を発揮しやすいフレームワークだと言えます。
最後に口下手な人でも弾む会話ができるようになる質問力が身につく授業をご紹介します。ここで学んだ知識を実践で活かす前にぜひ授業を覗いてみてくださいね。
< コース紹介 >
コロナ禍以降には対面で人と人が触れ合う機会が減り、上司と部下、家族、友人などあらゆる人間関係が影響を受けています。
特にオンラインでの画面越しでのやり取りでは、相手が何を求めているのか、何に悩んでいるのかといった本音を掴みづらいと感じる方も少なくありません。このコースではコミュニケーションを通じて相手と良好な関係を築くための「質問力」について学びます。
先生プロフィール
河田 真誠(かわだ・しんせい)
印刷デザインの会社を経営後、しつもんコンサルタントとして、企業でのコンサルティングや研修を行うほか、ビジネスプロデュースも手がける。 問題解決、マネージメント、営業など、企業で成果が出た「しつもん」のノウハウをまとめて、「しつもん経営」としてプログラム化、多くの企業に提供。 また最近では、企業でしつもんする「しつもんコンサルタント」の育成や、起業家の育成にも力を入れている。
会話の上手さは、思考スピードの速さや記憶力の良さをはじめとした生まれつきの要素が大きいと考える方も少なくありません。一方、実はここでご紹介したように質問力を鍛えたり、会話のフレームワークを活用することで口下手は改善できます。
Schooではコミュニケーション術を含む、ビジネススキルに関する授業が月額980円で受け放題です。ぜひ活用してくださいね。