読解力を鍛える方法とは?言葉の意味と必要性も解説

<目次>
1:読解力とは
2:日本人の読解力は低下している
3:読解力が低下する原因
4:ビジネスにおける読解力の必要性
5:読解力を鍛える方法
6:読解力が向上する授業をご紹介
7:まとめ

業界や職種に関わらず、さまざまな関係者とコミュニケーションを取る社会人にとって、相手の意図を正しく理解する能力(読解力)は仕事を円滑に進める上で欠かせないと言えます。ここでは、ビジネスにおける読解力の必要性と鍛え方をわかりやすく解説します。

 

読解力とは

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読解力とは「文章を読んで理解する能力」のことを指します。また、文部科学省が取りまとめるPISA調査の定義によると「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」(※)とされています。

※参照:PISA調査における読解力の定義,特徴等(文部科学省)

 

読解力の3要素

またSchooオリジナル授業『おとなの読解力教室』に登壇している国語講師・吉田裕子さんによれば、ビジネスパーソンに必要な読解力は以下の3要素に分けられます。

  • 1.語彙力=単語の意味と使い方を理解し使いこなす力
  • 2.要点把握力=核心をつかむ力
  • 3.複雑性対応力=構造をとらえる力

要点把握力とは文章や会話の核心を把握した上で、要点をまとめる能力です。また複雑性対応力とは、複雑な文章を読み解く忍耐力や文章の構造を整理する能力を指します。

 

日本人の読解力は低下している

前出のPISA調査(生徒の学習到達度調査)はヨーロッパ諸国を中心に、日米を含めた38カ国の先進国が加入する国際機関・経済協力開発機構(OECD)によって実施されています。

2018年の調査では数学的リテラシー・科学的リテラシーは世界トップレベル(37カ国中1位・2位)であるのに対し、日本人の読解力はOECD加盟国の平均値(487点)より高い504点であるものの、11位に留まっています。また516点だった2015年の調査より平均得点と順位が下落している状況でした。この結果から、日本人の読解力低下が懸念されています。

また読解力調査結果の詳細を分析すると、読解力を構成する要素のうち「要点把握力」と「複雑性対応力」が低い状況となっています(※)。

※参照:OECD生徒の学習到達度調査2018年調査のポイント

 

読解力が低下する原因

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読解力低下の原因にはスマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスの普及や情報処理に追われる時間の多さなど、現代社会の急激な変化が挙げられます。次で読解力が低下する具体的な原因を見ていきましょう。

 

読書量の減少

2019年に文化省が全国の16歳以上の男女3,590人に実施した調査(※)によれば、47.3%の人が1ヶ月に1冊も本を読まないと回答しています。また読書量を増やしたいと考えている人の割合も減っている状況です。読書量の減少理由には、仕事や勉強が忙しい・視力低下などの健康理由に加えて、読書よりスマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスの利用に割く時間が増えていることが挙げられます。

※参照:『平成30年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』

 

長文を用いたコミュニケーションの減少

リモートワーク・在宅勤務が取り入れられるようになったことで、コミュニケーションツールはメールからTeamsやSlackなどのチャットが主流になりました。またプライベートでもLINEや各種SNSのDMでやりとりをする機会が増えたと言えます。ツールの開発や普及によって、コミュニケーションの仕方にも変化が生まれています。その代表例が「コミュニケーションの短文化」です。

チャットは効率的に情報共有できる点やコミュニケーションが可視化できるメリットがあります。このようなメリットを活かすためにも、チャットの文章は箇条書きや項目別の記載によって、要約することが好ましいと言われているのです。またチャットでは文章だけではなく、絵文字を用いてやりとりを簡略化する場合もあるでしょう。

このようにSNSやチャットツールの台頭によって、長文を用いたコミュニケーションの機会が減少していることも読解力の低下に繋がっていると考えられます。

 

SNSの普及による情報量の増加

ICT(情報通信技術)の発展に伴って個人の情報発信・共有が容易になりました。また個人の情報発信のしやすさを後押しした主な要因に挙げられるのがFacebookやTikTokなどのSNSです。SNSによって個人が情報発信しやすい状況が生まれたと同時に、大量のコンテンツやその中に含まれる情報をユーザーが選択し、意思決定する必要性が高まりました。

私達は日々、大量の情報に触れています。一方、人間の脳が同時に処理できる情報量には限りがあり、流通する情報量が増えても処理能力は増えません。つまりタイムラインやニュースフィードに流れる情報を断片的に認知し有益な取捨選択するのに脳のリソースを費やすため、じっくりと長文を読んで内容の本質を理解する(読解力を鍛える)機会が減っているのです。

 

ビジネスにおける読解力の必要性

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ここまで解説したように、デジタルデバイスやチャットツール・SNSの普及は読解力の低下に影響しています。一方、ビジネスの場面では読解力が必要になるシーンが多々あります。次では、読解力に関連するスキルの観点から読解力のビジネスにおける必要性について解説します。

 

情報収集能力が向上する

前述のように読解力とは文章や会話の内容を正しく理解できる能力を意味します。そのため、読解力が向上すれば自分の認知の歪み(バイアス)抜きに、情報を整理し、的確に把握できるようになります。ビジネスシーンにおいては、マニュアルやメール・チャットに記載されている指示が正しく理解できるようになるでしょう。

また読解力の向上によって問題や課題を見極め、課題を自分で設定するスキルも身に付くため、目的に合った情報を迅速に収集できるようになると言えます。Schooオリジナル授業『いい加減な人ほど生産性が上がる「超効率ハック」』の講師・羽田康裕さんによれば、情報収集力は以下の点で役立ちます。

  • ・労働時間の削減
  • ・仕事の質向上

つまり読解力が向上すれば、成果に結びつきやすい情報を見極めてインプットできるようになるため、最終的には少ない時間で仕事の成果を上げられるのです。

 

コミュニケーション能力が向上する

読解力が向上すれば、相手の意見の本質を把握しやすくなります。また正確な会話内容の理解は、相手の意見を深堀りするための質問に繋がるため、結果的にコミュニケーション能力も向上すると言えるでしょう。さらに読解力の向上は相手の意見を正確に理解するだけではなく、自分の意見を正確に伝える際にも役立ちます。

読解力があるビジネスパーソンは「情報を正しく理解しよう」と心がけているため、自分が伝える情報も相手に正しく理解してもらうために何が必要かイメージしやすいのです。例えば、新入社員に新しい業務について教える場合は「業務の全体像」から伝え、用語解説をしながら、業務の詳細を説明することが挙げられます。

業務でチャットを利用している社会人のうちハイパフォーマー111名を対象に行われた調査(※)で90.1%が「テキスト上でのコミュニケーション力は、ビジネスの成果・効率を上げるために今以上に重要になる」と回答しているように、特にオンラインでのコミュニケーションが活発な職場では、読解力の向上とコミュニケーション能力の向上ならびに業務成果・効率との関係性はより強いと言えるでしょう。

※参照:『ハイパフォーマーのテキストに関する調査』

 

資料作成スキルが向上する

コミュニケーション能力の向上のように、読解力は情報のインプットだけではなく、アウトプットの側面でも役立ちます。資料作成の場面もその一例です。資料作成の大まかなフローは以下のとおりです。

  • 1.資料の目的を明らかにする
  • 2.各ページのテーマを決める
  • 3.各ページ内容をテキストでまとめる
  • 4.資料を作成する(文章やグラフの作成)

上記のフローの中でも特に1・3・4は相手の意図を読み取り、アウトプットする読解力が必要になると言えるでしょう。また読解力が向上すれば、相手に伝わりやすい(論理的な)文章の執筆や思考ができるようになるため、誰もが理解できる汎用性の高い「一人歩きする資料」が作成できるようになります。

 

読解力を鍛える方法

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ここまで読解力の向上はビジネススキルの基礎であり、特に簡潔な文章の執筆や相手に伝わりやすいコミュニケーションに繋がると解説してきました。次では読解力を向上させる方法を5つ解説します。

 

1.読書で語彙力を増やす

文部科学省が2016年に公開した文書『読解力の向上に向けた対応策について』によれば、読解力の基盤である言語能力の向上に対する策として語彙力の強化ならびに「読書活動の充実」が記載されています。

また文章の構造と内容の把握、文章を基にした考えの形成など、文章を読むプロセスに着目した学習の充実も言語能力を向上させるとされています。読書習慣は語彙力を高める上で有効ですが、ポイントは「幅広いジャンル・年代の本を読むこと」です。

例えば実用書は日常生活や仕事で実践できるノウハウが簡潔に記載されているため、文章の構造を把握する練習に役立つでしょう。また小説やエッセイは日常で体験できない様子を読み取ったり、作者の感情を表す語彙を学ぶ機会になると言えます。

さらに出版年が古い本を読めば、現代とは異なる時代背景を読み取ったり、現在では用いられない語彙を学ぶ機会にも繋がるでしょう。

 

2.メモを構造的に取るようにする

業務内容や日々の記録を構造的に整理し、文章化する活動も読解力を鍛える方法の1つでしょう。構造化とは問題解決や意思決定の際に問題を俯瞰して把握し、物事を分解して論理的に考えるために用いられる手法です。

この手法を用いてメモを取れば、読解力の一部である、物事の本質を捉える習慣が身に付くだけではなく、迅速な問題発見や問題から課題への分解が可能になります。

 

3.論理的思考力を身に付ける

文章や会話を正しく理解する上で論理的思考力と読解力には密接な関わりがあります。論理的思考力は個人の経験による思考のクセを排して情報を正確に理解・分析する能力です。そのため、論理的思考力が身に付けば、物事の本質を捉え、言語化する読解力も自ずと向上すると言えるでしょう。

論理的思考力を身に付けるには、モレなくダブりもない要素分解・考察をサポートする「MECE」や「5W1H」などのフレームワークを理解し、日常的に活用するのがおすすめです。

▼論理的思考力を身に付けたい方におすすめ!

論理的思考とは?重要性とトレーニング方法を解説

 

4.自分の思考のクセや思い込みを把握する

論理的思考力を身に付けるために重要なのが、自分の思考のクセ(認知バイアス)の把握です。思考のクセは事実や統計データの誤った解釈を助長し、物事の本質を理解しにくくさせてしまいます。そのため、読解力の向上には思考のクセを認知し、排除する必要があるのです。

なお思考のクセや思い込みを把握するために有効な習慣には以下のような例が挙げられます。

  • ・自分の意見に「本当にそうか?」と問いかける(クリティカル・シンキング)
  • ・他者の意見を参考にする
  • ・情報のサンプル数や属性に偏りがないか確認する

このように、他者の視点やクリティカル・シンキングの活用によって、情報を正しく把握・理解できるように働きかけることで、自分の思考のクセや思い込みの傾向(楽観主義・悲観主義など)も把握できるようになるでしょう。

 

5.情報や自分の解釈を疑う癖を付ける

前述の「クリティカル・シンキング」は「情報や自分の解釈を疑う癖」だと言い換えられます。一度は正しいと判断した情報や意見を異なった視点から捉え直す工程を挟めば、自分が認知し切れていない思考のクセに気付き、情報の正誤を判断する際や物事の本質を見極める際に役立つかもしれません。

 

インプットした情報をアウトプットする

前項で解説したように、読解力とは文章や口語を用いた正確かつ円滑なコミュニケーションに欠かせないスキルです。自分の思考のクセを把握し、情報を正しく理解できるようになったと感じたら、より高度な読解力トレーニングとして積極的なアウトプットを心がけ、情報の理解度を確かめるようにしましょう。

相手の状況に合わせてわかりやすくアウトプットするには、情報の正誤判断だけではなく、内容の構造的理解が求められます。また積極的なアウトプットは自分の思考のクセに気付く良い機会にもなり得るため、読解力のさらなる向上に役立つのです。

 

読解力が向上する授業をご紹介

読解力 トレーニング

最後に読解力の向上に役立つSchooの授業を2つご紹介します。資料やチャットの文章を正しく理解したい方や、わかりやすい説明ができるようになりたい方はぜひ、気軽に受講してみてくださいね。

 

おとなの読解力教室

おとなの読解力教室

< コース概要 >

読解力は、数学などと比べ、自分の能力を正しく把握しづらい傾向があります。授業では読解力チェックテストも実施予定です。読解に苦手意識がある方だけでなく、読解力に自信のある方もぜひチャレンジしてみてください。

先生プロフィール

吉田裕子

吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師。東京大学教養学部・慶應義塾大学文学部 卒業。放送大学大学院・京都芸術大学大学院学際デザイン領域 修了。近著に『大人らしく和やかに話す 知的雑談術』(日本実業出版社)、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など。

 

「自分の頭で考える力」を養う本の読み方

「自分の頭で考える力」を養う本の読み方

< コース概要 >

本コースでは「自分の頭で考える力」を養う本の読み方について考えていきます。本の内容をそのまま受け入れるだけではなく「これはどういうことなんだろう?」と立ち止まり、自分なりに解釈を考えることで世の中や自分自身について考えてみましょう。

先生プロフィール①

内沼 晋太郎

内沼 晋太郎(うちぬま・しんたろう)
1980年生まれ。一橋大学商学部卒。NUMABOOKS代表、ブック・コーディネーター。株式会社バリューブックス取締役。2012年にビールが飲めて毎日イベントを開催する新刊書店「本屋B&B」を、2017年に出版社「NUMABOOKS出版部」を、2020年に日記専門店「日記屋 月日」をそれぞれ開業。

先生プロフィール②

荒木 博行

荒木 博行(あらき・ひろゆき)
株式会社学びデザイン代表取締役。住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーやNOKIOOなどスタートアップのアドバイザーとして関わる他、絵本ナビの社外監査役、武蔵野大学、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。

 

まとめ

読解力とは資料やチャットに記載された文章に限らず、普段の会話や分析対象のデータに至るまで幅広い意味での「情報」をバイアスを取り除いた上で正しく理解するためのスキルです。読解力が高いビジネスパーソンになれば、大量の情報の中から事実に基づいた情報を選択し、物事の本質を理解できるでしょう。

Schooでは読解力をはじめとしたビジネス基礎力の授業が月額980円で受け放題です。ぜひ活用してください。

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