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2023年10月23日 10:37 更新
Adobe Fireflyとは、経験やスキルを問わず、誰でも魅力的な画像を生成できるアプリケーションです。本稿では、Adobe Fireflyの基本的な使い方と、その特徴について詳しく解説していきます。普段Adobeのソフトを使っており、Adobe Fireflyも合わせて利用したいと考える方や、画像生成AIに関心のある方はぜひご覧ください。
Adobe Fireflyとは、今話題の生成AIを使った画像生成アプリです。画像や動画編集などを行うためのツールを多数開発しているアメリカのAdobe社によって提供されており、AIによるオリジナル画像の生成や編集などが可能です。2023年3月21日にβ版が公開され、その後2023年9月13日に正式版がリリースされました。
Adobe Fireflyは「クリエイターが普段話す言葉とその他の入力情報を使ってさまざまな制作作業を簡単に行えるようにすること」を目標に作られました。また、Adobe FIreflyは単体でも使用できますが、PhotoshopやIllustrator、Adobe Expressなどの既存のAdobe製品にも機能が搭載されています。そのため、AIを使ったオリジナル画像の生成だけでなく、Adobe製品を使うクリエイターの創作活動をサポートし、効率化を助けてくれるという点に特徴があります。
Adobe FireflyにはWeb上で使える単体アプリと、その他のAdobe製品と連携し他のアプリ上で利用できるものがあります。
単体アプリはこちらのURLにアクセス・ログインすることで利用ができ、Webアプリ上でテキストから画像作成・生成塗りつぶし・テキスト効果・生成再配色の4つの機能が使えます。(※)
他にもPhotoshop、Adobe Express、Adobe Illustratorの3つのアプリでは新しくAdobe Fireflyの技術が組み込まれ、Fireflyの機能の一部をツール上で使えることができます。以下は各アプリ上で利用できるFireflyの機能一覧です。(※)
また、FireflyはAdobe Stock上にも専用のページがあり、そこから「テキストから画像生成」の機能を利用することが可能です。
(※)2023年10月13日時点
Adobe Fireflyは無料で使用することができますが、所定の利用上限を超えて使用したい場合は有料版の契約をする必要があります。有料のAdobe Fireflyプレミアムプランの利用料金は680円/月です。
また前提として、Adobe Fireflyでは各プランの利用上限を、画像生成機能を利用するための「生成クレジット」という通貨のようなもので管理をしています。生成クレジットは毎月配布され、1クレジット=画像生成1回として利用できます。生成クレジット数はプレミアムプランでは月に100クレジット(画像生成機能を100回)、無料プランだと25クレジット配布されます。
加えて、すでにAdobe製品を利用している場合は、Adobe Firefly単体で契約せずともそれぞれの契約に合わせて生成クレジットが付与されます。例えば、Adobe Creative Cloudのコンプリートプランをもともと利用していた場合は、料金は加算なしに1ヶ月で1,000回までFirefly機能が利用できます。他にも利用プランによって生成可能回数は異なるので、詳細は下の表を参照してください。
プラン | 生成クレジット数/月 | 料金/月 |
Creative Cloud コンプリートプラン |
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単体プラン(Illustrator、InDesign、Photoshop、Premiere Pro、After Effects、Audition、Animate、Adobe Dreamweaver、Adobe Stock、フォト 1 TB) |
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単体プラン(Creative Cloud フォト 20 GB) |
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単体プラン(Lightroom) |
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単体プラン(InCopy、Substance 3D Collection、Substance 3D Texturing、Acrobat Pro) |
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Adobe Firefly プレミアムプラン |
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Adobe Express プレミアムプラン |
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Adobe Stock の有料サブスクリプション |
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Adobe ID を持つ無料ユーザー |
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※ 2023 年 11 月 1 日までは、Creative Cloud、Adobe Firefly、Adobe Express、Adobe Stock の有料サブスクライバーは、生成クレジット制限の対象になりません。
また、少ないクレジット数でも頻繁に機能を使わないのであれば上手くやりくりできそうにも思えますが、生成クレジットは月単位でリセットされ、繰越されないという点は留意しておく必要があります。
※参照1:生成クレジットに関するよくある質問
Adobe Fireflyでは、100以上の言語でのプロンプトの入力(AIへの指示)が可能です。対応言語の具体的な例には英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、ブラジルポルトガル語、ルーマニア語などがあり、日本語にも対応しています。
また、操作画面も20か国語以上に対応しており、幅広い言語の話者にとって快適にアプリが使えるような工夫がされています。
ここまでAdobe Fireflyの概要について詳しく解説してきました。以降ではAdobe Fireflyについてより深く知るため、Adobe Fireflyの特徴と利用するメリットについて詳しくご説明します。
Adobe Fireflyの特徴として、AIの学習データにAdobe Stock上の画像や著作権切れコンテンツ・オープンライセンスのコンテンツなど権利関係が明確な画像のみを利用していることが挙げられます。
前提として、画像生成AIは大量のデータを事前に学習することで、ユーザーの指示に沿う画像を生成できるようになっています。一方、多くの画像生成AIは有料で提供されている素材を含む、著作権で保護されたデータも学習に利用していると言われており、学習データの取り扱いの是非を問う声も高まっています。
このような背景も踏まえ、Adobe社はAIの学習に用いるデータを自社で運用しているAdobe Stock上の画像やイラスト、または著作権切れのコンテンツなどに限定しており、学習データの透明性を担保しているのです。
画像生成AIの利用が広がるに伴って、議論になりやすいのが著作権侵害の問題です。
上でご紹介した通り、多くの画像生成AIは著作権で保護されたコンテンツも学習データとして利用していると言われています。そのため、有料の画像を無断で学習に使用した場合や、学習の結果特定のアーティストの作品と類似した画像が生成される場合などに、学習元となった画像や作品の著作権者の権利侵害ではないかと指摘されることがあるのです。
一方、Adobe Fireflyは前項でご紹介した通り、権利関係が明確なコンテンツのみを学習データとしているため、安心して生成された画像を利用できるようになっています。また、Adobe社はクリエイターがAdobe Stockに投稿した画像がFireflyの学習データとして使用された場合、追加で報酬を出す仕組みを構築するなど、クリエイターに正当な対価が払われるような取り組みや仕組み作りに力を入れています。
※参照:Adobe Stock Contributor 向けの Firefly に関する FAQ
Adobe Fireflyで生成した画像は商用利用が可能であり、権利関係への配慮から生成した画像をビジネスで安心して利用できるという特徴があります。
前提として、Firefly以外の生成AIで商用利用可能な製品も複数存在します。しかし、生成AIを取り巻く法律や規制などのルール作りは世界的にもまだ整備段階であり、目下権利関係をめぐる訴訟なども存在している状況です。
その点、Adobe Fireflyは学習データの透明性を担保することに加え、差別的・暴力的なプロンプトに規制をかけるなど、利用にあたって想定されるトラブルを未然に防止する工夫がされています。その他エンタープライズ版のFireflyでは、生成画像に対して知的財産 (IP) の補償をつけるなど、特に導入にあたってのリスクを慎重に加味する必要がある企業での利用においても、安心して活用できる仕組みが整えられています。
※本アプリケーションはベータ版では商用利用は禁止でしたが、正式リリースでは利用可能になっています。
生成AIは画期的な技術である一方、悪用すればディープフェイクを流布するなど、社会に悪影響を及ぼす使い方が出来てしまう技術でもあります。
そのため、生成AIの開発者や利用者には倫理的な配慮が求められ、こういった観点でのAIの利活用における指針やマナーのことを「AI倫理」と言います。
Adobe社はAI倫理に対する姿勢を明示しており、Adobe Fireflyの利用によって権利侵害や差別の助長を行わないような配慮が設計時点で行われています。また、フェイク画像への対策を目的としたコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)という団体を主導し、画像の出自をトレースできる仕組みの普及にも努めており、Fireflyの生成画像にもこれらの技術が取り入れられています。
※参照:Adobe-AI-Ethics-Principles
Adobe FireflyはAdobe ExpressやPhotoshopなどに機能搭載されていることから、利用すれば画像生成からデザインまで一気通貫して作業ができるというメリットもあります。
『Firefly 生成AIと一緒にデザインを作ろう』の授業にご登壇でイラストレーターの北沢直樹先生は、PhotoshopやAdobe Expressでの作業中に素材が足りなくなった場合、これまではAdobe Stockなどに素材を探しに行くという工程が必要であったところ、Fireflyの機能がビルトインされたことでツール間を移動する手間が無くなったと紹介しています。
Adobe Fireflyの機能はクリエイターのサポートを目的として作られたという特徴が、このような点にも表れていると言えるでしょう。
ここまでご説明したように、Adobe Fireflyは誰でも安心して活用できる便利なツールです。ここからは、日々の業務の中でAdobe Fireflyが活躍する具体的な想定シーンを、Schooオリジナル授業『Firefly 生成AIと一緒にデザインを作ろう』に基づいて3つご紹介します。
Adobe Fireflyを使えば、プレゼンテーションの挿絵などを欲しいイメージそのままに生成するなど、日常業務も効率化することが可能です。
説明資料を作成する際、内容に合った挿絵を使うと、読み手に情報が視覚的に伝わりやすくなり効果的です。しかしインターネット検索などで探した画像であれば権利関係や利用可否の確認が必要であり、素材サイトを使ってもイメージにぴったり合う画像を見つけるのは難しいことがあります。
こんな時にAdobe Fireflyを使えば、特別な技術がなくともイメージにあった挿絵を簡単に作成することができ、かつ著作権を気にする必要もないためとても便利だと言えるでしょう。
Adobe Fireflyは、Adobe StockやShutterStockなどの素材サイトに自分のイメージに合う画像が見つからない時や、要望に合う素材の準備が難しい場合にも活用できます。
例えば、授業内ではバナーやチラシを水彩風にしたいと希望された場合に、Adobe Fireflyで生成した水彩画風イラストに入れ替えて対応できることを紹介しています。
このように、Adobe FIreflyを使えば適切な素材がない場合でも0から準備する必要がなくなり、またイラストなどを書く技術がない場合でも画像を自在に作成することができるようになります。
Adobe Fireflyを使えば簡単に画像生成ができるので、デザイン発注時のイメージすり合わせをより効率的に行うことが可能です。
一般的に、「かっこいい」「かわいい」という言葉で思い浮かぶイメージが人それぞれであるように、頭の中にある視覚的なイメージを言語化したり他人と共有したりするのは難しいことです。そのため、デザイナーに制作を依頼したものの思い通りに仕上がらなかった、または言葉通りにデザインしたつもりだが違うと言われた、などの経験がある方も多いのではないでしょうか。
そのような時にAdobe Fireflyを使えば、どのように「かっこいい」のか「かわいい」のかなどを実際に画像にして確認することができます。細かいニュアンスも仮のイメージとしてアウトプットすればすり合わせがしやすく、共通認識を得やすくなり、生産性を高めることにつなげられるでしょう。
ここからは、Adobe Fireflyの基本の使い方について詳しく解説していきます。本稿を読んでAdobe Fireflyを自分でも使ってみたいと考えた方は、是非ご自分でも手を動かしてみてください。
なお、今回は、Adobe Fireflyの単体アプリで既に公開されている機能のうち「テキストからの画像生成」の使い方を詳しく解説していきます。
まず、Adobe Fireflyのサービスページにアクセスし、右上にある「ログイン」ボタンからログインページに遷移します。
既にAdobeのアカウントを持っている方はメールアドレスまたはGoogle・Apple・Facebookアカウントなど登録時に使用した方法で、ログインしてください。
また、Adobeのアカウントをお持ちでない方は、上のログインページの「アカウントを作成」を押し、以下のようなページが表示されたらメールアドレスまたは各種サービスIDを連携してアカウントを作成します。
Adobe Fireflyへのログインが完了したら、続いて利用する機能にアクセスします。今回は「テキストから画像生成」という機能を使うので、トップページにある各機能の紹介の中から、該当の機能(下の画像の赤枠部分)を押下します。
「テキストから画像を生成」を選択すると、次のような画面に遷移します。下部に「生成したい画像の説明を入力してください」(画像赤枠)と書かれた入力フォームが出現しますが、これがプロンプト(AIへの指示)の入力欄です。
本稿ではこのフォームにSchooのテーマである「みんなで学ぶオンライン学習サービス」と入力してみます。
フォームにプロンプトを記入し、「生成」ボタンを押すと以下のようにAdobe Fireflyによって画像が4つ生成されました。
画像を確認すると、机の前に座り、パソコンやペンを持って何かを学ぶ様子が描かれており、プロンプトを意識した画像が生成されたことが分かります。
生成した画像の中に気に入るものがあれば、画像をタップすると、ポップアップで確認ができます。
そして、この画像で十分だと考える場合は、画像の右上の部分をタップすると、以下のようなメニューが出ますので、ダウンロードや他のアプリへの移行などを進めることができます。
一度生成された画像が気に入らない場合やイメージと大きくずれたときは、画面下の入力フォームでプロンプトを書き直し、やり直しができます。
また、生成されたものをベースにテイストやカラーリングを調整したい場合は、画像右側の編集メニューを使います。メニューには、コンテンツタイプ・スタイル・カラーとトーン・ライト・合成(※構図)があり、それぞれを変更することでイメージを修正できます。その他、メニューでは画像の縦横比を変更することも可能です。
今回は、出力された画像が幻想的でかわいらしい印象であったため、少しスタイリッシュなイメージの画像を目標に、画像のスタイルを「デジタルアート」に、色合いは「暖色」に変更してみます。
操作方法は以下の画像のように、右側のフォームから必要なものを選択し、再度生成をするだけです。選択した項目は入力フォーム下部にタグが表示されますので、間違えて選択してしまった場合でも入力フォーム内で該当のタグの×を押すことで消去できます。
選択が終わった状態で「生成」を押すと、下の画像のように色やトーンが変わり、元のものに比べると絵のタッチが大きく変更されました。「LEARNING」が「LEARNNG」となるなど画像中の文字はスペルミスが散見されるものの、先ほどよりシャープな印象のある画像が出力されました。
このように、生成と修正を繰り返すことで、自分のイメージ通りの画像に近づけていくことができます。
ここまではAdobe Fireflyのログイン方法と、その基本機能である「テキストからの画像生成」について詳しく解説してきました。それに加えて、Adobe Fireflyには2023年10月時点で生成塗りつぶし、テキスト効果、生成再配色の3つの機能が公開されています。
各機能と概要は次の表の通りです。テキストからの画像生成と同様、各機能にはAdobe Fireflyのトップページからアクセスできます。
Adobe Firefly(単体)搭載の機能 | 機能概要 | |
公開済み機能 |
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今後追加予定 |
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ここからは、公開済みの3つの機能と、今後公開予定であるその他の機能についてもご紹介していきます。
Adobe Fireflyの「生成塗りつぶし」という機能を使うと、簡単に画像の背景を変えたり、画像内にオブジェクトを付け加えたりすることが可能です。
例えば、上の画像のように夕方撮った写真を日中に撮ったかのように背景を変更することができます。操作も簡単で、画像の変更したい箇所を選択し、その部分をどう変えたいのかをテキストで入力するだけで完了します。範囲選択は指定箇所をドラッグする方法に加え、背景選択はデフォルトの選択ボタンが準備されているので、ワンクリック指定が可能です。
Adobe Fireflyの「テキスト効果」という機能では、指定のテキストのスタイルやテクスチャを変更することができます。
例えば上の画像のように、プロンプトを反映し文字のデザインを変更することが可能で、遊び心ある文字をデザインできます。操作は、入力フォームの左側にベースとなる文字を入れ、右横のメニューからサンプルプロンプトを選択するか、または下の入力フォームに直接生成したい文字のイメージを入力し、生成ボタンを押すだけです。
「生成再配色」という機能を使うと、既存のコンテンツの配色を変更することが可能です。操作は、対象となるSVGファイルをアップロードし、変更したいイメージやその色などの説明をテキストで入力するだけです。
今回はAdobe Firefly上で提供されているサンプル画像を使用し、サンプルプロンプトから「砂石のビーチ」と入力してみます。すると、下の画像のように複数の異なる配色パターンが提示されました。
※参照:生成再配色 - IllustratorのAI - Adobe
2023年10月時点では公開されていませんが、近日中に公開予定の機能として「3D to Image(3Dから画像生成)」があります。
「3Dから画像生成」機能は、指定の3D模型をベースにプロンプトを入力することで、指示に沿った立体感のある画像を生成できる機能です。例えば、丸い球体の3Dモデルに対して「オレンジ」と入力するとフルーツのオレンジを、「野球ボール」と入力すると野球ボールを描いてくれるようなイメージです。
また、「3Dから画像生成」以外にも「スケッチから画像作成」など4つの機能が開発中である他、テキスト入力で動画を生成する機能などを追加することも構想しているようです。いずれも実装が完了すれば、さらにクリエイターの作業効率をアップさせる強力なサポートツールになると考えられます。
※参照:Adobe MAX 2023: Day One Keynote
Adobe社は2023年10月10日にFireflyをアップデートし、次世代のFireflyとして「Adobe Firefly Image 2 Model」、「Adobe Firefly Vector Model」、「Adobe Firefly Design Model」を発表しました。これらは早速β版として、Adobe Fireflyを含むAdobeの各製品に搭載が始まっています。
今回のアップデートの特徴は以下の通りです。
※参照:アドビ、 次世代のAdobe Fireflyモデルを発表
ポイントの1つ目は、画像生成AIモデルに新しいバージョンが登場したことです。新モデルは「Adobe Firefly Image 2 Model」と言い、すでにAdobe Fireflyの「テキストから画像生成」機能においてβ版として利用できるようになっています。前のモデルに比べてよりユーザーがイメージ通りの画像を生成しやすくするための改良が行われているのが特徴です。
具体的には、生成したい画像のイメージに近いサンプル画像をプロンプトに添付できる「生成マッチ」の機能や、プロンプトの代替案を提示してくれる「プロンプト候補」、写真の細かい設定を反映して出力する「写真設定」などの機能が追加されています。
2つ目のポイントは、先ほど開発中として記載した「テキストからベクター生成」の機能が、β版としてAdobe Illustratorに追加されたことです。
これまでIllustratorでは生成再配色のFirefly機能のみ利用できましたが、今回の機能が追加されたことで、プロンプトからベクターグラフィックの生成が可能になり、ツールで作成した画像を高画質のまま活用ができるようになりました。
3つ目のポイントは、同じく新機能である「Text to template(テキストからテンプレート生成)」が、Adobe Expressにβ版として搭載されたことです。
この機能を使えば、テキストを入力することで自分のイメージに合ったテンプレートを瞬時に作成することができ、Adobe Expressでの制作活動をさらに効率化することが可能になりました。
上でご紹介したように、Adobe Fireflyは単体アプリでも利用できますが、その機能は一部のAdobe製品にも搭載されており、Adobe製品を使った制作活動全般をサポートしてくれます。特に、世界中のクリエイターが業務で使用しているPhotoshopでは、Fireflyの機能搭載により、さらに使いやすくなることが期待されています。
そのため、以降ではPhotoshopにおけるAdobe Fireflyの使い方を詳しく解説していきます。
まず、Adobe Photoshopにアクセスします。Photoshopを既に利用している方は、サービスページやご自身のパソコンにインストールしたデスクトップアプリからログインしてください。
まだ利用していないという方は、Photoshopのサービスページに表示される「購入する」または「無料で始める」を押下し、無料体験の開始または購入を完了させます。無料体験については7日間まで無料で利用できますが、無料期間終了後にそのまま課金される形態なので、初めにクレジットカードの登録も必要になります。
なお、Photoshopにはデスクトップアプリ版とWeb版の二つの種類があります。デスクトップアプリ利用の場合は、インストールが必要です。次の画像のようなAdobe Creative Cloudアプリ経由でインストールできるので、必要な方はこちらのURLから入手してください。
また、Web版をご利用の場合は次の画像のように、サービスページログイン後画面の上部、アイコン右にあるメニューからPhotoshopを選択すると準備が完了します。なお、本稿ではデスクトップアプリ版を使用します。
Photoshopを立ち上げたら、次に編集する画像を準備します。左メニューの「新規ファイル」または画面下部の「画像をドラッグ&ドロップ」の箇所より、編集したい画像を読み込ませます。
画像の選択が完了しました。この画面上で生成AI機能にアクセスすることができます。
続いて、Photoshopに搭載された「生成塗りつぶし」機能を使い、写真の背景を都会に変え、猫が都会を歩いているような画像に変更していきたいと思います。
操作は、変えたい背景の範囲選択を行い、どのような変更を加えるのかをプロンプトとして入力する流れで行います。
まず画面下の「被写体を選択」を押下します。
すると、以下のように被写体の周りを自動で点線が囲みます。この点線は猫を選択している状態ですが、赤枠中の「選択範囲を反転」を押すことで選択範囲が反転し、背景全体を選択することができます。
背景を選択できたら、下部メニューから「生成塗りつぶし」を選択します。
ここに出力したい画像イメージをテキスト入力することで、画像の修正や編集が可能です。なお、ここでは「忙しい都会を歩く猫」とプロンプトを書いています。
上の状態で、生成ボタンを押すと、以下のような画像が出力されました。元々は道路脇に草むらのある風景でしたが、一面のコンクリートに変わり、たくさんの人が歩いている中に猫が紛れるかのように配置されたのが分かります。
また、生成時には合計3つの画像が生成されているので、画面下の赤枠内の「>」を押下するか右の「バリエーション」の中から選択することによって、別のパターンも確認することができます。
生成された画像がイメージと大きくずれる場合は、プロンプトが入力されている部分をタップし、プロンプトを書き換えてから再度「生成」を押して再生成を行ってください。
ここからはAdobe Fireflyについて学べるSchooオリジナル授業をご紹介します。本稿で詳しく解説してきたAdobe Fireflyを、授業でもっと詳しく学び、使いこなせるようになりたいと考える方はぜひご覧ください。
< 授業紹介 >
この授業では、Adobe ExpressなどのAdobeツールについての知識が豊富なイラストレーター、北沢直樹先生にAdobe Fireflyを使った画像の生成からデザインまでの一連の流れを教えていただきます。Adobe Fireflyに興味があり本稿での説明だけでなく、動画でも操作手順を確認したいと考える方や、現役のイラストレーターから解説をしてもらいたいと考える方は是非ご覧ください。
先生プロフィール
北沢直樹(きたざわ なおき)
アイドルや声優、アーティストのキャラクター、グッズデザイン。「ONE PIECE」「攻殻機動隊S.A.C」や女子プロレス「スターダム」のデフォルメキャラクターデザイン。TBS「グッとラック!」キャラクター&コーナータイトルデザイン/信濃毎日新聞 月曜付3面「NEWS そこ知り隊」キャラクター&タイトルデザイン/「真型メダロット」キャラクターデザイン/全国自治宝くじ絵柄デザイン/絵本「ロコモコップ」作画。 AdobeMAX2021'AdobeCoCreate'イラストレーターに選出。
< コース紹介 >
ChatGPTをはじめとする今話題のAIを取り上げ、紹介する連載授業の17回である本授業では、グラフィックデザインの会社の代表を務めるmikimiki先生より、Adobe Fireflyの書く機能とその使い方について詳しく解説していただきます。授業内ではMidJourneyをはじめとする他の画像生成AIとの違いについてもご紹介しているので、画像生成AIを使いたいけれどどれを使えばいいのかわからないと悩む方にもおすすめの授業です。
先生プロフィール
扇田 美紀(mikimiki)
2013年、フリーランスWebデザイナーとして独立。 2020年SNSマーケティングコンサル、 Web制作、グラフィックデザイン作成を 行う株式会社Ririan&Co.を創業。 チャンネル登録者8万人のYouTube 「mikimiki Web School」やオンライン クリエイティブスクールRirian School.WebデザインやWordPressの情報を配信中。 日本初のCanva公式アンバサダーとしても活動中。
本稿では、Adobe社が2023年9月に正式にリリースし話題になっているAdobe Fireflyの特徴とその使い方について詳しく解説してきました。Adobe Fireflyはノンデザイナーでも気軽にデザイナーのような画像を作成でき、作業の効率を上げてくれる画期的なツールです。是非業務やプライベートで活用してみてください。
Schooでは月額980円でAdobe Fireflyなどの最新のAIや、デザインについての授業が見放題です。8000本の授業から、お気に入りの授業を見つけてみてくださいね。