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01アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは、「様々な困難や変化に対し、与えられた環境のみならず、自ら枠を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出していく精神や姿勢」のことを指します。アントレプレナーシップは起業家精神と訳されることが多いですが、あらゆる職業で求められる姿勢です。

アントレプレナーシップの語源は、フランス語の「entrepreneur」という仲介人を意味していた言葉にあります。この言葉を、経済学者シュンペーター(Shumpeter,J.A.)が「イノベーションを遂行する当事者」を指す経済的用語として定義しました。

そして、経営学者のドラッカー(Drucker,P.F.)が、「アントレプレナーシップという言葉は、経済の世界で生まれはしたものの、経済の領域に限定されるものではない。人間の実存に関わる活動を除くあらゆる人間活動に適用される」と述べたことにより、その概念が広まったとされています。

▶︎参考:文部科学省|アントレプレナーシップ人材育成プログラム運営事務局

イントレプレナーとの違い

アントレプレナーに類似している言葉として、イントレプレナーがあります。どちらも重要な言葉であるため、2つの言葉の違いについて理解しておく必要があります。イントレプレナーとは、「社内起業家」のことです。社員でありながら社内で新たなアイディアの創造や企業の一部門として、新製品やサービスの事業化・社内ベンチャーに調整する人です。

社内起業では経営陣や部署間の調整・協力が必要不可欠となるため、調整力が一層求められるのが特徴です。アントレプレナーとイントレプレナーは、新規事業を創造する点が共通していますが、イントレプレナーシップでは企業に属しながら事業創造を行います。企業内でアントレプレナーシップの育成を目的として、イントレプレナー制度を取り入れている企業も多く存在します。

 

02アントレプレナーシップがなぜ必要とされているか

アントレプレナーシップが注目を集めている背景は、主に以下の3つの要因があります。

  • ・先行き不透明なVUCA時代であること
  • ・年功序列制度の崩壊と成果主義への移行
  • ・ビジネスのグローバル展開が急速に進んでいる

テクノロジーの進化が著しい時代で、新たな価値を生み出していく精神や姿勢は全てのビジネスパーソンに求められます。現状維持を続けるのではなく、新しい価値を追求し続ける姿勢は、この時代において最も必要なスタンスと言っても過言ではありません。

先行き不透明なVUCA時代であること

世界経済では、2010年以降に先行き不透明なVUCA時代に突入したと考えられています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。 その中で、企業は目まぐるしい社会変化に迅速に対応するため、ビジネス自体を柔軟に行っていく必要性に迫られています。そのため、新たな環境下でも自身で考えて、積極的に新規ビジネスにチャレンジして創造できるアントレプレナーシップを備えた人材が求められています。

年功序列制度の崩壊と成果主義への移行

アントレプレナーシップが注目される背景の1つに、年功序列制度の崩壊と成果主義への移行もあります。これまで日本の企業では、終身雇用を前提として、新卒時に入社した企業で働き続けて評価されるのが一般的でした。しかし、終身雇用や年功序列制度の崩壊とともに、転職が一般的となり、成果主義の評価制度の導入も加速化しています。 このような市場の流れの中で、企業としても指示を待って実行するだけではなく、リスクを恐れずに新たなものごとにチャレンジし、成果を残せる人材が求められるようになりました。

ビジネスのグローバル展開が急速に進んでいる

現在、ビジネス市場として日本国内だけではなく、より広い市場を求めて海外への進出が進んでいます。そして海外進出を成功させるためには、日本でのやり方をそのまま踏襲するのではなく、自社の強みを活かしながらエリア毎にビジネスの展開方法を調整する必要があります。 このような状況下で日本の企業が求めるのは、今後の社会の動きを見据えて、変化対応にチャレンジし続けられるアントレプレナーシップを持った人材です。

 

03アントレプレナーシップに関わる8つのスキル

アントレプレナーシップを発揮するには、以下のようなスキルが求められます。

  • 1.メンバーをひとつの目標へ導く統率力
  • 2.前例のないアイデアを出せる創造力
  • 3.新しい物事を常に学び続けられる学習意欲
  • 4.多様な意見をまとめ上げる調整力
  • 5.メンバーの意見を引き出せる傾聴力
  • 6.社外で人脈を構築するフットワークの軽さ
  • 7.失敗やリスクを恐れないマインドセット
  • 8.粘り強く達成を目指す忍耐力

この章では、それぞれのスキルについて詳しく紹介します。

1.メンバーをひとつの目標へ導く統率力

統率力とはメンバーを巻き込みながら、ひとつの目標へ導く力のことです。新規事業は前例のないプロジェクトとなるため、先行きが読めず思い通りに進まないことも多いです。そのようなときにメンバーの意見をまとめながら、目標に向けて導いていく必要があります。そのため、新規事業では自身が目標を見失わずに、メンバーをまとめあげる統率力が求められます。

2.前例のないアイデアを出せる創造力

アントレプレナーシップには、既存の事業とは異なる新たなプロジェクトを進めることが求められます。そのため、過去に捉われず前例のないアイデアを出せる創造力が必要となります。 特に、世の中の動きが激しいVUCA時代の中で、固定概念に捉われていてはプロジェクトを成功に導くことは難しいです。このようにアントレプレナーシップには、これまでの非常識となる新たなアイデアを創造するスキルが求められます。

3.新しい物事を常に学び続けられる学習意欲

目まぐるしい変化を続ける社会情勢の中で事業を進めるには、常に最新の情報をキャッチアップすることが重要です。そのためアントレプレナーシップには、新しい物事にも抵抗なく、積極的に学び続けられる学習意欲が必要不可欠となります。また、事業の成功には失敗もあるため、その失敗をいかにして次につなげられるか、といった学びも重要です。

4.多様な意見をまとめ上げる調整力

課題に対して新しい解決策を打ち出す過程では、多くのステークホルダーを巻き込んで物事を進める必要があります。いかに能力の高い人材であっても一人で出来ることは限られており、より大きな成果を生み出すためにはチームとしての力を最大化させる必要があるためです。そのため、メンバーから出てくる多様な意見をまとめ上げる調整力も、アントレプレナーシップには必要不可欠なスキルといえます。

5.メンバーの意見を引き出せる傾聴力

アントレプレナーシップでは、それぞれのメンバーの意見を引き出せる傾聴力も重要なスキルです。VUCA時代に対応するためには、自身の意見で推し進めるトップダウンではなく、多種多様な意見を引き出すボトムアップの事業推進が必要です。メンバーが意見を言いやすいように、意見を肯定しながら耳を傾けていきます。そのように吸い上げた意見から、新たな事業のヒントが見つかる可能性もあります。

6.社外で人脈を構築するフットワークの軽さ

ビジネスを推進するうえで、人脈の構築は必要不可欠であり、新規事業においては特に重要といえます。新規事業は自分一人で進めることはできず、人脈を活用しながら実現していくものです。社外の人脈から情報をキャッチアップして、ビジネスが生まれることは多いです。そのため、新規事業においては、社外の人脈形成を積極的に行うフットワークの軽さが必要とされます。

7.失敗やリスクを恐れないマインドセット

アントレプレナーシップでは、新たな事業を創り出す想像力だけではなく、リスクを恐れず立ち向かう姿勢・精神も重要な要素です。新たな事業にチャレンジする際には、リスクはもちろん失敗も多く発生します。しかし、その失敗を恐れてチャレンジできなければ、事業を成功させられません。その都度失敗を次につなげる気持ちで、失敗を恐れないマインドセットが成功のカギを握ります。

8.粘り強く達成を目指す忍耐力

アントレプレナーシップでは、新規の事業の成功に向けた、粘り強く達成を目指す忍耐力も求められます。これまで解説した通り、新たな取り組みでは思い通りにいかないことや失敗は何度も起こります。そのとき、困難に立ち向かい、粘り強く諦めずに進めていくことで、目標は達成できます。

 

04アントレプレナーシップを発揮しやすい企業の特徴

アントレプレナーシップを社員が持っていても、発揮しやすい環境にいるかは非常に重要なポイントとなります。この章では、アントレプレナーシップを発揮しやすい企業の特徴を紹介します。

失敗を推奨する

挑戦には失敗がつきものです。数えきれない失敗からイノベーションは生まれます。ただし、失敗が許されない企業文化であると、誰も挑戦しなくなってしまいます。誰かに言われた仕事を無難にこなし、出世コースから外れないように過ごすようになってしまうでしょう。

そのため、失敗を推奨するような文化を組織全体で作っていく必要があります。挑戦したことを奨励し、何度でも挑戦し続け、失敗し続けられる組織であればアントレプレナーシップは発揮されるでしょう。

心理的安全性がある

心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや気持ちを、誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。アントレプレナーシップを発揮しやすい組織は、心理的安全性のある組織と言っても良いでしょう。

新たな価値を創造するためには、多様な人材の多様な知見を合わせていく必要があります。そのためには、時には他人に厳しい発言となることもあるでしょう。その際に、人間関係が破綻したり、相手から拒絶されたりしないと感じる状態を組織として担保する必要があるのです。

裁量が与えられている

アントレプレナーシップを発揮するためには、自由に発想して行動できる環境が望ましいです。そのため、一定の裁量権が社員に与えられていると良いでしょう。

この裁量は仕事の進め方や方針だけでなく、働き方に対しても求められます。時短勤務やテレワークなどの制度を導入することで、社員に働き方の裁量を与えることもでき、それにより新たな価値を創造するヒントを得てくる可能性があるでしょう。

経営・管理職が率先して挑戦している

アントレプレナーシップを発揮しましょうと喧伝しても、経営や自分の上司が保守的であれば、メンバーはアントレプレナーシップを発揮しにくいのは想像に難くないでしょう。

そのため、経営・管理職が率先して挑戦して、失敗する背中を見せる必要があります。「挑戦しているから、あの人たちは役職を持っている」と社員が思うようになれば、さらにアントレプレナーシップを発揮しようとする社員は増えるはずです。

 

05アントレプレナーシップを育成する施策例

アントレプレナーシップを養う方法はいくつか存在します。ここではアントレプレナー育成の具体的な施策を4つ紹介します。

  • 1.失敗を責めないような社内風土や行動指針の醸成
  • 2.社内でビジネスプランコンテストを開催する
  • 3.従業員一人ひとりの仕事における裁量権を拡大する
  • 4.社員研修の活用

1.失敗を責めないような社内風土や行動指針の醸成

社員がアントレプレナーシップを持つためには、失敗を責めないような社内風土や行動指針の醸成が必要です。組織全体が既存の考え方から脱却できず、新しい取り組みに対して批判的な姿勢を取る社員が多い環境では、新規事業の推進を停滞させてしまいます。 例えば米国の大手化学メーカーである3Mでは、業務に関係ない自身の好きな研究に、勤務時間の15%を使えるルールがあります。さらに、失敗も許容される風土も強く、失敗から大人気ベストセラー商品につながっているものもあります。このように、社員のアントレプレナーシップの育成には、失敗を責めない新しいビジネスに挑戦しやすい環境づくりが重要です。

2.社内でビジネスプランコンテストを開催する

アントレプレナーシップを持った社員の育成施策として、社内でビジネスプランコンテストを開催する方法もあります。ビジネスプランコンテストは、社員がグループを組んで新規ビジネスを提案し、競い合う施策です。 ビジネスプランを考える際には、実際の事業と同じように、将来のビジョンだけではなく予算や利益など実現性も細かく考慮します。またコンテストで高い評価を受けて成功すれば、実際に事業化することもあります。 このような経験をすることで、仮に検討したビジネスプランを事業化できなくても、社員は、創造力や調整力、情報収集力のようなアントレプレナーシップに必要なスキルを学ぶことが可能です。

3.従業員一人ひとりの仕事における裁量権を拡大する

アントレプレナーシップでは、自身で考えて学習し、自発的に取り組む姿勢が重要です。そのため、従業員一人ひとりの仕事における裁量権を拡大することで、責任感を持たせて自身で進めさせることも有効です。裁量権を持たせることで、これまで受動的に仕事をしていた社員が、自分で考えて行動することを学べます。

4.社員研修の活用

社員へのアントレプレナーシップの育成方法としては、社員研修を実施することも有効です。研修では、アントレプレナーシップに必要な基礎的な知識から、実際の企画やプレゼンの実践まで、社員に身につけてほしいスキルをテーマとして扱います。 企業で働くビジネスパーソンにとって、起業は縁遠く感じることも多いでしょう。そのため、研修によって具体的なノウハウや実例を知ることで、実践にあたっての具体的なイメージをつけることが可能になります。


 

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06アントレプレナーシップを研修で向上|Schoo for Business

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  • 株式会社Nicoli代表取締役

    元テレビ東京アナウンサー。現在は株式会社Nicoli代表取締役、赤ちゃんYouTubeチャンネルなどを運営している。

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この授業では、職場の心理的安全性を高めるための具体的な方法を学ぶことができます。講師の荒井弥栄さんが、ハーバードビジネススクール行動経済学クラスで学んだ、「心理的安全性を高めつつ、チームのパフォーマンスをアップするフィードバックの秘訣」を解説しています。

 
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    エグゼクティブトレーナー/中小企業顧問/中小企業コンサルタント/大学英語講師/行動経済学学会会員 日本人女性初のハーバードビジネススクール行動経済学クラス修了者。日本航空国際線CAから大学進学塾英語講師を経て、校長へ。その後、オフィスグレース起業。47歳で大学院に入学しMBA修得後、アメリカに渡りケロッグ経営大学院EDP、同大学院Negotiationコース修了。 ビジネスの成功の基本であるブランディング・マーケティング・行動経済学の3本の柱の重要点を合わせた独自の講座「ビジネスコーディア学®」を創出し、多くの受講者に成功をもたらしている。英会話関連著書8冊。週刊朝日や東洋経済、TOEIC運営法人IIBC等、多数の連載と研修、セミナー・講演実績あり。

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Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広い企業にご導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

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07まとめ

将来の予測が難しく変化の激しい現代において、アントレプレナーシップはすべての社員に求められるスキルです。本記事では、アントレプレナーシップが必要とされる背景や関連するスキル、社員へのアントレプレナーシップの育成方法などを紹介しました。本記事を参考に、社員のアントレプレナーシップの向上を図りましょう。

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