早稲田大学第一文学部卒業。文学修士(MA)。IT 業界24年目、PM歴23年目、経営歴13年目、父親歴9年目。Webサイト/Web ツール/業務システム/アプリ/組織改革など、500 件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施。世界中のプロジェクトの成功率を上げて人類をよりハッピーにすることが人生のミッション。人材育成や研修も多く実施。著書に『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本』(翔泳社、2022)、『プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本』(翔泳社、2023)。
8/7(Thu)
2024年6月24日 20:32 更新
リーダーに求められる巻き込み力とは、目標を達成するために周囲のチームメンバーと信頼関係を築き、協力してもらうスキルのことです。
どのような仕事においても1人でできる仕事には限界があります。そのため、メンバーそれぞれの専門分野や経験を活かして適材適所で仕事を割り振り、限られた人数や時間の中で最大限の成果を挙げる必要があるのです。
リーダーがそれぞれのメンバーに当事者意識を持ってもらい、それぞれの能力を発揮してもらうためには巻き込み力が欠かせず、この能力を持っている人材は企業の成長にとっても欠かせない存在と言えます。
リーダーに求められる巻き込み力とは、具体的にどのような能力を指すのでしょうか。
上記で挙げた主な4つについて、詳細を解説していきます。
ビジネスの場において周囲を巻き込むためには、言葉や振る舞い、行動で仕事への強い思いを発信し続けることが大切です。 リーダーの発言と行動で仕事に対する本気さが周囲の人に伝われば、チームの中にみんなで協力しようという気運が少しずつ芽生え、寄り添って仕事に取り組んでくれるチームメンバーも増えるでしょう。
人を巻き込む力のある人には、業務における課題を素早く発見し解決するスキルが身についています。 課題を発見し解決するスキルがあると、顧客に満足してもらえる商品やサービスを提供できるのはもちろんですが、社内ではそのための業務に取り組む時の問題点を解消できるため、仕事がスムーズに進み、成果も挙がるのです。
EQとはemotional intelligence quotientの頭文字を取った言葉で、心の知能(EI=emotional intelligence)を測定するための指標として用いられ、心の知能指数と訳されます。 心の知能指数とは自分や他人の感情を知り、自分の感情をコントロールできる能力を指しますが、次の4つの要素で構成されます。
EQの要素 | 概要 |
識別(Identify) | ・感情を察知する能力 |
利用(Use) | ・課題に対する感情をコントロールし必要な感情を生み出す能力 |
理解(Understand) | ・自分や相手の抱く感情の理由を推察する能力 |
調整(Manage) | ・識別、利用、理解の段階を踏んだ上で目的を達成するにはどのような行動をするかを決断する能力 |
4つの要素は人間関係の上で識別、利用、理解、調整の順番で使われますがEQを発揮するためにはこれらが揃っていることが重要です。 周囲の人を巻き込むためには相手の感情に寄り添う力が求められるため、ビジネスにおいてはEQスキルの高いリーダーが必要とされるのです。
周囲の協力を得られる人には、目標を設定し確実に行動する力が身についています。 言い換えれば仕事に対して誠実に向き合う力が身についているため、チームメンバーの信頼を得やすいと言えるでしょう。
リーダーにはなぜ巻き込み力が求められるのでしょうか。
上述した2つの理由について、それぞれご紹介します。
組織のリーダーには限られた人数や時間の中で最大限の成果を挙げることが求められますが、高い目標であるほど誰をどのように仕事に巻き込むのかを考えることができなければ、達成は難しくなるでしょう。 チームメンバーの知識や経験を活かし、適切な仕事を割り振った上で高いモチベーションを維持しながら全員でそれに取り組むためには、巻き込み力が必須なのです。
VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、もともとは軍事用語でしたが、ビジネスでは将来の予測が困難な時代や世の中を指します。 VUCAの時代においてはビジネスでも想定外のことがたくさん起こりますが、巻き込み力を持ったリーダーは課題を素早く発見し、それを解決するスキルを身に着けているため、チームメンバーはそれに動揺せず、安心して仕事に取り組むことができます。
リーダーが巻き込み力を身に着けると、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれの詳細を解説します。
リーダーが巻き込み力を身に着けることで、チームメンバーと信頼関係に基づいた良好な関係性を築くことができます。 仕事に対し前向きに取り組むチームは組織を活性化させるため、仕事がうまくいくだけではなく、会社に風通しが良く前向きな雰囲気をもたらすでしょう。
巻き込み力のあるリーダーがいるチームではメンバーとのコミュニケーションがしっかりと取れているため、課題を早期に発見し解決につながる施策も行いやすくなるでしょう。 課題が発見されるたびに仕事が止まるといったことも防げるため、業務のスピードが上がり効率化も図れます。
リーダーに巻き込み力があると、チームメンバーを信頼してそれぞれに合った仕事を割り振るため、リーダーが本来注力する必要のある仕事に集中して取り組むことができます。 現場の仕事とマネジメント職を兼務している人の場合、どちらも中途半端になってしまうことがありますが、巻き込み力のあるリーダーはこのようなことにはなりにくいでしょう。
企業としてリーダーの巻き込み力を育成するには、どのような方法で取り組めばよいのでしょうか。主な方法として、以下の4つが挙げられます。
それぞれの詳細についてご紹介します。
リーダーの巻き込み力を育成するには、業務外での継続的なコミュニケーションを図る機会を作りましょう。 社内イベントとして、あまりコミュニケーションを取ったことのない人同士がランチをするシャッフルランチや、オンライン飲み会などを企画して開催するのもおすすめです。 イベントで交流したことをきっかけに、新たな部署同士での連携が行われることも期待できるので、話が盛り上がりそうかどうかをあまり気にかけず、いろいろな部署のリーダーを対象にさまざまな組み合わせで行ってみましょう。
社内ですでに巻き込み力を発揮しているリーダーがいるのなら、ロールモデルとして勉強会を実施してもらうのもおすすめです。 ロールモデルを設定することで、まだ巻き込み力を身に着けていないリーダーの成長が早まったり、組織全体が活性化したりなどメリットが大きいでしょう。 注意したい点としてロールモデルとは「なりたい人」であるため、勉強会の内容が対象者にとって再現するのが難しい場合、学んでも自分にはできないと巻き込み力を身に着けるのを投げ出してしまいかねません。 このことから身近な存在であると対象者に認識してもらえるようなロールモデルを選び、勉強会の前に内容が再現性の高いものであるかどうかをあらかじめ確認しておくことが重要です。
リーダーの巻き込み力を高めたいなら、社内や外部による巻き込み力アップのための研修を行うのもよいでしょう。 研修を行う前に事前準備として、次のようなことを決めておくとスムーズです。
研修の形式は、e-ラーニングよりは直接講師から話を聴くことのできる会場での研修や、オンライン研修が望ましいでしょう。 目標は対象者に応じて柔軟に変える必要がありますが、達成が難しすぎる目標は設定しないのがポイントです。 また外部研修の場合、自社のニーズに応じてカリキュラムなどを柔軟にアレンジしてもらえるかどうかなどもあらかじめ確認しておくと、より自社の現状に即した研修が行いやすくなるでしょう。
Schoo for Businessは、国内最大級9,000本以上の講座を保有しており、社員研修や自律学習の支援を通じて、学び続ける人材の育成、学び続ける組織づくりを支援しています。
導入企業数は4,000社以上。巻き込み力に関する研修はもちろん、階層別研修からDX研修まで幅広い研修、自己啓発の支援ツールとしてもご利用いただいております。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、9,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、巻き込み力に関する授業を紹介いたします。
このコースでは、巻き込み力を必要とするプロジェクトマネジメントを題材に、どのように周囲の人を巻き込み、プロジェクトを推進していくかを学ぶことができます。
世に溢れる「リーダーとして成功する秘訣」は一見すると有益そうですが、なかなか実践に活かしづらいのが現状です。そこで本授業は、教科書的に載っていない、生々しいリーダー経験からリーダーシップを学びます。
各界のリーダーに学ぶ「リーダーシップのカタチ」を無料視聴する
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
年間3000人以上の現場指導と「NLP理論」「行動分析学」から導き出し、体系化された「壁マネジメント」プログラムの開発者である山北陽平さんをお招きし、業態や業種、社員の個別能力、リーダー(マネージャー)の性格などを問わず、誰でもマスターできるこのマネジメント・メソッドを教えていただきます。
部下やチームが期待どおりに動く「壁マネジメント」術を無料視聴する
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
リーダーに求められる巻き込み力とは、目標を達成するために周囲のチームメンバーと信頼関係を築き、協力してもらうスキルのことですが、身に着けることで課題解決や周囲とのコミュニケーションがスムーズになり、自分の仕事に集中できるようになるでしょう。 この記事も参考にして、より巻き込み力の高いリーダーを育成していってください。