ゼネコン会社で被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共にへラルボニーを設立。4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉「ヘラルボニー」を社名に、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーの営業を統括。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。内閣府の日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。
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2024年6月25日 16:35 更新
社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)とは、社会的な問題解決を目指すビジネスのことです。一般的な企業は利益を上げることを最優先としていますが、社会的企業は利益第一優先ではなくビジネスで社会課題を解決することを主な目的としています。一方、社会問題の解決に重点を置いて事業を行いますが、事業として持続的に成り立つように回していくため、非営利団体とは異なります。収益確保と社会的問題の解決を両立させ、社会をより良くしながら、経済的にも豊かにすることを目指しています。
問題解決の領域は、国際協力や教育格差の是正、環境保全や福祉など、幅広いのが特徴です。企業が感じている社会課題を解決することを一義として企業活動を行うこと、そして収益をその社会課題解決に向けた再投資に優先的に回すことを行っていれば、社会的企業となります。
具体例としては、地方の活性化や地産地消を目指す経営、引きこもりの子供や学校の勉強についていけなくなった子供への学力支援や就職支援を行う企業、障害者を積極的に雇用している企業などが挙げられます。
また、企業形態によって定義付けされている訳ではありません。主な形態としては、保証有限責任会社(Company limited by guarantee:CLG)、株式会社(Company limited by shares:CLS)、産業・共済組合(Industrial and provident society:IPS)、コミュニティ利益会社(Community interest company:CIC)の4種類があります。
社会問題の解決に取り組む組織としては、NPO法人やボランティアなどもあります。社会的企業とどのように異なるのでしょうか?違いを解説します。
NPO法人とは、「特定非営利活動法人(Non-Profit Organization)」の略称です。株式会社のような営利団体とは異なり、社会貢献活動を目的にしているという特徴を持ちます。法人格を持つことで、法人の名の下に取引を行うことができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットがあります。ボランティア活動に比べ、より 市民の自由な社会貢献活動として、特定非営利活動の健全な発展を行うことができます。
ボランティア活動は、個人の自発的な意思を元に行われる、他人や社会に対する貢献活動を指します。参加することで自己実現や社会への参加意欲が満たされるだけでなく、活動の広がりによって、社会貢献や福祉活動等への社会的関心が高まり、地域社会の交流が加速するなどのメリットがあります。一方で、見返りを求めない無償の奉仕と定義づけられているため報酬などがない場合が多いです。組織を運営する場合は、第三者からの寄付などを募り運営しています。
また、社会的企業に関連する言葉として「ソーシャルビジネス」があります。ソーシャルビジネスとは、人種差別、貧困、食糧不足、環境破壊といった社会課題をビジネスの手法を使って解決する事業のことです。近年、SDGs(持続可能な開発目標)やESG投資とともに注目が集まっている言葉の一つです。バングラデシュの経済学者でありグラミン銀行創設者、ムハマド・ユヌス博士が著書「貧困のない世界を創る―ソーシャル・ ビジネスと新しい資本主義―」で定義した言葉が始まりです。
経済産業省では、「社会性」「事業性」「革新性」の3つの要素を満たす事業をソーシャルビジネスとして定義しています。新しい商品・サービスを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすることや活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出することも、ソーシャルビジネスに当てはまります。 ボランティア活動との違いとして、ボランティア活動は寄付などの資金に頼って活動をする一方で、ソーシャルビジネスは事業収益が資金源となります。つまり、社会的企業が行うこともソーシャルビジネスと言えますが、ソーシャルビジネスの担い手はNPO法人や中間法人などもあり得ます。
社会的企業には共通の定義がある訳ではなく、組織によって細かい定義が異なります。内閣府、貿易産業省中小企業局が掲げる社会的企業の定義を解説します。
内閣府が掲げる定義として、以下が挙げられています。
この定義の特徴は、既存にはない考え方やアプローチで公共サービスや政府の手法の改善の支援をすることです。社会課題は、お金にならないことも多くビジネスで用いられる手法を用いることで公助だけでは届かない人にも支援をする事が可能になります。
貿易産業省中小企業局が掲げる定義としては以下が挙げられています。
社会的価値の高い事業に対しては行政の補助金などが得られる場合もありますが、その中でも自社事業でどの程度の資金を確保している必要があるのか、定量的な水準を示しているのがこの定義の特徴と言えるでしょう。
実際に社会的企業として、活動している3社を紹介します。 それぞれ掲げる理念と社会課題を結びつけ、今より良い社会にしようと活動しています。企業例を元に、自社が社会的企業にシフトするにはどのような対策を取ればいいのかという参考にしてみてください。
株式会社LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げている社会的企業の一つです。個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指しています。また、LIFULLアジェンダという目標一覧を掲げ、社外にも取り組みを発信しています。現在は、世界63ヶ国で不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」をはじめ、空き家の再生を行う「LIFULL 地方創生」事業などを展開しています。
株式会社ボーダレスジャパン「ソーシャルビジネスで世界を変える」を掲げ、国際協力・環境問題など多様な社会問題を解決するために、45以上のソーシャルビジネスを展開しています。2019年に「大切にしたい会社大賞・審査員特別賞」、「グッドデザイン賞」を受賞。その他にも、偏見のない世界を作る多国籍コミュニティハウス「ボーダレスハウス」やオーガニックハーブで貧困農家の収入をアップする「AMOMA natural care」、バングラデシュに雇用を作るビジネス革製品「ビジネスレザーファクトリー」など多くの社会的事業を創出しています。
株式会社ユーグレナは、コーポレートアイデンティティとして「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げています。創業者の出雲充氏は、大学時代にバングラディッシュでの経験から、ミドリムシで貧困を減らすという信念の元、創業しました。2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大しました。
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「社会課題」と聞くと、課題である以上、「解決しなければならないもの」と捉えがちですが、「課題解決」ではなく「価値創造」というアプローチがあります。たとえば、障害のある人は社会的な弱者と見なされ、彼・彼女らを取り巻く境遇は社会課題と認識されることが多く、無意識の偏見にさらされがちです。 ですが、障害のある人だからこそ発揮できる価値があり、私たちはその可能性に気づけていないだけかもしれません。またそれは、負の側面が強調される「障害」という言葉をあえて特性と言い切り、「異彩」という言葉・認識に変換することでもあります。 本授業では、日本全国の福祉施設とアートライセンス契約を結び、3000点以上のアートデータを軸にさまざまな社会実験を生み出す、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」の活動を通じて、社会に潜む「無意識の偏見」や「社会課題から価値創造する」考え方について学びます。
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この授業では、生きづらさに直面し、孤立し、行き場のない社会の中でもがいている人びとの姿と、それらの人びとと共に人間らしく生き・働く社会の構築にむけて努力している社会的企業の実践に着目して、未来社会のあり方について学びます。
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今回ご登壇いただくボーダレス・ジャパンは、「社会の不条理や欠陥から生じる、貧困、差別・偏見、環境問題などの社会問題を解決する事業を『ソーシャルビジネス』と捉え、より良い社会を築いていくことを使命として掲げています。 これからの持続可能な社会を作り出していくためには、どんな考え方やマインドが必要になるのか、ボーダレス・ジャパンの副社長の鈴木雅剛さんをお迎えし、受講するみなさんが、考えるきっかけとなる授業をお届けします。
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社会的企業は、会社の利益の追求だけではなく社会的な問題解決を目指す企業のことです。SDGs(持続可能な開発目標)やESG投資とともに注目が集まっているだけでなく、良い社会にしていくためには必要不可欠な考え方でもあります。今回は、社会的企業の特徴や細かい定義、実際の企業紹介などを行いました。ぜひ社会的企業に向けて、取り組んでみてください。